虚空騎士ファイリスク二話part3
「あら~こんなところにいたのですね・・・それとなぜここに姫様がいらっしゃるのでしょうか?」
声のした方を見ると昨日俺が戦ったクルートというやつが乗った機体がそこにはいた
「クルート・・・」
「・・・海、アイリスを連れて逃げろ。あいつは俺が相手をする。」
「ああ、アイリス様こちらに・・・アイリス様?」
「クルート、下がりなさい。ここは本来私たちがいるべきではない星なのです。」
「そちらのほうはわかっていますよ~・・・しかし陛下のご命令ですのでこの星の方々には申し訳ないのですが、ここで消えてもらいます。ですがアイリス様がいるとなるとなれば少し考えないといけないですね・・・いえここでこの方々を殺してしまって無理やりにでも連れ戻した方がいいですね・・・それでは、さようなら。」
そういうと腕に持っている大剣を振り下ろすと同時に俺は
「ファイリスク!俺たちを守ってくれ!」
と叫ぶとファイリスク自身が体を張って剣を受けてくれた
「まったく、機体使いが荒すぎるぞ・・・サトシ?」
「へっ・・・体は動かせるのに俺が乗らないとまともな戦闘できないくせによく言えるな。」
「仕方ないだろ・・・」
「やるぞファイリスク!」
俺はファイリスクに乗りこむのと同時に
「サトシ、私も乗せて。」
そういいながらアイリスはファイリスクに乗っていった
「な、おい!俺とファイリスクでこいつの気を引くから、お前は海と逃げろって!それにこいつはそもそも一人しか乗れねぇだろ!」
「それならあなたの膝の上に乗せて頂戴!大丈夫、しっかりとあなたにつかまっているから。」
「いや、それは大丈夫じゃねぇだろ!・・・くそっこうしている間にもあいつ剣を押し込んで来やがる。」
「聡史!こうなった以上は仕方がない、俺のことは心配するな、今はアイリス様を頼んだぞ!」
そういうと海は風で飛ばされないようにその場から急いで去っていった。
「あーもうしょうがねぇ・・・アイリスしっかりつかまっていろ!」
「わかった。」
「ファイリスク!行くぜ!」
笑顔を浮かべているアイリスを乗せて俺はファイリスクを駆り立てる
「あら?どうしたのかしら、早くしないとぶった切れてしまいますよ~?」
「へっ、遅くなっちまって悪かったな・・・ファイリスク!ファイブレードとヴァキュリティブレードだ!」
俺が笑いながら冗談交えながら叫ぶと手と腕から出てきたそれぞれの武器を手にして振り返りながらその二つの剣を振るうが
「あら、惜しかったわね。」
相手のほうが早かったのか避けられてしまった。
だけど俺は避けてくれて良かったのと当たらなくて残念だったと二つの思考がめぐっていた
「サトシ、どうしたの?クルートの機体はファイリスクよりも速いよ。」
「・・・ああ、だったらまずはあのスピードを落とさねぇとな・・・なぁアイリス。」
「?」
俺がキョトンとしているアイリスに向かってこう言う
「今あいつが避けてくれて嬉しかったんだよ。」
「そうなの?」
「ああ、アイリス・・・俺はな戦意を殺すってことを最初は考えていた。」
「うん。」
「だが今は、殺したいって・・・攻撃が当たらなかったことに残念に思ったんだよ。」
「そう・・・」
「・・・これっておかしいと思うか、急に自分の考えが変わっちまうことが。」
「ううん・・・おかしくないよ、私だって最初の頃は信じたくないって思っていた、だけど知れば知るほど信じるしかなかった。でも私は考えが変わるってことはおかしくはないって思う、それにここにいる時点で私が真実を知ってしまったってことだもん、クルートは連れ戻すって言っているけど、戻ったらきっと二度と自由になれるチャンスなんてないと思う。」
「アイリス・・・」
「それに帝国を止めてほしいって約束したのは私だもん。だったらその罪を私にも背負わせてよ、たとえみんなを殺すことになっても・・・ね?」
「そうか・・・ありがとうなアイリス。おい、クルート!」
「何でしょう?」
「お前の所の大大将さんに伝えろ!こっちはもう迷わねぇ、俺は全力でお前らの侵攻を止める、それが殺すことになってもな・・・ってな!」
「そうですか・・・では本気で殺しあいましょう。」
「アイリスしっかり捕まってろよ。」
「うん、頑張って。」
「行くぞ!」
改めて覚悟を決めた俺は剣を構えなおして、クルートに向かっていく
一方ライリスク帝国王の間では聡史、ファイリスクとクルートとの戦いを見ている二人がいた。
「どうやらアイリス様はあの地球人とファイリスクと一緒のようですな。」
「ふっ、さすがは私の娘だな。」
「どうなされますか?アイリス様は我々がやってきたことを気づかれずに調べ上げたみたいですな。」
「なに、娘のことは気にする必要はない、あの子だってわかっているはずだ、ここに戻されればもう逃げだすことはできないと。」
「では、計画は続けるということでよろしいですかな?」
「うむ・・・しかしグローフよ。ファイリスクを操っているあの男は何者なのだ?」
「確かにそうですな、あれはそもそも“我らの血が入っていなければ”操れない代物のはずです。」
「ならなぜやつは操れておるのだ?・・・そこも含めて調べる必要がありそうだな・・・いるか?」
そう闇に向かって声をかけると闇の中から男が現れ
「はい、なんでしょうか?」
「あの男とファイリスクの関係を調べてはくれまいか?」
「わかりました。では・・・お任せください。」
男はそういうと闇に消えていった
「では、我々はこのままここで楽しむとしましょう。」
「そうだな・・・面白いものを期待しているぞ、ファイリスクとファイリスクを操る者よ・・・」