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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第三章 王都レイルゼード 学園地下迷宮
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83 エルフとハーフエルフ

 学園の午前の授業が終わり昼休みとなった。

 授業の合間の休み時間にオレとアイラ姉は他の生徒に色々質問攻めをされて大変だった。

 一応無難に答えておいたが。

 昼休みはゆっくり休みたい······。



 昼ごはんは学園内にある食堂で食べるようだ。

 場所がわからない(後で学園内をMAPで調べればよかったと気づいた)ので誰かに案内を頼もうとしたがミウはカトリア先生に頼まれ事をされたらしくいなかった。


 ロディンさんとリイネさんも何か用事があるらしくすぐに教室を出て行っちゃったし。

 アイラ姉はいつの間にか他の生徒と食堂に向かったようだ。

 ············取り残されたな。少し寂しい。



 エイミとミールがまだ残っていたので二人に案内をお願いすることにした。


「というわけで案内を頼んでいいかな?」

「ワタシは構いませんけど」


 オレの言葉にミールが答える。

 相変わらずの無表情だ。

 それに対して姉のエイミは何か困ったような表情だ。

 エイミはリンとは別の意味で男が苦手らしい。


「で、でもレ、レイ君······あんまりわたし達とは一緒にいない方がい、いいと思うよ?」


 エイミがそんなことを言った。

 どういう意味だろうか?

 同じ部屋に住んでいるんだし今更な気がするんだが。


「どういうこと?」

「えと······その、あの············」

「それよりも食堂に行くのなら早くしましょう。遅くなると混みますから」


 問い返したがエイミはあわあわ言うだけで答えられずにいる。

 まあいいか。

 冷静なミールが先導で案内してもらう。



 食堂はすでに多くの生徒が集まっていた。

 日替わりで定食が出るようだ。

 列ができていたので並び、定食を受け取る。

 エイミとミールも定食を受け取り、すでに席に着いていた。



 満席というわけではないがそれなりに生徒が多く席は埋まっていたが二人の周りは空席が目立つ気がする。

 まあちょうどいいか。

 オレも二人の隣の席に座った。


「いただきます」


 さっそく定食をいただく。

 肉と野菜のスープに黒いパンだ。

 ······不味くはないが美味しくもないかな。


 初めて異世界に来た時のことを思い出す。

 こちらの世界の食事レベルはこれが普通なのだろう。

 アルネージュでは食事事情をアイラ姉達と色々改善したからな。

 ······食事は転移魔法で戻って向こうで食べようかな。


「レイさんはもしかして貴族なのですか? ずいぶん礼儀正しく食事をされてますけど」


 ミールがオレの食べてる所を見て言う。

 オレの食事の仕方が礼儀正しく見えるのはアイラ姉の教育のたまものだろう。

 確かに周りを見ると貴族っぽい生徒は礼儀正しく食事をしているが平民っぽい人はワイルドに食べているな。


「いやオレは平民だよ。ミールはどうなんだ? そっちも礼儀正しく食べてるみたいだけど」

「ワタシも平民ですよ。エルフ族はおとなしく食事をするのが普通なだけですよ」


 ミールは平民か。となるとエイミもか。

 というかエルフやハーフエルフにも貴族とか身分はあるのかな?

 まあ貴族だとか平民だとかなんて別にいいか。



 定食は正直いまいちだったがミール達とお喋りしながらなのでそれなりに楽しめている。

 だがそんなオレ達に水を差すような輩が現れた。


「おやおや珍しい物を見たな。キミらが人族と食事をしているなんて」


 エルフの生徒が声をかけてきた。

 なんか嫌味な言い方だな。

 ミールは無表情だがエイミは声をかけられた時にビクッとしていた。


「彼女達と一緒に居たら駄目なのか?」


 オレはそう問い返した。

 よく見たらこのエルフ、オレ達と同じ特別クラスの生徒だ。

 レベル31でミウ以外では一番高かった奴だ。


「ああそうか、キミは今日学園に来たばかりだから何も知らないんだね。とりあえず自己紹介をしよう、私はフェルケン=フォマード。その二人と違い純粋なエルフだよ」


 フェルケンと名乗った男は純粋なエルフらしい。

 男にしては少し長めの金髪で、かなりの美形だ。



[フェルケン] レベル31

〈体力〉550/550

〈力〉200〈敏捷〉220〈魔力〉450


〈スキル〉

(魔力増加〈中〉)(詠唱破棄)

