表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第三章 王都レイルゼード 学園地下迷宮
88/735

77 王都レイルゼード

 ついに国王からの呼び出しがかかり、オレ達は王都に向けて出発することになった。

 王都までは馬車で数日くらいの距離らしい。


 冒険者ギルドや商業ギルドに王都に行くのでしばらくは留守にすると挨拶回りをしておいた。

 転移魔法を使えばいつでも戻ってこれるんだけど、転移について知っているのは領主や冒険者ギルドマスターなど一部の人だけだからな。

 なるべくは使わないつもりだ。



 王都へは領主のセルグリットさんが馬車を用意してくれて、グレンダさんと数人の騎士が護衛という形で送ってくれるようだ。

 王都に向かうのはオレとシノブとアイラ姉、そしてスミレだ。

 スミレはオレと離れたくないと譲らなかったので一緒に連れていくことにした。

 女の子一人増えるくらい問題ないだろう。


 エアリィや子供達に留守の間の果樹園の世話などは任せて王都に向けて出発した。





 王都への道のりは平穏そのものだった。

 たまに魔物は出たけどグレンダさん率いる騎士達が倒してくれたのでオレ達は何もしていない。

 ちなみにグレンダさん達はアイラ姉の訓練を受けていたのでかなり強くなっていた。


 グレンダさんはレベル130を超えているし、他の騎士も平均80くらいになっている。

 今のグレンダさんならグレートオークどころかオークガイアでも倒せそうだ。


 というわけでのんびり風景を楽しみながらの旅になっている。たまにはこういうのも悪くはないな。






 そうして何事もなく数日かけて王都に着いた。

 アルネージュの町もかなりの規模だったが王都はそれ以上に広いな。

 町の入り口は検査待ちの馬車や人が大勢並んでいたけどオレ達の馬車はほぼ顔パス状態で門を素通りした。

 さすがは王国騎士団隊長グレンダさんが護衛しているだけあるな。


「レイさ~ん! アイラさんにシノブちゃんも待ってましたよー」


 王都に入るとグレンダさんの妹のミウネーレが出迎えてくれた。

 横には弟のユーリもいる。


「お久しぶりです、シノブさん」

「ユーリ殿も元気そうで何よりでござる」


 加護を与えた仲だからなのか、この二人ずいぶん仲良くなったものだな。

 しかしあれからそんなに経ってないはずなのにミウ達と会うのはずいぶん久しぶりな気がする。


「ところでレイさん、その子は誰ですかー?」


 ミウがスミレを見て言う。

 そういえばミウとユーリはスミレとは初対面だっけ。

 オレは簡単にスミレと出会った経緯を説明した。

 幻獣人族だというのは話すべきか迷ったが、ミウとユーリはオレ達が異世界人だと知っているし今さら秘密にすることはないかと思い教えた。


「スミレさんですかー、あたしはミウネーレですよー」

「ぼくはユーリです」

「ボクはスミレ············よろしく」


 ミウ達が自己紹介しあった。

 ユーリとは年も近いし仲良くできそうだな。



 オレ達と軽く挨拶を交わした二人はお兄さんであるグレンダさんにも声をかけた。

 普通そっちがメインじゃないかな?


「それでは私は国王陛下に到着の旨を伝えに行く。ミウとユーリは彼らの案内を頼んだぞ」

「はいお兄様、任せてくださいですー」

「わかってますよ兄さん」


 兄のグレンダさんの言葉に元気良く答える二人。

 どうやら王都に着いていきなり国王に謁見というわけではないようだ。

 王城に向かうグレンダさんを見送った。



 それにしてもここがこの国最大の町か。

 王都レイルゼード。

 町の賑わいはアルネージュ以上だ。


「ミウ達は王都のどこに住んでるの?」


 王都の学園に通っているはずだし学生寮でもあるのかな?


「貴族専用地区にお母様が住んでいるお屋敷があるのでそこに住んでいますよー」

「ミウ達の母親って王都に住んでたの?」


 どうりでアルネージュにいた時に母親の話を聞かなかったわけだ。

 もし亡くなってたりしたら気まずかったから聞けなかったんだよな。


「お父様の屋敷程じゃないですけど充分広いんでレイさん達の部屋も用意していますよー」

「え、いいの? オレ達が泊まっても」


 泊まる場所は王都の宿を探すか、最悪見つからなかった場合は転移魔法でアルネージュのオレ達の家まで戻るつもりだったんだが。


「もちろん大歓迎ですよー! レイさん達のことを話したらお母様も会いたがっていましたし」


 ミウ達の母親ってどんな人だろうか?

