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売却
魔王は言った。
「……売らなきゃ駄目か?」
魔術師は迷わず売ることを決意していた。
魔王は魔術師の顔を見つめ、ため息をつく。
「まぁいい。聖剣のことはさておき、ケルベロスの血と私の血に漬けた魔剣は、魔王城にある――と自分に言い訳して、了承しよう」
その後、聖剣は魔王討伐に加わった剣聖の一族に渡された。
聖剣はかなりの金額になった。
さすがは剣聖の一族だ。そして、前々から構想していた魔法学院を設立する資金も手に入れた。
最近の魔法学校は、魔法陣にただ「足し算」をするだけの教育に留まっている。
だが、魔法とは本来「引き算」を極めることであり、無駄を削ぎ落とすほどに能力を底上げできる――魔術師はそう考えていた。




