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とある国にて
とある国の王に成りすました魔族の王は、ひとり深く眉を寄せていた。
偵察に向かわせた者たちが帰らない──王都へ送り込んだのは、魔界でも指折りの精鋭だ。だが、王都では幾らかの騒乱の気配すら上がっていない。まさか、と思う。だが「倒されたのかもしれない」という最悪の可能性がちらつく。単独撃破があり得る状況だとすれば、擬態した奴を見破る者がいるのだろうか。
思考は自然と足を止め、冷たい笑いが口元に浮かぶ。
――いや、私には無理だろう。あの者たちを、私は倒せまい。
そう結論づけると、王は静かに視線を遠くへ逸らした。




