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第17話 第4のドア

 ホテルから逃げてきた私たちは新しいドアの前まで来ていた。

レイさんと一緒に中に入れるので心強い。

「今回の前世体験、どうだった?楽しかった?」

レイさんが私に尋ねる。

「はい、最初は意地悪なお嬢様付きのメイドなんてどうしようって思いましたけど」

「俺なんて気に入られちゃって参ったぜ」

レオンがうっとうしそうに肩をすくめた。

「ていうか!レオンが私と恋仲だってルビー様に言った時ほんと焦ったんだからね!」

「え?なあにそれ。レオン!」

レイさんがレオンを睨みつける。

「しょうがないだろ。あの時はああ言うしかなかったんだから」

レオンは私を見て、何かを思い出したようにクククと笑った。

「お前さ、額にキスくらいで動揺すんなよな」

「?!?!?!」

私もあの時のことを鮮明に思い出してしまい、顔が真っ赤になるのを感じる。

「レオン、後でゆっくり色々聞かせてもらうわね」

レイさんはレオンに意地悪な笑顔を送りつけた。

「お、俺はそろそろ退散させてもらうわ。じゃあな、ななか!次も楽しめよ!」

レオンは笑顔でそう言うと、逃げるように足早にその場から去っていった。


 レオンが去っていく姿をレイさんと2人で見送る。

「でもレオンがいてくれて良かったです。あのお嬢様の相手が出来るのレオンくらいかも」

私は笑いながら今回の旅のことを思い出していた。

「ななかちゃんが楽しめたなら何よりだわ!レオンに言っとくわね、いてくれて良かったって!」

そう言って私にウインクするとレイさんはドアノブに手をかけた。

「さあ、中に入りましょうか」

「はい!」

私はイギリスの街をもう一度眺めてからレイさんの後に続いてドアの中に入ったのだった。


 いつもの部屋に通されベッドに寝転ぶ。

心地よい疲れと共に襲ってくる眠気に逆らえず、私は眠りに落ちた__。

どれくらい寝たのだろう。

私はベッドから降り、うーんと伸びをした。

そろそろまたトキヤから連絡が来るころだろう。

そう思っていると、頭の中で聞き慣れた声が聞こえてくる。

「ななか様、聞こえますでしょうか、?」

「聞こえるよ、トキヤ!」

「今日は随分とお元気そうで何よりでございます」

すぐに反応した私にトキヤはそう言いながら笑った。

「よく寝れたからスッキリ気分いいよ!」

「それはよろしゅうございました。では次回のお話を早速させていただきますね」

そう言うとトキヤは次の前世体験の内容を話し出すのだった。


「次の前世体験の舞台はアメリカでございますね」

(今度はアメリカ!)

テレビ画面に映るアメリカの風景はつい先ほどまでいた街と違って活気にあふれていた。

(人が多い!)

「当時のななか様はベーカリーに務める少女でした。そちらの看板娘といった立場であったようです」

「ベーカリーってパン屋さんだよね。うわぁ、焼きたてのパン食べれるかなぁ!楽しみ!」

ありきたりな想像しか出来ないが、焼きたてのパンのことを考えると食べたくなるのはしかたない。

「それはいくらでも」

トキヤは食い意地の張った私を面白がるように言う。

そしていつもの締めの言葉を口にした。

「では(わたくし)はこれにて失礼いたします。次回も良い旅を」

「またね!トキヤ!」


 トキヤとの話が終わるとレイさんから声をかけられる。

「ななかちゃん、そろそろ次の場所に着くわよ」

「はーい!」

レイさんの後に続いて4と書かれたドアの前に立つ。

「ななかちゃん、次の前世体験も元気に楽しんできてね!私も久しぶりに現地勤務をして嬉しかったわ」

「レイさんと一緒ですごく心強かったです!ありがとうございました!」

「次の感想も教えて。楽しみに待ってるからね!」

「はい」

私は4度目になるドアノブに手をかける。

そして新たな気持ちでドアの外に足を踏み入れるのだった。


 ここはアメリカの下町だろうか。

古い建物の色々なお店がたくさん並んでいる。

「わぁ、このお店レトロな人形がたくさん並んでる!可愛い」

お店のショーウィンドウに並んだレトロな人形を見ているだけで楽しい。

ウインドショッピングに夢中になっていると後ろから声をかけられた。

「こんにちは。あなたがななかさん?」

私が振り向くと、今回のスタッフさんらしい女性がにっこりと微笑んでいた。

















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