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魔王の策略
魔王は薄く笑みを浮かべ、思索する。
「まぁ、これで良いだろう。魔王城の地下には隠密魔法が施され、研究は今も進んでいる。
そして、私のクローン――ただ一体。心臓部に眠る、魂を込めた血の魔石も健在だ。」
静かに瞼を閉じながら、魔王は結論づける。
「復活の時は、さらなる脅威が訪れたその時で良い。」
「側近のサキュバスも、心配は無いようだな。」
サキュバス――それは魔物を家畜化し、ペットとして飼われていた存在が、魅了魔法を発展させ、人間との交配によって生まれた種。
中でも私の側近は群を抜いて優秀であった。
彼女は卓越した知能を持ち、単なる魅了を「精神魔法」へと昇華させ、さらにそれを改良して「隠密魔法」までも編み出した。
感覚は私が一方的に共有しているのだが、それを察しているのか、どこか淋しげにしている時もある。
それでも、彼女は一度も職務を疎かにしたことはなかった。
やがて彼女は、精神魔法の理論をまとめ上げ、一冊の魔術書を完成させた。
私はそれを模倣し、複製の魔術書を作って魔術師へと渡したのだが――その時の魔術師の喜びようといったら、まるで少年のようであった。




