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1話

初めまして、キャノンと申します。

拙い文章ですが、宜しければゆっくりしていってください。

「...暑い」

「こんだけ探しても見つからないんだから、もう居ないんじゃない?」


男は歩きながらぼやく。

こんな時に、水を作り出せる能力者がいたらどんなに楽だったことだろう。


「...ノア様、現在はダンジョン攻略中です、集中してください」

「分かってるって」


ノアと呼ばれた男は、現在ギルドによって依頼された進化種エボルチャーと呼ばれるモンスターを捜索している。

付き添いの男はギルドから派遣された探索型の能力者だ。


「...!? ノア様! 突き当たり右の約300m先に生物反応!」

「やっとか...」


ノアは気だるそうに、突き当たりに向かって右腕を向けた。

その時、眩い光とともに腕が変形した。

それは、まるで巨大な大砲のような形に変わった。


「...該当の進化種エボルチャーと判断したら撃つ、判別をよろしく」

「分かりました!」


その時、突き当たりから強大な生き物の影が見えた。


「...確認できました!該当Sランク進化種エボルチャーです」


その怪物の姿は巨大な狼のようだが、首が2つあった。


《Sランク進化種エボルチャー:個体名_オルトロス》


この辺で生業としていた村人や冒険者が、こいつに襲われたという事故が急増した。


「「グルウアアアアアアアッ!!」」


オルトロスは、こちらに気がつくと大きな方向を上げて駆け出してきた。


「こちらに気が付きましたよ!」

「...問題ないよ」


その時、ノアの右腕の大砲から青白い光が放たれた。

その一撃は、オルトロスの右の首を吹き飛ばした。


「グギャアアアアアアアア!!」


右の首が無くなった事で、オルトロスは苦しそうな声を上げた。


「...すごい」


付き添いの男は、その光景に感嘆する。


オルトロスは怯みながらも、力を振り絞ってこちらに飛びかかってきた。

ノアはもう一度、今度はオルトロスの下に滑り込みながら大砲を放った。

その一撃は、オルトロスの心臓を容易く貫いた。


「グル...ウアアア...」


オルトロスはその場に倒れた。


「Sランク進化種エボルチャーを、こうもいとも簡単に...」

「これが、SSランク能力者の力...」


SSランク[機械之腕アームドマシン]

