527 謎の機械人形
「――――――創造主との天使族の遺跡を調査中、未知なるゴーレムと複数の魔物に襲われ、はぐれてしまいました。遺跡内部は索敵魔法の類いは封じられ、創造主やアウルム達の行方は掴めず······」
ある程度回復したサフィルスから、詳しい事情を聞くことにした。
天使族の遺跡の調査には、創造主のトゥーレミシアにサフィルス含む11体の殺戮人形。
そして協力者としてバルフィーユと手下の魔人族も同行しているとのこと。
殺戮人形もそうだが、あいつがいるのなら大抵の敵は問題なく蹴散らせそうなのだが。
サフィルスの話によると、天使族の遺跡は想像以上に広く、大都市レベルの規模があるのだとか。
遺跡というより国と言った方がしっくりくるほどの広さだそうだ。
そこの調査中に現れた、警備用と思われるゴーレムも一体一体がサフィルス達殺戮人形に匹敵する戦闘能力を備えているとのこと。
そこへさらに、先程の聖獣と表示されていた魔物が複数現れ乱戦となり、トゥーレミシア達はそれぞれ散り散りにはぐれてしまったのだという。
「――――――索敵魔法などが使えないので、創造主達の行方はわからず、魔物との戦いでフラウムとロセウスが倒れ、私一人ではどうしようもなく、主人に助けを求めるべく遺跡内から飛び出し、馳せ参じた次第です」
さっきの魔物は逃げたサフィルスを追って、一緒に天使族の遺跡から飛び出てきたってわけか。
それと、フラウムとロセウスは黄色と桜色の髪の少女のことだったな。トゥーレミシア達とはぐれた後、サフィルスはその子達とは合流出来たらしい。
それにしてもサフィルス達と違い、あまり話をしたことない子達だけど、魔物との戦いで倒れたって大丈夫なのか?
「――――――わかりません。創造主達の安否も同様に不明です」
聞いてみたらサフィルスが少し落ち込んだ様子で、そう答えた。
サフィルスの話を聞いて、まだ完全ではないけどなんとなく状況は理解出来た。
多分、状況的にトゥーレミシア達は死んだとか、まだそんなことはなさそうだな。
でも、天使族の遺跡とやらは予想以上にヤバイ場所だったらしいということは理解出来た。
それはいいとして、サフィルスが助けを求めてきている。オレはどうするべきか?
トゥーレミシアは魔人族であり、助ける義理などないと言ってしまえばそれまでだが、それほど悪い人ではないし(怖い人だけど)エイミやミール達とも交流のある人物だ。
こうしてサフィルスが助けを求めてきたのに無視するのは目覚めが悪い。
だがサフィルス達殺戮人形に匹敵するか、それ以上の魔物が現れる危険地帯に、いくら(超越者)のスキルを得て大幅パワーアップしたオレでも、一人では荷が重い気がする。
のんびりしてられる状況ではなさそうだけど、ここはアイラ姉達とも相談した方が良さそうだ······。
――――――――――!!!!!
そう思った直後、空から複数の何かが降りてきてオレ達を取り囲んだ。
全身が見たことないような金属に覆われた人型のゴーレム? それが全部で3体。
「――――――主人、コイツらは天使族の遺跡で現れた未知なるゴーレムです」
コイツらがさっきの話に出ていたゴーレムなのか。ゴーレムというより、機械仕掛けの人形······ロボットみたいだ。
さっきの魔物同様にサフィルスを追ってきたのか?
[――――] レベル―――
――――Unknown――――
駄目だな。
レベルもステータスも名前すらわからない。
鑑定魔法も(神眼)のスキルもまったく役に立たない相手だ。
コイツらからは魔力も何も感じないから、さっきの魔物よりは脅威ではなさそうに見えるが、それだけでは強いのか弱いのか判断出来ない。
どうするか······とりあえずはコイツらの様子を伺おう。
「逃亡シタ侵入者ヲ発見」
「モウ一方ノ生体反応ハデータニアリマセン」
「構ワナイ。マトメテ転送スル」
コイツら、喋ったぞ。
まあ同じ······かはわからないがゴーレムのグラムも喋れるんだし、あまり不思議ではないか。
しかし、初めて喋った時のグラムよりも機械的で感情がまるでないような声質だ。
――――――――――!!!!!
ゴーレム達がオレとサフィルスを取り囲んだ状態で、光り出した。光はこの場の全員を包むように輝きを増していく。
ゴーレムの1体が転送とか言っていたけど、ひょっとしてコレは転移魔法の一種か?
エンジェや冥王の使っていた転移魔法陣から出る光に似ている気がする。
だが、これはゴーレムから直接放たれている光で、魔法陣らしきものは見当たらないが······。
いや、そんなことを考えてる場合じゃない。
光はオレ達を包み、気が付いた時には別の場所まで飛ばされていた。