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魔導歴史書  作者: ルイ
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ライカの故郷

「ライカの故郷は遠いな……」

魔王はそう呟きながら、見慣れぬ山道を見上げた。辺境の村へ向かう旅は長く、獣道のような道をいくつも越えねばならなかった。


途中の森では、魔物の群れが行く手を阻んだ。

だが、ライカがすぐに前に出る。


獣人らしい鋭い動き――魔物の首筋を読むように剣を振るう姿に、魔王は思わず息を呑む。

「……強いな。学院では私と僅差の成績だったが、実戦では上かもしれん」


倒した魔物の素材を換金しながら、ふたりは進んでいった。


数日後、ようやく村の木造の門が見えてくる。

空気は澄み、草の匂いが濃い。遠くから聞こえる水車の音が心地よい。


ライカは嬉しそうに尻尾を振りながら、両親のもとへ駆け出していった。

魔王はひとり、村の市場を見て回る。


この村の魔導具はどこか違う。

人間の理論とは別の、“本能と感覚”で作られた道具。

素材も形も粗いが、魔力の流れは見事に整っていた。

(獣人の知恵か……。理論よりも感覚に忠実な設計だな)


魔導具をいくつも買い漁っていると、財布が軽くなっていることに気づく。

仕方なく周囲を散策していると、村人の一人が声をかけてきた。


「人間さんかい?……最近、よく分からん奴が来て大騒ぎになったんだ」


話を聞くうちに、魔王は察した。

(魔族、か。だが雑魚だな……それでもこの村では被害が大きかったか)


獣人は魔力を“見る”ことができなくとも、匂いや音で異種を感じ取る。

それが彼らの生きる術なのだろう。


夕暮れ、ライカが戻ってきた。

「宿はいりませんよ、レオンさん。実家で泊まれますから!」


魔王はわずかに笑みを浮かべる。

「助かる。魔導具で財布が空になったところだった」


ライカの案内で家を訪ねると、そこには険しい顔の父親と、穏やかに微笑む母親が待っていた。

挨拶を交わした途端、質問の嵐が降ってくる。


「二人はどういう関係なんだ?」

「まさか婚約者じゃないでしょうね?」


魔王は内心で嘆いた。

(……魔物を狩って宿に泊まる方が、よほど楽だったな)

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