ノア・ウォードという男である。


─────────────────────

【ガルシア王国 主要都市[クラーク]ギルド本部】


ガルシア王国は軍事国家として名を馳せた大国だ。

その中でも、主要都市のクラークには能力者たち御用達のギルド本部がある。

ここでは、討伐した進化種エボルチャーの報告と報酬の受け取り。

各種仕事の依頼を出したり、仕事を斡旋してもらうことが出来る。


ギルド本部に戻ってきて[オルトロス]の討伐報告が早々と終わり、今日の仕事は終わりだ。

...そのとき、帰ろうとしたのだが......。


「いやぁ、流石だな!ノア!」


ロビーに響くような声で呼びかけられた。

この声のでかいおっさんはギルドマスターのジャック。

簡単に言えばギルドの1番偉いやつだ。


「なんですか...?俺はSランクの進化種エボルチャーを倒して心底疲弊しているので早く帰って寝たいのですが?」


ノアは非常に面倒くさそうに答える。


「まあ待てって...少し厄介な状況になってな...」


ジャックは頭を掻きながら伝える。

よっぽどの事が起こったようだ。


「はぁ...厄介事なら割増ですからね?」


「!!流石ノアだ!話が早いぜ!」


...こうやって、いっつも断れないんだよなぁ...と考えながらジャックに連れていかれた。


─────────────────────

【ギルドマスターの部屋】


「...なんだって!?そんな馬鹿な!!」


ノアはジャックから聞かされた話に心底驚いた。


「...。」

「Sランク進化種エボルチャーがまた出現した!?」


ノアは叫ぶ。


「まだ断定した訳では無い...が状況を見るだけでもSランク相当、と認定しても問題は無かろう」


ジャックは途方に暮れた表情でそういう。


ジャックがそのように言う理由も当たり前だ。

本来、Sランクなんて半年に1体出れば良い方なのだ。

それが、ここ最近では先週に1体、今日自分が倒した1体、そしてもう1体...明らかに異常だ。

先週の1体だって、Sランク能力者が4人集まって、やっとのことで倒したという話だった。

そもそもひとつの街にSランクの能力者だって2~3人入れば良い方なのだ。


「現在Sランクの能力者たちは?」


ノアはジャックに質問を投げかける。


「...先週の戦いで2人負傷、1人も別任務に出ている」


ジャックは申し訳無さそうにノアに話しかける。


今日倒したオルトロスは、正直Sランクの中でもかなり弱い方だった。

そのため、自分1人でも簡単に倒すことが出来たが...。


「その進化種エボルチャーの特徴は?」


ノアは疑問を投げかける。


「およそ8メートルの巨体、牛のような頭、巨大な斧を持っている、我々は[ミノタウロス]と呼称している」


ジャックは答える。

過去にも似たような個体の情報がある為、おそらくSランク相当で間違いないだいだろう。


「場所は郊外の村付近に生息と思われる、この街からも近いため討伐は急務、今回はSランク能力者を同行させる、頼めるか...?」


ジャックに頼まれ、ノアも断れるような状況では無かった。


─────────────────────

【[クラーク]正門前】


正門前でノアは佇んでいる。

今回同行するSランク能力者を待っていたからだ。


「すみません!お待たせ致しました!」


そこに、赤髪長髪の美少女が現れた。

小柄で150cm程の身長。

防具は最低限の装備、おそらくスピード重視だろう。

武器は腰に短刀を装備している。


「君が、今回同行してくれるSランクの方?」


ノアは少女に向かって聞く。


「はい!Sランク[風之主エアマスター]のクレア・リードと申します!よろしくお願い致します!」


礼儀正しく、クレアは深々とお辞儀しながら答えた。


「こちらこそよろしく、俺はノア」


「存じております!SSランク[機械之腕アームドマシン]のノア様ですよね!?」


クレアは、少し食い気味に聞いてきた。


「...詳しいね」


「この街に住んでいたら、ノア様の事を知らない方が珍しいですよ!」


Sランク能力者は、ひとつの街に2~3人居れば良いと言ったが、SSランク能力者はひとつの国に1人居ればいい方である。

基本的に能力が強すぎる為、国で管理されている場合が殆どであるが、その代わり国から莫大な援助を受けることが出来る。

個人的には国から「何かあったら働けよ?」と言われている気がして仕事が断りずらくてしょうがない、実際そういう意味合いもあるんだろうけど。


「...とりあえず、今日のところは近郊の村まで行って、そこから周りを探索するような感じでやろうか」


「分かりました!」


2人は、近郊の村まで出ている馬車に乗った。


─────────────────────

【近郊の村[ファーヴィル]】


「じゃあ俺は宿を取りながら、村長に話を聞いてくるよ」


「では、私はその間村人の方々に何か見覚えがないか聞いてみますね」


2人は手分けして村を探索することにした。


ノアは宿で2部屋取ると、宿屋の主に村長の家の場所を聞いて向かった。


村長の家の前に着くと、扉をノックした。


コンコンッ


「すみません、ギルドから派遣されましたノア・ウォードと言うものです、村長はいらっしゃいますでしょうか?」


しばらくすると、中から老人が出てきた。


中に案内され、ノアは話を聞くことにする。


「何か最近、この村の周り、もしくは隣村で何か不自然なものを見かけたりしませんでしか?」


「...特に、村の若い衆からそういった話は...何か、あったので?」


村長は、ノアの質問に対して質問で返してきた。


「実は、この近くの村で強力な進化種エボルチャーが発見されたという話が入りまして...その為、私が調査に来たという次第になります」


自分がSSランクと言うことは隠した。

SSランクが動いたとなれば、ただ事ではない。

不要な混乱は避けなければ。


「なんと、そういう事でしたか...」


「その為、少しの間この村を拠点に近隣を調査させて頂きたいのですが、宜しいでしょうか?」


「えぇ...もちろんです...私は近隣の村とも交流がありますから、何か分かりましたらご連絡致しましょう」


「ありがとうございます、ご協力に感謝致します」


話を一通り聞き終わり、村長の家を後にしクレアと合流した。


「ノア様お疲れ様です!何か分かりましたか?」


「いや、村長からは特にはないと言われた、そっちはどうだった?」


「こちらもです、特に村の人からは進化種エボルチャーに繋がりそうな情報はありませんでした」


まあ最初から情報があるとは思っていない。

明日は少し探索範囲を広げて...。


「そういえば、村の人から少し変な話を聞きました」


「変な話?」


「えぇ...森の中で"奇妙な格好"をした人を見かけたと...」


クレアは訝しげに答えた。


「おそらく進化種エボルチャーでは無さそうなので、今回は気にしなくても良さそうですが...」


「...いや、関連がゼロとも言い難い、明日その人から怪しい人間を見かけた場所を聞いておいてくれないか?」


「分かりました!」


そこまで話をして、今日のところは解散して各々借りた部屋に入った。


"奇妙な格好"か...。

Sランク進化種エボルチャーの頻出と関係があるのか?

それとも偶然か?

もしくは新種の人に化ける進化種エボルチャー...?

様々な考えになにか引っかかる思いを抱えながら、ノアは眠りについた。


─────────────────────


用語集一覧


『能力者』

この世界では全ての人間が能力を宿すことになる。

ランクはC〜SSランクまである。


『進化種 エボルチャー』

この世界に出現しているモンスター。

動物の突然変異だったり、出現条件が不明だったりでギルドから研究されている。


『ギルド』

能力を取り纏める組織。

ガルシア王国主要都市[クラーク]にギルド本部があり、各地のギルド支部を纏めている。

今までの『能力者』の能力や『進化種エボルチャー』の情報なども纏めている。

他の国にもギルドはあるが、大元はここの[クラーク]のギルド本部となる。

ここまで読んで頂きありがとうございます。

不定期更新にはなりますが、よろしくお願い致します。

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