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魔王の家
魔術師の約束どおり、ある程度の金と食料、それに指輪が届けられた。
魔王はそれを受け取り、すぐにライカのもとへと歩み寄った。
「本気を出せば、奴らは私が一人で潰せる。お前と一緒に逃げることだって出来るんだ。だから……そんなに怯えるな」
そう言って、魔王は指輪をそっとライカの薬指に滑らせる。
ライカの手が細かく震えたが、指輪がはまった瞬間、その震えはふっと消えた。効果は想像以上に確かだった。
ライカは安堵の色を浮かべ、尻尾を大きく振って魔王に抱きつく。
「レオンさんと一緒なら、安心できます! 今度、一緒に私の故郷に来ませんか?」
その言葉に、魔王の胸に灯るものがあった。ライカの出身は獣人が暮らす小さな村——畜生と人間が混ざり合うような、のどかで脆い土地だ。規模が小さいため、魔族はほとんど寄り付かない。いてもせいぜい一匹、という程度だろう。
魔王は静かに頷いた。
「いいだろう。行こう。」




