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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第七章 古代天上都市フェーマ 天使族の置き土産
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閑話⑳ 8 怪盗活動開始

 自分から言い出したこととはいえ、怪盗(ローウル)に協力することになってしまった。

 まあ、王女(ミューニィ)のペンダントをどうするべきか悩んでいたから、ローウルと協力するのは丁度良いかもしれない。


 問題は上手く王女の手からペンダントを奪えたとして、それをローウルに渡していいのか、だな。

 洗脳効果を持つアイテムを悪用されないように、王女から奪おうとしているのに、ローウルが悪用してしまっては意味がない。

 ローウルは悪用しないと言っているが、信用出来るかは共に行動することで見極めよう。


「そういや、お互い自己紹介をしていなかったっけ。オレはレイ。一応、冒険者をやっている」

「では改めて、私は世紀の大怪盗ローウルだ。本来なら私一人でも問題ないのだが、特別に私の助手として働かせてやろうではないか」


 とりあえずは今更だが、お互いに自己紹介をした。

 ローウルは高笑いでもしそうな、偉そうな口調でそう言った。ドジっ子属性の怪盗なんて初めて聞いたが、それはもういいだろう。


「それで、どうする? また領主の屋敷に忍び込むのか?」

「王女が戻っていればな。お前の話を聞く限りでは、王女は肌見離さずペンダントを身につけているのだろう?」


 王女が戻っていなければ、領主の屋敷に行っても意味ないからな。

 ちなみに領主の屋敷には、他にローウルの目に止まるような宝はなかったそうだ。

 まあ、あったとしても盗ませたりはしないが。

 あくまで目的は王女の持つ危険な魔道具だけだ。


「ただいまですです」

「ただいま戻りました、マスター様。例の王女は町を一通り回ったのちに、領主の屋敷に帰ったそうです」


 オレがローウルと話している内に、町の様子を見に行ってもらっていたディリーとアトリが帰ってきた。

 どうやら王女は領主の屋敷に戻ったようだ。

 町を回っている時だと騎士団が常に護衛をしているだろうから、屋敷に戻ってくれたのならやりやすい。


 犯罪行為には違いないんだし、こんなことはさっさと終わらせよう。










(ローウルside)


 私は華麗な大怪盗ローウル。

 そんな私でも、たまには失敗もする。

 仲間が人族に取られてしまった呪われし魔道具を、私が華麗に取り戻したのだが、調子に乗ってうっかり落としてしまい、しかもそれがよりにもよって国の王女の手に渡ってしまった。


 改めて取り戻そうと領主の屋敷に侵入したが、王女の姿はなく、警備も甘く見ていたため、退散するしかなくなってしまった。

 ちょっと失敗が重なっているが、これから華麗に挽回すればいいのだ。


 そんな時にレイという名の人族に会った。

 この男は以前、アルフィーネ王国で私を捕らえに来た冒険者の一人だ。


 とはいえ、私はこの男の実力を知らない。

 以前はレイの連れていた、並外れた実力のお子様達(スミレとメリッサ)に手こずってしまい、この男とは手を合わせていないからだ。

 その後は、あの変態的な姿をしたヒーローに敗れ、アルフィーネ王国を一時的に離れたのだが。

 まさか、こっちで再会することになるとは思わなかった。



 どうやらレイは、王女の持つ魔道具の効果を知っているらしく、そんな危険な物を放って置くわけにはいかないと、私に協力を申し出てきた。

 私一人でも取り戻すことは可能だが、協力してくれるというのであれば手を組むのも悪くはないだろう。

 連れのお子様があれだけ強かったのだから、レイもそれなりに実力を期待出来るかもしれない。


「ただいまですです」

「ただいま戻りました、マスター様。例の王女は町を一通り回ったのちに、領主の屋敷に帰ったそうです」


 そう話がまとまったところで、情報収集に出掛けていたメイド達が帰ってきた。

 例の王女は領主の屋敷に戻っているようだ。

 レイが二人のメイドに労いの言葉をかけた。


 しかし、本当にレイはただの冒険者なのか?

 メイドを侍らした平民など聞いたことないが。

 それに、このディリーとアトリというメイド、何やら気配が妙なのだが?

 人族ではない······別種族だろうか?

 レイは人族のようだが、何故そんな二人をメイドとして雇っているのか。

 気にはなるが、今は魔道具を取り戻すことに集中しよう。





 そうして再び領主の屋敷の近くまでやってきた。

 やはりというか、警備が先ほどよりも厳重になっているな。


「ではでは、行ってくるですです」

「陽動はお任せください」


 そう言って、メイドの二人が屋敷の入口の警備の者に話しかけに行った。

 あの二人は、この町では顔を知られているようで、警備の者達も警戒することなく、二人から差し入れの果実を受け取っていた。


「じゃあ、ディリー達がああやって注意を逸らしている内に侵入しようか」


 確かに警備の者が集まり、我先にと果実に手を伸ばしている。私も先ほど少し食べたが、あの果実はなかなか美味な物だったからな。

 良い感じに引き付けられているな。


「一応、隠密魔法を使って中に入るか。ローウルも隠密魔法は使えるよな?」

「舐めるな。それくらい容易いわ」


 当然それくらいのことは出来る。

 本来、怪盗は人目に触れつつ華麗に盗み出すものだがな。まあ、この状況では仕方無い。


 レイも隠密魔法を使用したようで、目の前にいるはずなのに気配をほとんど感じなくなった。

 やはり、この男も相当な実力者だな。



 では、ささっと終わらせることにしよう。


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