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魔術師と魔法協会
魔術師は魔法協会の最高責任者に面会した。目的はただ一つ——魔族の存在と、解剖・尋問で得た所見を知らせるためだ。彼女は入念に記した報告書と論文を差し出した。
責任者は淡々と読み進める。そこに記されたのは、冷徹で詳細な観察と、積み上げられたデータだった。彼の目には、一族の功績を残そうとする魔術師の執念が映っている。部屋には、以前捕らえた献体も置かれていた。
討伐隊を編成する流れは着実に進んでいた。根城を幾度も叩き、ついには王を討てば、魔族は人間に対して深い恐怖心を抱くだろう。そうなれば抑止力になる——そして研究が進めば、魔族を見破る魔法や、魔族を標的とする魔法兵器が生み出せるはずだ。
魔王は自ら手を下すつもりはない。人間だけで弱った魔族の王を討伐する。その選択は計算づくだ。現在、魔族王の残存魔力は半分を下回っている。今急行しても返り討ちに遭う可能性が高いが、完全回復までには二か月ほどかかる見込みだ——研究には十分な猶予である。




