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魔導歴史書  作者: ルイ
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魔法発展秘話

「なぁ、魔法の発展ってさ、早すぎねぇか?」

酒場でつぶやいた男に、隣の賢い友人が答える。

「それは……とある一族が原因だよ」


その一族には、いくつかの奇妙な特徴があった。

必ず美形が生まれること。

女児が生まれると母親は命を落とすこと。

そして、その女児は必ず歴史的発展をもたらし、その時代で最も賢い男と結ばれること。


この一族の始まりは、今から五百年前のとある魔術師に遡る。

彼女の固有魔法は「疲労を回復させる術」。

一見すれば地味な魔法だが、その本質は“使用制限を取り払う”ことにあった。


魔法とは脳の酷使――オーバーヒートによって制約が生まれる。

だが彼女の魔法はその疲労すら消し去り、結果として二十四時間、研究に没頭することを可能にしたのだ。


やがて彼女は、世を騒がせていた「テイム事件」の報告を耳にする。

――“テイムとは自我を抑え込み、代わりに魔物の体を動かす制約の魔法”

その本質を理解した魔術師は、ひとつの実験を思いつく。


「ならば、自我のない赤子に使えばどうなる?」


彼女は時代で最も聡明と謳われた男と結ばれ、妊娠する。

透視の魔導具で腹の子が女児であると確かめると、すぐさま胎児にテイムを施した。

赤子は常に母の血を受け取っている。ゆえに練度の成長は速い。


やがて臨月。彼女は最後の一手として、自身の“自我”をすべて赤子へと移し込んだ。

期間は短い。生まれる前に自我を育てきらねばならなかった。

出産――母は命を落とし、赤子だけが残された。


生後三か月、赤子は既に母の確信を裏付けていた。

“成功だ”


赤子は夫の脳を活性化させる術をも扱え、母の魔法すらも引き継いでいた。

そして、テイム特有の「何かを抑え込む感覚」さえ存在しなかった。


こうして魔術師は「自らの延命」を成し遂げる。

五百年、二十五世代を経てもなお、その血脈は絶えず、常に新たな魔法の発展をもたらしていった――。

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