目覚め
人間の体の私は、ふと目を覚ました。
窓の外では朝日が昇り始め、淡い光が差し込んでいる。長時間の戦闘だったのだろう。
視線を落とすと、ライカが私の体にしがみつきながら眠っていた。
……あの魔族を見て怯えたのだ。仕方のないことだ。できるだけ起こさぬよう、そっと体を抜け出す。
湯を沸かし、コーヒーを淹れる。
立ちのぼる香りと共に、戦いの記憶が蘇る。
――魔族の王。
確かに魔力は半分を切っていた。もしゲートを気にせず戦い続けていれば、勝てたのか……。いや、怪しいところだ。だがゲートを閉じられた。それだけで十分とするしかない。
私は小さく息を吐いた。
「……だが、意味は無い」
既に魔族は各地へと散っている。ゲートを閉じても、再び開けられれば同じこと。
結局、根本的には何も変わっていない。
ただ、憂さ晴らしにはなった。
そして魔族は魔力の回復が遅い。しばらくは、あの王も弱体化したままだろう。
「……レオンさん」
背後で声がした。振り返ると、ライカが目をこすりながら起き上がり、私の腕にしがみついてくる。
あどけない仕草に、ほんの少しだけ胸が和らいだ。
「……こっちはこっちで、どうするかな」
街にも魔族は潜んでいる。
考えるのは――後にしよう。




