虚空騎士ファイリスク二話part1
「ファイリスクに選ばれし者よ、ライリスク帝国を・・・父を止めてください!」
「お・・・おう。」
(こいつってたしかライリスク帝国の姫だよな・・・)
「なぁ・・・なんで止めてって言うんだ?・・・あんたあそこの姫なんだろ?」
「たしかに私はライリスク帝国の姫ですが、つい最近まで帝国が侵略行為をしていたことは知らなかったの。」
「知らなかったって・・・軟禁ってやつか?」
「軟禁ってなに?」
「そうだな・・・なんていったらいいかね・・・」
一応俺の乏しい知識でなんとか説明をしてみたが、にしてもいろいろと世間知らずなところが多いなこのお姫様。
「まぁ、こんな感じなんだけど・・・どうだ?」
「なるほど・・・そういうことなんだ、今まで何不自由にやっていたので。」
「そうか・・・にしてもどこで侵略行為知ったんだ?だっていままで何不自由なく生活してたんだろ?」
「知った理由ですか・・・ある時普通に城の庭を普通に散歩していたら・・・」
「あいかわらず平和だよね、クロリアス。」
「そうですね、姫様。」
「ねぇクロリアス、あそこにいるのってお父様とグローフさん・・・だよね?何話しているんだろ?」
「なんでしょうね?」
「ちょっと聞いてみましょう。」
「ひ、姫様!」
「ちょっとだけだから大丈夫よ、お願い・・・クロリアス?」
「しかし・・・わかりました。少しだけですよ・・・」
「ありがとう。」
で、それでこっそりと聞いていたら
「さて、陛下。次の侵略地についてなのですが・・・」
(侵略?いったいグローフさんは何をおっしゃって・・・)
「ふむ・・・だがそろそろあの機体を回収せねばな。」
「ファイリスク・・・ですか?」
(ファイリスク?どっかで聞いたような・・・)
「しかし、ファイリスクがどこにあるか・・・ここ数年侵略を行ってはそこの土地で探していますが・・・どこにもいませんでした。」
「となると・・・次はあ奴が行方をくらませたところか?」
「あの男ですか・・・」
「うむ、あの男・・・ニューズが消えた地球というところだ。」
「地球ですか・・・確かあの星は一度侵略に失敗したところですね。」
「ああ、だがあの時ニューズが我々を裏切らなければあんな星など簡単に侵略できたというのに・・・」
「ですな・・・」
(確か地球って・・・大婆様がきれいな星で好きだったって言ってた星よね、いつしか私も行ってみたいと思っていたけど・・・)
「あの姫様・・・そろそろよろしいですか?」
「え?う、うん・・・そうね。」
(侵略ってどういうことなの?・・・これは調べる必要があるわね。)
「なるほど・・・んで、その帝王様と幹部・・・っていうのか・・・そいつらの話を偶然聞いてしまったと・・・」
「それで、これまでのライリスク帝国の歴史を調べてみたの・・・そしたらこう書いてあったの少し省略していうけど・・・大まかにはこうよ」
ライリスク帝国は侵略を繰り返し銀河系のすべてを侵略、破壊していった。彼らがいつから侵略国家になったのかはわからないほどに昔からこの行為を繰り返している。いつしか帝国が攻めてきたときはすべての終わりと噂されていた。そして彼らが現れるとき、そこに必ず空間の切れ目が現れ、そこから軍団の機体が出てくる、そしてその空間は虚空空間と呼ばれる空間でこの空間は並大抵の機体では耐えることができない、そして虚空空間では特殊エネルギーである「ヴァキュリティエネルギー」しか機能しない。
「て、いった感じね。」
「ずいぶんと説明口調な略し方だな・・・」
「そこは気にしないでもらえるかな?」
「おお・・・わるい、わるい。」
「それでファイリスクのことについても調べてみたんだけど・・・ここにあるのとファイリスクが生まれた経緯ぐらいしかわからなかったの・・・」
「ん?・・・大将さんもここにライリスク帝国が来たなんて知らなかったんだぜ・・・いやもしかしたら、上層部がその事実を隠した・・・ってのも考えられるな。」
「それは考えられるかも。」
「そういや、最初あったときファイリスクに選ばれし者って言ったよな、それはどういうことだ?」
「それに関しては私もわからないの・・・だけど、そう言わないといけないって思ったから言っただけ。」
「そうなのか・・・」
というより
「お前はいつまで寝てるんだよ!ファイリスク!」
俺はそれを言いながらファイリスクの足を蹴ってみたが
「————————」
「ダメだな・・・」
一切反応しなかった・・・というよりこいつに痛覚ってあるのか?
