71 ユウVSテリア
(テリアside)
「テリアがここに来たってことはミリィはやられちゃったのかな? 彼女も結構な魔力を秘めてたはずなんだけど、テリアには敵わなかったんだね」
「ユウ、もういい加減こんなことはやめなさい! 今のアンタは正気じゃないのよ」
「嫌だよ、言ったでしょ? ぼくは死ぬまで止まらないって。止めたいならぼくを殺してみせてよ」
「なんでわたしがアンタを殺さないといけないのよ!」
「そうしないとこの町が消えちゃうよ?」
ユウの足元の魔法陣が光出した。
まさか町全体に広がってる?
「何なのその魔法陣は? 何をしようとしてるのよ!?」
嫌な感じがするわ············。
もし破壊魔法陣なら、かなり危険な魔力がすでに溜まっているわ。
「破壊魔法陣じゃないよ? それだとこの町しか破壊できないからね。これは魔力吸収陣だよ」
「魔力吸収陣?」
「魔法陣の上にいるすべての生物の魔力を吸収するものだよ。単純でしょ?」
つまり町の人達全員の魔力を吸収するつもり?
この町に何万人いると思ってるの?
そんな大量の魔力を吸収したら······。
「······ゴフッ! はあはあ······」
「ユウ!?」
ユウが血を吐いた。かなり苦しそうにしてるわ!
ユウの胸元には元凶の呪石が光っていた。
お父さんやレイさん達の話だとあの呪石は装備者の魔力と生命力を吸い取っているはず。
つまりあの呪石がユウの身体を蝕んでいるんだわ!
「今すぐにそのブローチを外しなさい! このままだと本当に死んじゃうわよ!」
わたしはそう言ったけどユウは外す気はないらしい。
「ユウ、アンタそれが何かわかって着けているの? それは······」
「わかっているよ、テリア。こいつには古の悪魔が封印されている、でしょ?」
わかっていたの?
悪魔は装備者の精神を支配して操ると言っていた。
今のユウは操られてるの?
「ユウ、今のアンタは悪魔に操られてるのよ。それを外して正気に戻りなさい!」
「ぼくは正気だよ。ぼくはぼくの意思で動いている。今のぼくってそんなにおかしいかな?」
「おかしいわよ! 外す気がないなら無理矢理にでも外してやるわよ!」
わたしは(物質具現化)スキルで弓矢を作り出しユウに向ける。
ユウもスキルで剣を作り出し構えた。
「やれるものならやってみせてよ、テリア」
「言われなくてもね!」
わたしは弓を引きユウに向けて放った。
ユウは素早くかわした。
「スコールアロー!!」
わたしは上空に向けて矢を無数に放った。
矢は雨のようにユウに降りそそぐ。
「あっははははっ!!」
ユウは剣を使って器用にすべての矢を弾いた。
「今度はこっちの番だよ、テリア!」
「やれるものならやってみなさいよ、ユウ!」
ユウが斬りかかってくる。
そんな攻撃わたしに当たらないわよ。
するとユウはいくつもの魔力の塊を作り出し剣に変えた。無数の剣がわたしを囲む。
「ダンシングソード!!」
剣が変幻自在に動き回りわたしを翻弄する。
いくつかの剣がわたしに向かってきたから、矢を放って相殺した。
飛び交う剣を潜り抜けて、ユウの肩を掴んだ。
「いい加減正気に戻りなさい!」
わたしは呪石を掴み、引き剥がそうとしたけど外れなかった。
まるでユウの身体と一体化しているように。
「本当にテリアはすごいね。悪魔の力を借りてもまだぼくじゃ敵わないんだから」
「ユウ、アンタね······」
こんな時に何を言っているのよ············。
ユウは本当に悪魔に操られてるの?
「ユウ······町を、世界を破壊したいってのは、本当にアンタの意思?」
「··················そうだよ。今更、何を言ってるのさ、テリア?」
「だったら世界を破壊する前に、まずはわたしを殺しなさい!」
わたしの言葉で初めてユウが動揺した反応をとった。
「テリア······? 何でそんなことを······」
「アンタをそこまで追い詰めたのはわたしの責任よ。だからまずはわたしを殺してからにしなさい! それともわたし一人殺せないくせに世界を破壊するとか吹いてるの!?」
「そんなことは············うぐっ!?」
ユウが頭をおさえる。
様子がおかしいわ············。
「違う、ぼくがしたいのはこんなことじゃ············あれ? ······ぼくはなんで、こんなことを······う、ああああああっっっ!!!???」
「ユウ!?」
ユウが苦しみ叫び声をあげた。
「違う違う違う違う違う!!? ぼくはこんなことをしたいんじゃない!! ぼくが望んだのは······」
「ユウ、落ち着きなさい!!?」
「ああああああーーーーーっ!!!???」
ユウの身体から魔力が溢れ出す。
今までのユウとは違う、禍々しい魔力の波動を感じる。
「く······くくくっ」
ユウが笑い声をあげる。
でもユウの声じゃない? 表情も違う。
今までの無邪気な笑いじゃなく凶悪な顔付きになってる。あんなユウの顔見たことない。
「ふはははっ!! しぶとい小僧だったが、ようやく我が手に落ちたか!!」
この感じ、ユウじゃない。
こいつ、まさか············。
「アンタ、封印されてたって悪魔ね! ユウの身体から出ていきなさい!」
「くくくっ、威勢の良い小娘だな。だが口の聞き方がなっていないな!」
ユウ······違う、悪魔が魔力の塊をわたしにぶつけてきた。
相殺できずわたしは弾きとばされた。
「くっ······」
さっきまでのユウとは魔力の大きさが全然違う。
これが古の悪魔の力なの······。
「ふむ、まだ完全復活には程遠いか。まあ良い、そろそろ儀式の準備が整う。ようやく忌まわしき勇者の封印から解放されるのだ! ふはははっ!!」
こいつが、この悪魔が元凶なのね。
許せないわ、ユウの身体を好き勝手に使って············。
絶対にこいつをユウから引き剥がしてやるわ······!




