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魔導歴史書  作者: ルイ
36/83

高級店と警官

完全個室で値段の張る店。料理が運ばれ終わり、湯気と香りだけが静かに漂う。目の前には例の警官が座っていた。


警官は低く言う。

「ここなら、誰にも聞かれないだろう」


どうやら秘密を吐かせようという顔つきだ。


魔王は肩を竦めて答える。

「……あれから音沙汰も無い。あの件は忘れてもいいんじゃないか?」


警官は鋭く返した。

「忘れられるか。あれの強さは異常だ。しかも人間の姿をしている。戦う前にあんたは言ったんだ――『お前の同種は殺した。根城はどこだ?』って。あれから追おうともしないのは、お前が情報を持っているからじゃないのか。あの女とグルで、一匹から知りたいことは聞き出した。そうだろ?」


図星である。確かに、パトロールで何匹か見つけたが、私はスルーしている。ライカも気づき、私の裾を引っ張るが、気づけるのは三人の中で私とライカだけだ。目の前で人間に手を出していない以上、警察は動きにくい──ライカに行った通りそう説明して納得させようとしたが、警官には通じまい。


私は冷静に告げた。

「クビを突っ込めば死ぬ。知りたいだけなら、出世しろ」


その言葉から警官は推測を巡らせ、黙り込む。しばらく沈黙が続いた後、警官が小さく訊いた。

「……バラしてもいいのか?」


正直なところ、やるべきことはやった。高跳びして逃げることも考えた。席を立とうとしたその時、ライカの顔がふっと脳裏をよぎる。自然と手が伸び、ポケットの手帳から紙を破って、知る限りの情報を書き殴った。


その紙をテーブルの上に置き、短く告げる。

「これを報告すれば、お前は頭のおかしな奴だと思われ、チームごと飛ばされる。ひとりで行けば、お前は死ぬ」


言い残して、私は何も手を付けずに店を出た。


残された警官はメモを手に取って、確かに一見して“頭の可笑しい”文章だと感じた。だが中身を理解したのか、結局――魔王の示した通りに動くことにした。



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