そんなことを考えていると
「ここは私に任せて。」
「え?あ、おい!」
そういうとライリスク帝国の姫様はファイリスクに手を付けるとファイリスクがまぶしいぐらいに光り始め、数十秒後光が収まると
「・・・・ここは?」
「起きたか!ファイリスク!」
「サトシか、ここは?・・・っアザミ様!」
「アザミ?いや、こいつはアイリスって名前だぞ。」
「初めまして、ファイリスク。私はアイリス・ナイザールといいます。」
「申し訳ございませんあまりにもアザミ様に似ていたもので・・・」
「???」
「いえ大丈夫ですよ、アザミは私の曾祖母です。」
「曾祖母って・・・」
「そして、つい最近に亡くなりました。」
「そうか・・・アザミ様が・・・」
「・・・・・・・」
なんだろうな、さすがにそこら辺の話はセンシティブだからあんまり口は出さないでおいたほうがいいか・・・しかしこのままだと日が落ちる
「まぁ、積もる話もあるだろうが、そろそろ日没だ。今はゆっくり休もうぜ、あっ姫様はファイリスクの中で休んでてくれ、俺は外で寝るから。」
「え?いいの?」
「ああ、そんな高価そうな服着ているから土とかをつけるのはどうかなと・・・」
「ありがとう。」
「ファイリスクもそれでいいな?」
「だが、私に入れるものは・・・」
「お前自身が選んでるんだろ?だったらいいじゃねぇの?つーかお前の声が聞こえる時点で大丈夫だろ、それにこの姫様からは敵意を感じないしな。あとアザ・・・ミ・・・だっけかその人に似ているんだろ?」
「あ、ああ。」
「なら大丈夫だろ?」
最初あったときに『彼女しかいないがな』って言ってたし、その彼女っていうのもきっとそのアザミって人だろうな、その人と同じ血が流れてるこの姫様なら乗れるだろう
「まぁ・・・いいじゃねぇか、それに姫様をお前の手の上にのせて、寒―い風を浴びせるよりも乗せたほうがいいんじゃねぇの?」
「確かに・・・ではアイリス様乗ってください。」
「ありがとうね、ファイリスク。でも寝るときだけでしょ?だったらまだ乗らないよ。それにその後ろの食べ物は何?」
「ああ、今夜の夕飯の材料だ、今から準備するから待っててくれ。」
そのまま俺は採ってきたもので飯の準備を始めた。
「わかりました、ではお願いします。ファイリスクに選ばれし者よ。」
「あぁ、そういや、名前・・・名乗って無かったな、俺の名は櫻田聡史、冒険家だ!今は分けあってこいつに乗っている。そして約束は絶対に守る男だ!よろしくな。」
「サトシね・・・えっと、約束は絶対に守る・・・とはなぜなんで?」
「ん?・・・まー、そういう性格だから、まぁ流石にできない約束はしねぇけどな。」
「例えばどんな約束?」
「いや・・・まぁ~そうだな・・・犯罪を示唆するようなやつとかか?というよりもそんなのは約束じゃなくて命令か・・・まぁ他人に損がでるような約束はしたくねぇな・・・」
「悪い約束はしないってこと」
「ま、そういうもんだ、何でもかんでも約束を取り付けるわけではねぇよ、内容によっては引き返せなくなって大変なことになる場合もある。」
「それじゃあ、最初にあったときのことは・・・」
「あれか・・・ああいうのは別に悪いことじゃないし、それに姫様は帝王様を止めたいんだろ?・・・だったら、約束は守るぜ。・・・たとえその結末が何であれ・・・な。」
「ありがとう、それと私のことは姫様じゃなくてアイリスって呼んでね、様はつけなくていいから、約束ね。」
「早速使うじゃねぇかよ・・・ま、別に構わねぇけど。そんじゃあアイリス、準備できたから少し待っててくれ。」
「わかった。」
俺とアイリスは明日に備えるためにご飯を食べ、寝ることにした。とはいっても俺は焚火の炎を消さないように見張ってなきゃいけないしな、にしても俺がここにいるってことを海たちが気づいてくれるといいんだがな・・・