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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第三章 王都レイルゼード 学園地下迷宮
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73 魔人バリュトアークVSユウ&テリア

 テリアが町の中央広場に向かっていったけど放っておくわけにもいかないよな。

 気を失っているミリィを安全な場所に移してオレ達も中央広場に向かうことにした。



―――――――――!!!


 なんだ? 足元が光輝いた。

 いや、足元だけじゃない。町全体が輝いていた。



〈魔力吸収陣の効果を抵抗(レジスト)しました〉



 メニュー画面にそう表示が出た。

 魔力吸収陣?

 周りを見るとグラム達におさえられている人達が魔力を吸われて意識を失っていた。

 死んではいないな。

 もともと低かった魔力を根こそぎ奪われた反動で気を失っただけのようだ。


「師匠、この魔力の流れとやらは町の中心に続いているようでござる」


 シノブも抵抗(レジスト)したようで影響はないらしい。

 つまり町中の人間の魔力を集めてるってことか?

 これもユウって少年の仕業なのかな。


「ここにいたかレイ、シノブ」


 アイラ姉が駆けつけてきた。

 ルーディルさんも一緒だ。

 アイラ姉は平気そうだがルーディルさんは魔力吸収陣とやらの効果が効いているようで気分が悪そうだ。


「大丈夫ですか、ルーディルさん?」

「ああ、すまない······少しふらついただけだ」


 命に別状はなさそうだがしばらく休んだ方がよさそうだな。

 オレ達はここであった出来事を説明した。


「魔力吸収陣か······おそらく古の悪魔の仕業だな」


 ルーディルさんが言う。

 町中の人間から魔力を集めて何をする気だろうか。ろくなことになりそうにないな。


「アイラ殿は禁断の蔵とやらで何か収穫はあったでござるか?」

「ああ、封印されているという悪魔について色々と資料を見つけたぞ」


 どうやらそれなりに収穫はあったようだ。

 だがゆっくり話を聞いてる場合じゃないな。


「ルーディル殿、この場の人達のことはお任せする。私達は中央広場に向かう」

「すまないアイラ殿······テリアとユウ君のこと、よろしく頼む············」


 気を失っている人達のことはルーディルさんに任せてオレ達は中央広場へと急いだ。

 道中アイラ姉に悪魔についての話を聞く。



「封印されている悪魔はバリュトアークという魔人だそうだ。(魔力吸収)と(生命力吸収)の力を持ち、さらには鑑定を妨害、遮断するスキルまで持ち合わせているようだ。当時の勇者も相当に苦戦したらしい」


 魔人か······当時の魔王の側近だって話だったな。

 やはりかなりヤバイ奴みたいだな。

 それに鑑定を妨害か············。

 最初に見たユウのステータス画面がバグった感じになっていたのはそのスキルのせいか?

 遮断もできるということは完全に隠すこともできるのか?

 だとしたら本当に厄介だ。


「レイ、シノブ、この町の人々の魔力とやらがやけに少ないと感じなかったか?」


 確かにオレもそう思った。

 アイラ姉の言葉に頷く。


「これは私の憶測に過ぎないが、その魔人は封印されながらも少しずつ町の人々の魔力を吸収していたのではないか?」


 (魔力吸収)とやらの力がどの程度かはわからないが封印された状態でそんなこと可能なのだろうか?

 だがアイラ姉の憶測は間違ってない気がする。

 ルーディルさんはこの数百年の間に魔法の使い手はどんどん減っていったと言っていた。

 その魔人が復活のために少しずつ魔力を集めていたのか?



 そして今、魔力吸収陣で町中から魔力を集めている。······それってかなりまずい事態なんじゃないか?





 状況を整理しながらオレ達は中央広場に着いた。

 すでに戦闘が行われているようだ。

 あれは······ユウとテリアが悪魔のような魔物と戦っている?

 二人が協力して戦ってるってことはユウは正気に戻ったのか。

 胸元の呪石が見当たらない。



[ユウ] レベル205

〈体力〉340/12200

〈力〉2450〈敏捷〉2910〈魔力〉5100


〈スキル〉

(物質具現化)(詠唱破棄)

(魔力回復速度上昇〈大〉)

(勇者の資格〈1/7〉〈NEW〉)



 鑑定魔法でユウのステータスがはっきり見えた。

 テリア以上にレベルが高い。

 それに以前見えていた〈力〉と〈敏捷〉が上がっている?

 スキルにも(勇者の資格)とかいうのがある。

 詳細を見たいが今はそれどころじゃないか。



[バリュトアーク] レベル◇■●

〈体力〉28500/35500

〈力〉◆■◇●〈敏捷〉■◇◇◆〈魔力〉■◇●◆


〈スキル〉

(魔王の加護〈✕〉)(魔力吸収)(生命力吸収)

(◆●◇●◇●)(◆◇●■◇◆)



 悪魔の方も鑑定魔法で見たがバグったように見えないのが多い。

 鑑定魔法に頼りすぎていたな············。

 情報のわからない相手がこんなに不気味に感じるとは。


「マジックブレード!!」

「マジカルシューター!!」


 ユウが剣、テリアが弓矢を(物質具現化)で作り出して戦っている。

 息の合った連携で悪魔を攻めている。


「即席の連携とは小癪な!」


 悪魔も相当に強いな。

 2対1でいい勝負になっている。

 ユウがレベル205、テリアがレベル155だから悪魔はレベル250~300くらいか?

 異世界に初めて来た頃のオレと同じかそれ以上というわけか。



 側近がこのレベルということは魔王はさらに強いってことだよな············。


「ソード·レイン!!」


 ユウが(物質具現化)で大量の剣を作り出し悪魔に向けて放った。

 剣は雨のように悪魔に降りそそぐ。


「ぬぐっ!? お、おのれっ」


 悪魔は魔法で障壁を作り出して防いでいたが、剣が障壁を破りダメージを負っていた。


「ジャストインパクト!!」


 テリアの放った矢が悪魔を貫いた。

 完全に心臓を射抜いたと思ったんだが致命傷にはなっていないらしい。

 悪魔は矢を抜き反撃に出た。


「調子に乗るな!」


 悪魔は魔力の塊を放ち二人に攻撃した。

 二人は素早く避けるが悪魔はさらに魔力を集め出し追い打ちをかけた。


 ······こんなこと言っている場合じゃないんだろうけど、なんか戦いに割って入りづらいな。


「ふはははっ! これで終わりだ! 魔力吸収(マジックドレイン)!!」


 悪魔が(魔力吸収)スキルを使ったようだ。

 ユウとテリアの魔力が吸われている。

 でもなんで今まで使わなかったんだ?

 厳しい発動条件でもあるのかな。


 いや、それよりも互角だった戦いの均衡が崩れた。

 テリアはまだ余裕があるがユウは体力がもうほとんど残っていない。


「くっ······」

「ユウ······!?」

「消えるがいい! デスクラッシャー!!」


 吸収した魔力を利用して悪魔が強力な魔法を放った。あれはまずいな。

 オレ同様に今まで静観していたアイラ姉とシノブもそう思ったようだ。



 オレ達は同時に駆け出した。

















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