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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第三章 王都レイルゼード 学園地下迷宮
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74 魔人討伐

(テリアside)


 ユウと協力して戦っているけどやっぱりこの魔人相当強いわ。

 並の魔物なら致命傷になるダメージを与えてもまったく倒れる様子がない。


「ふはははっ! これで終わりだ! 魔力吸収(マジックドレイン)!!」


 魔人がスキルを使ってきた。

 わたしとユウの魔力が急激に減っていく。

 やばいわ·········。

 魔力が残り少なくて弓矢の具現化を維持できない。


「くっ······」

「ユウ······!?」


 ユウの体力が尽きかけている!?


「消えるがいい! デスクラッシャー!!」


 間髪入れずに魔人が魔法を放ってきた。

 とんでもない魔力の塊······今吸収したわたし達の魔力を使ったのね。

 避ける余裕も相殺する魔力も残ってないわ············。



―――――――ドオォォォンッ!!!



 魔人の魔法が直撃して耳を突くような音が響いた。

 ······直撃したにしては何の衝撃もないわね。

 前を見ると3つの人影があった。


 結界の外から来たレイさん、シノブさん、そしてアイラさんだった。

 今の魔人の魔法はかなりの威力があったはずだけど三人とも何のダメージも負っていない。


「フム、間に合ったようだな」

「結構ギリギリだったでござるよ」


 冷静な口調でアイラさんとシノブさんが言う。

 レイさんは無言で魔人を警戒している。


「なんだお前達は? ············いや、そういえば結界の外から来た人間がいたのだったな。俺の復活に居合わせるとは不運な奴らだ」


 魔人が三人を見て言う。

 自分の魔法攻撃を防がれたことは気にも留めてないみたいね。


「言葉が通じるのならばまずは話し合いをしよう。かつての魔王はすでに討たれこの世にはいないはずだ。お前が金輪際人間に害を及ぼさないと誓い降伏するのならば見逃してやってもいいぞ」


 アイラさんの挑発とも取れる言葉に魔人の表情が変わる。


「人間ごときが俺に降伏を求めるか? なるほど······結界の外はずいぶん世間知らずな人間で溢れているようだな! さらには我が主が討たれただと? 我が主は不滅の存在、勇者といえど滅することなど出来ぬわ!」


 魔人がアイラさんに向けて魔力の塊を放った。

 アイラさんは涼しい顔でかき消した。


「そちらがやる気ならば私も手加減はせぬぞ?」

「人間ごときが! そのうぬぼれをあの世で後悔するがいい!」


 魔人がアイラさんに襲いかかる。

 アイラさんも武器を抜き迎え撃った。

 あれは刀と言われる武器だったかしら。

 レイさんとシノブさんもそれぞれ武器を抜いた。


「うう······」

「ユウ!? 大丈夫なの!?」

「······うん、ごめんテリア、もう体力がほとんど残ってなくて動けないよ」


 もともとあの魔人はユウの魔力と生命力を吸い尽くしたって言っていたものね。

 こうして生きているだけでも奇跡みたいなものなのよ。


「あの人達って結界の外から来た人達だよね?」

「ええ、情けないかもしれないけどここはレイさん達に任せましょう。ユウはゆっくり休みなさい」


 わたしはユウを守る位置に立ちながら三人の戦いを見守った。


「アースクエイク!!!」


 魔人が魔法を唱えた。

 すごい振動と共に大地が波打つように揺れた。


「真空斬っ!」


 振動を気にも留めずにアイラさんが刀を振るうと斬撃が飛び魔人の身体を斬り裂いた。


「ヘルフレア!!」


 さらにレイさんが「炎」の魔法を放った。

 とんでもない熱量の火炎が魔人を襲う。

 さらにシノブさんが小太刀で魔人の身体を切り刻む。


「バ、バカな!? 人間がこれ程の力を!?」


 あの魔人が一方的に押されているわ。

 この人達本当に強いわ。

 外の世界の人達ってこれが普通なの?


「ならばその魔力を吸収してくれる! 魔力吸収(マジックドレイン)!!」


 魔人がスキルを使ったみたい。

 けどレイさん達に何の変化もないわ。


「そんなバカな!? 魔力吸収(マジックドレイン)が効かないだと!?」


 魔人が慌てた声をあげる。

 魔人はさらに別のスキルを使った。

 けどそれも何の効果もなかった。


「どうなっている!? 生命力吸収(ライフドレイン)まで効かないなどありえん!? お前達何をした!?」

「何もしていないぞ? お前の力が大したことないだけだろう」


 慌てる魔人にアイラさんは涼しげに答えた。


「く······まさかこれを使うことになるとは············精々後悔するがいい!」


 町中に広がっていた魔法陣が魔人に吸い込まれるように消えていく。

 魔人の両腕にはどんどん魔力が集まっていく。


 まさかこいつ······町中の人達から集めた魔力を一気に解き放つつもり!?

 そんな膨大な魔力が放たれたら町そのものが吹き飛びかねないわよ!?


「ふはははっ!! すべて消えるがいい!

デスプロージョン!!!」


 考える間も無く魔人が魔力を解き放った。

 どうしたらいいの!?

 わたしの魔力じゃとても相殺仕切れない威力だわ!



「うおおおっ!!!」


 レイさんが前に出て魔人の放った魔力を抑え込んだ。

 魔力の塊は徐々に小さくなっていき、ついには消滅した。


「ふう、今のは結構ヤバかったかも」


 一息ついたようにレイさんが言う。

 結構ヤバかったって······全然余裕に見えるんだけど?

 あの魔力を抑え込むって······レイさんの魔力は魔人をはるかに上回っているってことだわ。


「バ、バカなバカなバカな!!? なんなのだお前達は!? とても人間とは思えん! 一体何者だ!?」


 さすがの魔人も取り乱しているわ。

 魔人の言葉にアイラさんがムッとした表情になった。


「まったく············この手の輩はみな同じことを言うのだな。私達は正真正銘人間だ」


 魔人の気持ちもわからなくはないけど確かにわたしも人間とは思えないとか言われたらムッとくるわね。

 アイラさんが構えた。


「これで終わりだ。数百年の時を超えて成仏するがよい。百花繚乱······桜花無双撃!!!」


 アイラさんが流れるような動きで魔人を斬り刻んでいく。

 女のわたしが見ても()()れしそうになるくらい美しい動きだわ······。


「こ、こんなことがあるはず······ぐわああああーーーーっ!!!???」


 魔人は叫び声をあげて為す術もなく消滅した。



〈レベルが上がりました。各種ステータスが上がります〉


 わたしのレベルが上がったみたい。

 ············え? 一気に30も上がっているわ。

 ユウも同じだけレベルアップしていた。

 あの魔人がそれだけ強かったってことよね······。



 そんな魔人も外の世界から来た三人にはまるで相手になっていなかった。

 復活したところにこの人達が居合わせたことがあの魔人の最大の不幸だったようね。




 こうしてかつて勇者を苦しめた魔人は完全に消滅した。








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