79 国王との対面
次の日になり国王と対面する時間が迫っていた。オレ達は昨日の衣装姿で馬車に乗り王城へ向かう。
馬車にはオレとシノブとアイラ姉、そしてスミレが乗っている。
グレンダさんは今まで通り外で護衛しながら一緒に来ている。
ミウ達は呼ばれていないのでお留守番だ。
一応オレ達が目立ちたくないということは伝えているらしいので謁見はあまり大々的なものにはならないようだが。
しばらくすると王城の入り口の門が見えてきた。
遠目からでもわかっていたが近くで見るとさらに迫力のある立派な城だな。
まず一般人は立ち入れない所だろう。
オレ達も一般人のはずなんだけどな······。
門番の兵士がグレンダさんに敬礼して門が開かれる。馬車から降りてグレンダさんを先頭に進んでいく。
城の中も豪華絢爛だった。
ゲームとかなら豪華な城なんて見慣れているが現実になると話が違う。
緊張してきたな············。
アイラ姉は昨日と違いドレス姿でも凛々しい表情だ。
シノブは緊張しているというよりまだ着なれていないドレスに戸惑ってる感じかな。
スミレは相変わらず考えてることが読めない。
そんなことを考えながら気を紛らわした。
そのまま進んでいくと大広間に着いた。
周囲にはたくさんの騎士達。
奥には玉座があり国王が座っていた。
あまり大々的なものにはしないんじゃなかったのかな?
充分大掛かりに見えるんだが。
「国王陛下、冒険者一行をお連れしました」
グレンダさんが膝を突き言う。
オレ達もそれに習って片膝を突き頭を下げる。
スミレが一歩動作が遅れたのでシノブが小声で説明していた。
「うむ、貴殿らの活躍は聞き及んでいる。堅苦しい挨拶はいらぬ、面をあげよ」
国王は50代くらいかな?
さすがは威厳があるというか迫力がある。
レベルも82とかなり高い。
自ら戦場に立つタイプの王様っぽいな。
「では失礼ながら······私はアイラ。国王陛下との対面、光栄に思います」
アイラ姉が立ち上がり国王に一礼する。
気品溢れるその姿に周りの騎士から感嘆の声が漏れていた。
オレ達もアイラ姉に続いて名乗った。
「うむ、その年で聖女と共にオークキングを討ち倒し、さらにはアルネージュで様々な活躍を見せたそうだな。その功績を認め、名誉勲章を与えよう」
そういえばグレンダさんに事前に聞いていた謁見の名目は勲章の授与だったか。
周囲の騎士はざわざわ騒いでいる。
名誉勲章ってそんなにすごいのか?
アイラ姉を先頭にオレ達は(スミレも)一人一人前に出て国王から勲章を受け取る。
金貨よりも一回り大きなメダルって感じだな。
それぞれ受け取った後は再び一礼して退室した。
こうして国王との対面は無事に終わった。
ってそんなあっさり終わるわけないんだよな。
ここまでは表向きの謁見であり、勲章をもらっただけで詳しい話は何もしていない。
オレ達はグレンダさんに別室に案内された。
ここは国王や大臣クラスの人が仕事をする執務室らしい。
······そんな所にオレ達が入っていいのかな?
部屋には男女二人がオレ達を待っていたように立っていた。
二人ともオレとアイラ姉と年は変わらないくらいに見える。
まるで王族が着るような衣装を身に纏った美男美女だ。
いや、まるでじゃなくて多分······。
「もういらしていたのですか?ロディン様、
リイネ様」
グレンダさんが二人に頭を下げる。
騎士隊長のグレンダさんが頭を下げる程の人物ということはやはり······。
「グレンダ殿、この方達は?」
アイラ姉が問う。
「第二王子ロディン様と同じく第二王女のリイネ様です」
やはり王族だったか。王子と王女か。
でもその二人が何故ここに?
さっきのグレンダさんの言い方だと来る予定だったみたいだが。
「今紹介されたが俺は第二王子のロディンだ。話に聞いていた異世界人に会いたくてな」
「わたしは第二王女のリイネだ。ここにいる理由は弟のロディンと同じだ」
ロディンさんとリイネさんが自己紹介したのでオレ達もそれぞれ名乗った。
ロディンさんはオレと同じ17才でリイネさんはアイラ姉と同じ18才だそうだ。
話に聞いていたと言っていたがもしかして王城の関係者は皆オレ達が異世界人だと知ってるのかな?
「お前達が異世界人だと知っているのは王城でもごくわずかだ。俺達も出来る限り口外しないから心配しなくていい」
それならまあいいかな?
それにしても二人とも話のわかる人物みたいだ。
王族だからとオレ達を見下したりとかの雰囲気はない。
「あの堅物のグレンダに女が出来たと聞いたからな。是非見てみたかったというのもある」
「ロディン様、アイラ殿とはそういう関係ではありませんと前にも言ったはずですが」
ロディンさんがアイラ姉に目を向ける。
こうして並ぶとロディンさんとアイラ姉は同じくらいの身長だな。
アイラ姉もそれなりに長身の方なのだが。
「惚れ惚れするくらい美しい女性だな。グレンダと付き合っていないなら意中の男はいるのかな?」
「世辞は結構だロディン殿。そして意中の男など私にはいない」
「世辞を言ったわけではないのだが」
王子のロディンさんから見てもアイラ姉は魅力的なようだ。
「ロディン、あまり軽薄な態度は控えろと言っておいたはずだが?」
「そんなに軽薄だったかな姉上?」
リイネさんがロディンさんに言う。
リイネさんはアイラ姉のように凛々しいタイプの女性だな。
王女より姫騎士という言葉が似合う。
――――――――ギイッ
入り口の扉が開き誰か入ってきた。
「ほう、すでに全員揃っていたのか」
入ってきたのは国王だった。
国王は部屋の中を見回しそう言った。
「余がこの国の王であるゼリュームだ。異世界よりの来訪を歓迎しよう」
どうやら国王との対面の本番が始まるようだ。