 少し興味あるな。

 アルネージュの領主である父親やグレンダさん達の人柄を見る限り、いい人だと思うが。


 というわけでミウ達の住む屋敷があるという貴族専用地区に向かう。

 王都の散策もしたかったが今日はもうすぐ夕暮れの時間帯だしな。

 また後日でいいだろう。



 道中聞いた話によると学園の学生寮もちゃんとあるらしい。

 貴族と平民が一緒に授業を受けているとか。

 それって身分差とかで衝突しないのかな?

 貴族のほとんどはミウ達のように自宅通いらしく、寮に住むのは平民ばかりだそうだ。


 通っているのは10~18才くらいで初等部、中等部、高等部と年齢ごとに分かれるらしい。

 小学、中学、高校が一つになった感じかな。

 まあオレが異世界の学園に通うこともないだろうし、あまり関係ないか。



 そうこうしている内にミウ達の住む屋敷に着いた。

 アルネージュにある領主邸よりは小さいが充分に立派な屋敷だ。


「お帰りなさいませ、ミウネーレ様、ユーリ様。そちらは話に聞いていたお客様ですね?」


 メイドさんが迎え入れてくれた。

 二十代前半くらいかな?

 若くて綺麗な人だ。

 オレ達が来ることは前もって聞いていたようでスムーズに話が進む。



「お母様ー、お客さまを連れてきましたよー」


 屋敷の応接間のような広い部屋に案内される。

 そこにはミウとユーリの母親だと思われる女性が待っていた。

 長男のグレンダさんが22歳だから40~50代くらいの年かな?

 けどそれよりも若く見えるな。


「うふふ、歓迎するわよー。私はメイアース=フェルクライト。あなた達のことはミウとユーリから色々聞いているわ。初めての子もいるわねー?」


 優しそうな雰囲気の人だ。

 喋り方がなんとなくミウに似ているな。

 いや、ミウが母親譲りなのかな。


「これはご丁寧に。私はアイラと申します」

「レイです」

「拙者はシノブでござる」

「ボクはスミレ············」


 オレ達はそれぞれ挨拶をする。


「ミウとユーリがあなた達のことを楽しそうに話すんですもの、私も会ってみたかったのよー」

「母さん! 余計なことを言わないでください!」


 ユーリが恥ずかしそうに母親の口を止める。

 家族仲は良いみたいだな。


 ミウ達の話しによると母親にもオレ達が異世界人だということは話したらしい。

 こう見えて口は固い方だと言うがまあそこはミウ達を信用しよう。


「異世界の話についてとか色々聞きたいけどそれよりも明日の準備を先に済ませないとねー」


 明日の準備?

 何のことかと思ったら国王との謁見ことだった。

 グレンダさんは事前にオレ達が王都に到着する日を連絡していたらしく、明日には国王と対面できるらしい。

 ······オレとしてはもう少し時間をかけてくれてもよかったんだが。


「レイ君は少し待っててねー。まずは女の子達からよー」

「メイアース殿、一体何を?」

「二人にはキレイなドレスを用意しているわよー。もちろんスミレちゃんの分もあるわ」


 ああ、国王と謁見するのに冒険者としての普段着じゃマズイか。


「ドレスでござるか?」

「色々あるわよー。シノブちゃんには可愛いのがいいかしら? スミレちゃんはどんなのが似合うかしらねー」


 忍者かぶれのシノブはあまり女の子らしい服を着ないからな。

 スミレもオシャレには無頓着だったし良い機会かもしれないな。


「わ、私もドレスを着るのか?」


 アイラ姉が少し動揺したような声で言う。

 そういえばアイラ姉もそういうことには無頓着だった。

 もっともアイラ姉は美人だし何を着ても絵になるんだよな。

 アイラ姉のドレス姿か············見てみたいな。


「もちろんよー。さあこっちの部屋に来てねー」


 メイアースさんの合図で何人かのメイドさんが入ってきて三人を連れていった。

 オレとミウとユーリだけが残された。


「レイさんの衣装も用意していますから楽しみにしてくださいねー。格好いいのを選びましたからー」


 ミウが言う。オレの分もか············。

 あんまり堅苦しい服は苦手なんだけどな。



 アイラ姉達の準備が終わるまでミウとユーリと他愛ない雑談で時間を潰した。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