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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第七章 古代天上都市フェーマ 天使族の置き土産
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閑話⑳ 10 王女の思惑

(ミューニィside)


 その後も、マレットと他愛無い話に花を咲かせて楽しく過ごしていた。

 そんな時、マレットは私の胸のペンダントに目を向ける。


「そういえばミューニィ様、珍しい宝石のペンダントを着けていますわね」

「ふふっ、わかるマレット? 私に相応しく、美しい輝きの宝石でしょう」


 この町に来た収穫の一つなのよね。

 これほどの美しい宝石が、あのようなガラクタばかり置いているような店にあるとは思わなかったわ。

 一目見て気に入り、店主が驚くくらいの大金で買ってあげたのよ。


「何やら特殊な魔力を感じますわね。効果はわかりませんけど、これは高度な魔道具みたいですわ」


 やはり、これは特別な宝石なのね。

 けど、どういう効果があるのかは城の学者か魔術師にでも聞かないとわかりそうにないわね。

 あまり他の者には触れさせたくないのだけど、どんな効果かは確かに気になるわ。



 ························そういえば、(レイ)がこのペンダントを見て、洗脳がどうとか言っていたわね。

 あの時はあまり気にしていなかったのだけど、まさか······?


「ミゼル、ちょっとこっちに来てくれるかしら?」

「何でしょうか、ミューニィ様」


 私はミゼルを呼び、試してみることにした。

 ミゼルは私の専属騎士団の隊長で、護衛騎士の中でも特に付き合いが長い。

 基本、私の命令には忠実に動いてくれるのだけど、普段の日常生活では融通が利かず、少し口うるさいところがあるのよね。


「ちょっと、これを飲んでみてくれるかしら?」


 私は屋敷のメイドに果実酒を持ってこさせて、ミゼルに差し出した。


「申し訳ありません、ミューニィ様。ご存知だと思いますが、私は酒類は苦手でして······」


 そんなことは知っているわ。

 ミゼルはお酒が苦手で、一口も飲むことが出来ないことくらい。

 だからいくら私の命令でも、大した理由なくお酒を飲んだりしないわよね。


 やっぱり何も起きないかと思ったら、胸のペンダントが何やら薄く光を放った。

 すると、ミゼルの雰囲気が変わった。


「ですが、せっかくのミューニィ様のご厚意ですので、有り難くいただきましょう」


 次の瞬間、何の躊躇いもなく私が渡した果実酒を飲み干した。

 これは間違いないわね。

 こんなにもあっさりミゼルがお酒を飲むなんて。


「お、や······何やら、ミューニィ様が······二人······いや、三人に見え······」


 苦手なお酒を飲んだミゼルは、すぐにフラフラになり、だんだんと呂律が回らなくなってきた。

 なんとか倒れないように壁に寄りかかったけど、そのまま目を閉じて眠ってしまった。


「ミューニィ様、今のはもしや······?」

「ええ、間違いないわねマレット。どうやらこのペンダントには対象を従わせる効果があるみたいだわ」


 そう考えると、この町の住人が私の命令に素直に従っていたのも、このペンダントの効果だったってことかしら?

 てっきり私の溢れ出る美貌に平伏していると思っていたのだけど、やけに素直過ぎるとも思ったのよね。

 ということは、(レイ)はこのペンダントの力を知っていたのかしら?

 まあ、それは今度聞いてみればいいわ。



 それよりも、このペンダント······色々使えそうね。

 特に帝都では、私に素直に従わない者もいるし、これを使って上手く従えさせることも出来そうだわ。

 まさか一目見て気に入ったペンダントに、こんな効果があったなんて。

 これは女神様の思し召しかもしれないわね。


「精神操作の効果ですか······それは危険ではないでしょうか? 精神に影響を与える魔道具は、取り扱いが難しいという話ですわよ」

「心配性ね、マレット。これはそんな危険な物じゃないわよ」


 確かにマレットの言うように、魔道具を扱えきれずに暴走させたという話は聞くけど、私はそんなドジじゃないわよ。

 帝都に帰る前に色々試して、使いこなせるようにすればいいわ。



――――――――――!!!!!



 それはいいとして、何やら部屋の外が騒がしいわね。何かあったのかしら?


「例の怪盗が仲間を連れて、再び侵入してきたそうです!」


 部屋の外の警備の騎士に何があったのか聞いたら、そう答えた。

 ああ、私が町を回っていた時に、怪盗を自称する不届き者が一度侵入してきたとか言っていたわね。

 その時は何も盗らずに逃げ出したそうだけど、性懲りもなくまた来たってわけね。


 仮にもここは領主の屋敷だというのに簡単に侵入されるなんて、ずいぶん舐められているじゃない。

 やっぱり帝都と違って、この町の警備の練度はなっていないわ。

 ここは私の専属であるミゼルと騎士団を動かして、レベルの違いを見せつけて······。


「························zzz」


 と思ったのだけど、ミゼルは酔い潰れて眠っちゃっていたんだったわ。

 タイミングが悪かったわね。

 まあ、とはいえ怪盗の一人や二人、私の騎士団ならミゼル抜きでも捕らえることは容易いはずだわ。



 ペンダントの効果を試す良い機会かもしれないし、私自ら相手をしてあげようじゃない。

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