(森の精霊の加護〈大〉)



 それなりに強いステータスだな。

 レベル45のミウとそんなに変わらない。

 (魔力増加〈中〉)と(森の精霊の加護〈大〉)の効果でステータスが底上げされてるんだな。


「そしてその二人は他種族の血が混ざった紛い物のハーフエルフさ」


 キザったらしくフェルケンが言う。

 ああ、ゲームとかでもよくある話だな。

 純血を好むエルフはハーフエルフを嫌うってやつか。


 ハーフエルフと言われてエイミがさらにビクついている。

 ミールは相変わらず無表情だが。

 まあハーフエルフがどうとかはオレには関係無い話だ。


「彼女らがハーフエルフだとしてだから何なんだ?」


 オレの言葉にフェルケンが眉をひそめた。

 しかしすぐに表情を戻す。


「私は親切心で言ったのだがな。ハーフエルフは災いを呼ぶ不吉なもの。無闇に近づけばキミも不幸な目に合うかもしれない。事実その二人は多くの人を不幸にした」


 ハーフエルフが不吉なものとかはエルフなら言いそうなイメージだからわかるがエイミとミールが多くの人を不幸にした?

 ······本当のことなのか?

 確かにエイミとミールとは会ったばかりでまだオレは何も知らないが。

 しかし少なくとも悪人には見えない。


「この二人が何をしたんだ?」

「それは私の口から言うべきではないが······興味があるなら教えてもいいぞ?」


 いちいち嫌味ったらしいな。

 気にはなるがコイツが言うことが本当かどうかもわからないしな。


「いや、別にいい」


 だから聞く必要はないな。


「忠告はありがたく受け取る。けどオレは自分の目で見たものを信じるからね。不吉だとか不幸にするとかそんな曖昧な言葉だけで二人から離れるつもりはないよ。············まあエイミとミールの方がオレといるのを嫌がるなら話は別だけど」


「そ、そそそ······そんなことないよ!? わたしレイ君のこと嫌がってないよ!」


 オレの言葉を慌てて否定するエイミ。

 ちょっと嬉しかった。

 初対面で着替えを覗いてしまったから嫌われていても不思議じゃなかったからな。


「フッ······キミは優しいんだね。そこのハーフエルフ達には過ぎた人物だよ」


 何でコイツはいちいち言うことがキザったらしいんだ。


「レイさん······無理にワタシ達に付き合わなくてもいいんですよ?」

「いや、別に無理してなんかいないよ」

「そう············ですか」


 無表情だがミールが安心した雰囲気を出した。


「なるほど、父親と同じで他者を惹き付けるのは上手いみたいだな。だが父親同様に信頼されきったところで裏切るつもりかも············」

「父様を悪く言うなっ!!」


 フェルケンの言葉にミールが声を荒げた。

 ほんの少しだが怒りの表情が見える。

 基本無表情のミールがこうなるってもしかして相当怒ってるんじゃないか?

 それにしても父親? 何の話だ?


「私は本当のことを言ったまでだ。あの()()のせいでどれだけの命が失われたと思ってる?」

「······っ!! それ以上口にするのは許しませんっ」


 ミールが魔力を集中し始めた。

 まずい、相当怒ってるみたいだ。


「まさか私に〝決闘〟を申し込むつもりかな? キミ程度の実力で」

「ええ、その通りです。あなたに〝決闘〟を申し込みます! ワタシが勝てば今の言葉を取り消してもらいます」


 なにやら物々しい雰囲気になってきたぞ。

 決闘って······どうするつもりだ?








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