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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第三章 王都レイルゼード 学園地下迷宮
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68 夢魔族ミリィとの戦い

 アイラ姉はルーディルさんと問題の禁断の蔵を見に行ったようだ。

 危険な魔道具があるらしいがアイラ姉なら大丈夫だろう。

 オレ達はフランディスト家の屋敷に残っていた。



「外の世界はどんな所なんですか?」


 そう言って優しげな表情の女性がオレとシノブにお茶を出してくれた。

 この女性はテリアの母親のマリアさんだ。

 オレもアイラ姉についていこうかと思ったんだが、あの少年がどう動くかわからないので不測の事態に備えてオレ達は残った。

 マリアさんと軽く雑談をしながら時間をつぶす。


「結界が消えてしまったのだから、これからは外の世界との交流も考えないとね」


 マリアさんは今後のことも考えているようだ。

 その一方でテリアは落ち着かない感じだな。

 ユウのことが気にかかるが今どこにいるかわからないので動きようがない。

 探知魔法でも何故かあの少年を探せなかった。


「テリア、落ち着きなさい。気持ちはわかるけど今焦ってもしょうがないわよ?」

「······わかってる、けど······」


 マリアさんに宥められるがテリアは焦りを隠せないでいた。

 しかしそこにさらに慌てた声が響いた。


「た、大変です! また町に魔物が············す、すぐに来てください!」


 フランディスト家のお弟子さんかな?

 ひどく取り乱したように叫ぶ。


「来たのね············ユウ!」


 テリアがすぐに屋敷を飛び出した。

 オレとシノブ、そしてマリアさんもそれに続いた。








 破壊音が響き町の建物が崩れている。

 町の人々は魔物から逃げまどっていた。


「あ~あ、退屈ですねぇ。この町の人間弱すぎですよぉ」


 大型の魔物の上で寝そべりながら少女がぼやいていた。人間じゃない?

 小悪魔風の翼を生やしているし耳も尖っている。



[ミリィ] レベル144

〈体力〉8450/8450

〈力〉1650〈敏捷〉2200〈魔力〉2920


〈スキル〉

(吸血)(身体強化〈大〉)(魔力増加〈大〉)

(邪気吸収)



 見た目とは裏腹にかなり強いな。

 この小悪魔風の少女が魔物を従えているようだ。


「そこまでよ!」


 駆けつけたテリアが魔力で弓矢を作り出し魔物に向けて次々と放つ。


「やっと来ましたねぇ? 待ってましたよぉ。ようやく楽しめそうになりましたぁ」


 魔物の上から小悪魔風の少女が降りてきた。

 待っていた?


「なによアンタ? 魔物の一種なの?」

「魔物とは失礼ですねぇ。ちゃんとミリィって名前がありますよぉ! というわけで夢魔族のミリィでーす」


 テリアの言葉に小悪魔風の少女ミリィが名乗った。



〈夢魔族〉

夢の中に現れてその生物の生命力を吸い取る実体を持たない精神世界の住人。

実体を持つには多大な魔力が必要となる。



 やっぱり人間じゃないのか。

 でも見た目は可愛らしい少女だ。

 正直コスプレしてるだけにしか見えない。

 魔物ならともかく見た目が少女の相手と戦うのはやりにくいな。


「ガアアアアッ!!」


 おっと············さっきのテリアの攻撃じゃ倒せなかった魔物もいるな。

 レベルが80~90くらいのヤツが複数いる。


「ユウ様の命令ですからねぇ、邪魔する奴はみ~んな殺しちゃいますよぉ!」


 ミリィはユウに従っているのか。

 オレ達は魔物相手にするのに問題はないが

 マリアさんはレベル55しかないから危険だな。


「マジックアロー!!」


 テリアが具現化した弓矢で魔物を撃ち抜いていく。

 両親のルーディルさんやマリアさんと比べても桁違いに強いなこの子。


「やりますねぇ? あなたがテリっちですかぁ。ユウ様の()()()してた人間ですねぇ」

「テリっちって············それよりも味方面ってどういうことよ!?」

「言葉の通りですよぉ? ユウ様に味方する()()をして実はなんにもしなかったんですよねぇ? ユウ様が町の人間に虐められているのを見てただけじゃないですかぁ」


 ミリィの言葉にテリアの表情が曇る。

 どうやらミリィはユウからある程度事情を聞いているようだな。


「ち、違うわ! わたしはみんなを止めようと······」

「ずーーっと状況が何の改善もされなかったのにですかぁ? 本気でユウ様を助ける気があったのかも怪しいですよぉ」

「それは······」


 ミリィの言葉に強く反論できないようだ。

 テリアは本気でユウを庇う気はなかったのか?

 そうは思えなかったんだが。


「ま、そんなことはどーでもいいですよぉ。ミリィが町の人間皆殺しにしちゃえばいいだけですしぃ、みんなみ~んな殺しちゃえばユウ様褒めてくれますよねぇ? ミリィだけはユウ様の味方ですぅ、ユウ様を虐めてた人間なんか生かしておく価値なんてないですよねぇ!」


 可愛らしい見た目とは裏腹に過激な発言だな。

 ミリィの指示で数体の魔物が一斉にテリアに襲いかかった。

 いくらレベル155あるテリアでもレベル90前後の魔物を複数同時はヤバイ。


「はっ!」

「とう! でござる」


 オレとシノブはそれぞれオリハルコンの武器を抜き魔物を斬り裂いた。


「む~? あなた達はユウ様の記憶にはなかった人間ですねぇ? なんでミリィの邪魔するんですかぁ!」

「さすがに無関係だったとしてもこんな状況放っておけないだろ?」


 オレは剣を構えて答えた。

 シノブもオレの横に立つ。


「だったら死んでくださいぃ! ミリィの邪魔したことを後悔するんですねぇ!」


 周囲にいたすべての魔物がオレ達に向かってきた。

 好都合だな。

 向かってくる魔物をシノブと一緒に片っ端から倒した。


「す、すごい······」

「外の世界の人達ってこんなに強いのね······」


 テリアとマリアさんが驚いているが、オレ達を外の世界の基準にはしない方がいいと思う。

 ミリィもオレ達の強さに驚きを隠せないようだ。


「な、なんなんですかあなた達はぁ!? 本当に人間ですかぁ!?」


 失礼な············まあ人間離れしたレベルだとは思うけど。

 魔物は一匹残らず倒した。

 あとはこの小悪魔風の少女ミリィだけだ。


「さあ降参するでござるよ」

「調子に乗らないでくださいぃ! ミリィが本気になればあなた達なんか簡単に殺せるんですからぁ!」


 そう言うとミリィは翼を広げて飛び立った。

 逃げるつもりか?

 いや違う、まさか町の住人を人質にするつもりか!?


「あ、ちょっ············待ちなさい!?」

「ふふ~ん! ミリィを止められるものなら止めてみろですぅ!」


 テリアが言うがミリィはすごいスピードで住宅街の方に飛んでいってしまった。

 一般人を巻き込むと厄介だ。



 オレ達は急いでミリィの後を追った。




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