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ホープ・ライズ  作者: Aoi
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銀髪の美少年

※初執筆となっております!至らない点もあるかと思いますが、少しでも読んでいただけると幸いです!


※設定として悪魔や堕天使を使用しております。

実在する聖書、伝承とは全く異なりますのでご了承ください。



「やめろ・・・っ!来るな!!

・・・うああああああああああ」


男は何かに酷く怯えた様子で、多くの車が走る車道へと自らの体を投げ出した。


【今月の自殺者数】4068名・・・・・・


街の灯りが瞬く夜、この街の一角では、深刻な異常事態が発生していた。

冷徹な空気の中、新聞やニュース番組で毎日のように報じられる「自殺者数」。

「また一人、また一人と命が失われた。」

ここ数ヶ月、誰もが顔をしかめるほど異常な数の自殺者が出ているのだ。

都市の各地で、無差別に命が絶たれていく。

統計的にあり得ないほどのスピードで、若者から中高年層に至るまで命を絶つ者が後を絶たない現状がそこにあった。


人々の心には不安と混乱が広がり、街の空気は日に日に重く澱んでいった。


まるで、悪魔がその手を広げて、人々の心を支配し始めたように。


___________________________________________



空が滲んだように灰色に染まり、冷たい風がビルの屋上を吹き抜ける。

20階建ての高層ビルの端に、私は立っていた。

都会の喧騒は遙か下方にかすかに響き、ここだけが奇妙に静かだった。


心の中には、喪失感と孤独が冷たく居座っていた。

数週間前に祖母が他界してから、私の日常は最悪なんてレベルを通り越して空っぽだった。

小さなアパートに祖母と二人で暮らしていた日々。

温かな声、優しい手の感触。今はもう何も残っていない。


「これ以上生きてて、何の意味があるっていうの?」


私の中には、その問いだけが繰り返し浮かんでいた。

祖母までいなくなってしまったこの世界に自分が存在する理由はない。

他人を信用できず、頼る家族も友人もいない。


「こんな世界・・・っ」


視界がぼやけネオンがキラキラと滲んでいく。


数日前から見ていた悪夢を思い出す。

真っ暗な部屋で囁く声。

「もうお前を必要とする者はいない。」

「全てを終わらせて楽になれ。」

「悲しみから解放されたくば、この世界を捨てることだ。」


夢に出てくる声の主は姿を変えながら囁き続けた。

夢の中だけでなく、目覚めた後も声が耳に残るような気がしてならなかった。


そして今、私は全てを終わらせるためにこの場所を選んだ。

誰もいないビルの屋上。足元の空虚な風景が私を誘う。


「これで楽になれる・・・」

つぶやいた瞬間、背後から声がした。


「ちょーっと待った!!」


背後からの突然の声に驚き、私は振り返る。

そこには、一人の男が立っていた。美しい銀髪に、白いシャツに黒いジャケットという軽装。

まるでモデルのようなその姿に、思わず目を見開いた。


「・・・誰?」

私の声は掠れていた。


「俺はカイル。まあ、救世主ってとこかな?」


あっけらかんとした口調に、私は戸惑った。

何の関係もないはずの人間が、どうしてここにいるのだろう。

だが、カイルと名乗った男はまるで気にする様子もなく、私の方へ歩み寄ってきた。


「こんなところで何してるの?風邪ひいちゃうよ。」

ふざけたような言い回しだが、その瞳にはどこか本物の優しさが宿っていた。


「・・・・・。もう、生きるのがつらいの。

だから、死のうかなって・・・。」

絞りだした言葉は笑えるほど震えていた。


カイルは少しの間、黙って私を見つめた。そして、柔らかな笑みを浮かべる。


「ん~、死にたくなるほどつらいことがあったんだね。でもね、俺は知ってるんだ。

君がどれだけ頑張ってきたか。だから、君にこんな形で終わってほしくないんだ。」


思わず目から涙がこぼれる。


「あれ、なんで・・・」


まだ自分に流す涙が残っていたことに驚いた。

ただ、カイルの声が温かく心に届いた気がする。


「よしよし、話は後で聞くとして。

とりあえずここに長居はあまりよろしくないから、場所変えようか?」

カイルは当然のように私の涙を指で掬ったかと思えば、そのまま手を差し伸べてきた。


その瞬間、空気が変わったのを感じる。冷たい風が一層強まり、周囲が薄暗くなる。

カイルの表情が曇り、面倒そうに頭をかいた。


「あれま~、来ちゃったか。」


私には何も見えなかった。ただ、何か恐ろしい存在が近くにいることを肌で感じた。

カイルは私の肩に手を置き、ニコッと微笑む。


「心配しないで。君のことはちゃんとラフのところに送り届けるから。」


謎のセリフを言うと、彼の瞳が一瞬輝き、その瞬間、胸に温かな光が灯ったような気がした。



《おい、その女は俺の獲物だ。》


「いやいや、セリオスさん。最近急に暴れすぎじゃない?

大体察しはつくけどね、強引な手段は好きじゃないな。」


カイルが空に向かって話している。軽口に聞こえるがその声色には確実に怒気が含まれている。

姿は見えないけれど確実にそこには”何か”が存在している。


私の脳裏にふとあの声がささやく。


「すべてを終わらせろ」


そうだ、私はそのためにここへ来た。

早くすべてを終わらせなきゃ。私は独りぼっちなんだから・・・。


私の体は無意識にカイルのそばを離れ、闇の淵へと足を進めた。


「ちょいちょい!!」


カイルが慌てて私の腕を掴んだことで、私ははっと意識を取り戻した感覚に陥った。

今まで操られていた・・・?

嫌な感覚に身震いしながら空に視線を向けるが、やはり何も見えなかった。


《その女・・・。そういうことか。なおさらお前らには渡せないな。

渡せ。》



「それは無理な相談!こうなったら逃げるが勝ちってもんよ。」


そう言った瞬間、彼の背中にふわっと翼が現れ、私の体は彼に抱きかかえられる形で

高層ビルの屋上よりはるか上空へと飛び立っていた。



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