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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第七章 古代天上都市フェーマ 天使族の置き土産
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閑話⑳ 6 怪盗を尋問中

 逃したはずの怪盗が何故かウチにいたので、とりあえず捕獲することに成功した。

 ちょっとハプニングがあったため、かなり不機嫌そうにしているが、逃げようとする様子もないので、聞きたいこともあるから話をすることにしよう。


「えっと、ローウルでいいんだよな? ウチで一体何をしていたのかな?」

「··················」


 ローウルがオレの質問に答えずに、仏頂面をしながら睨みつけてきた。

 さっきまで着けていた狐のお面は外れているので、今はローウルの素顔は露わになっている。

 正直、実年齢は知らないが、ローウルは年下の女の子にしか見えないので、睨みつけられても可愛らしいだけで怖くはない。


「マスターの質問に答えるですです!」

「尋問代わりましょうか、マスター? 死なない程度に溶かして、必要情報を吐かせます」


 口を開かないローウルに、ディリーとアトリが問い詰める。

 特にアトリが物騒なことを言っているが、そんな手荒な真似をするつもりはない。

 ローウルはそんな二人を気にせず、オレを睨み続けている。


「そういうお前こそ、なんでこの国にいるんだよ? 冒険者かと思っていたら、別の国にこんな別荘まで持ってる貴族だったのかよ」


 ようやく口を開いたと思ったら、質問で返してきた。


「いや、冒険者であってるよ。オレは貴族でもなんでもない、平民だ」

「こんな屋敷を持って、メイドまで侍らせている平民がいるか!!」


 正直に答えたのに、なんか思い切り否定された。

 言いたいことはわかるが、本当のことなので否定されるのは心外だ。


「まあ、貴族とか平民とかはどうでもいいだろ? それよりも、こっちの国でも泥棒なんてやってるのか」

「泥棒じゃない、私は誇り高き怪盗だ!」


 やってることはただのコソ泥だと思うが。


「そのアルフィーネ王国の王都を騒がせていた怪盗が、なんでこっちの国に?」

「それは、仕方無いだろう。あっちには変態的に強いヒーローがいたからな。いずれ、アイツも負かしてやるつもりだが、今の私では実力不足と判断して、活動の場を変えたのだ」


 ローウルは何かを思い出したのか、頬を赤く染めてそう言った。

 そのヒーローとは、ひょっとしなくても()()()()のことだろうか?

 以前、うっかり()()()()()を着けてしまい、その姿で怪盗ローウルと対決する流れになってしまったことがあった。

 それを思い出すと、オレもなんだか気まずい気持ちになってきてしまった。


「お、お前からすれば、そんなことはどうでもいいことだろう!」


 気まずい空気を振り払うように、ローウルが言った。確かに気まずかったから、ちょっと助かった。


 それにしても、この子をどうするべきだろうか?

 町の警備兵などに突き出そうにも、まだオレも仲間だと誤解されている可能性がある。

 それに前に捕らえた時も最後には逃げられてしまったから、通常の拘束では同じことになりそうだし。


「なら質問を変えるけど、この町の領主の屋敷で何を盗もうとしていたんだ?」


 ちょっと疑問に思ったので聞いてみた。

 普通に考えたら、領主の屋敷の宝石類や金目の物を狙っての犯行だと思うが、警備の人達が()()()()()()()()()()とか言ってるのが聞こえたんだよな。

 王女といえばミューニィのことだろう。

 ミューニィはこの町に滞在している内は、領主の屋敷に泊まっているというから、その点は不思議なことじゃない。

 そして、王女の持ち物で怪盗が目をつけそうなのに心当たりがある。


「王女の持つペンダントが狙いだったんじゃないか?」

「············!? お、お前······なんでそのことを!」


 どうやら図星だったようだ。

 見た目にも珍しい宝石がついていたし、王女の持ち物を盗るなんて、怪盗的にも良いシチュエーションなのだろう。

 だが盗むのに失敗して、逃げようとしたところでオレと鉢合わせたってところか。


「王女の私物を盗るために領主の屋敷に侵入するとか、大胆というか、考えなしというか」

「ちょっと、しくじっただけだ! こんな辺境の田舎町の警備と思い、つい油断してしまってだな······」


 呆れて思わず口走ったら、ローウルが言い訳っぽい言葉を並べた。

 まあ、領主の屋敷で王女が滞在しているとあっては、普段よりも警備に力を入れているだろうしな。


「もしかして、ウチに居たのも王女の私物を狙ってか?」

「············そうだ。領主の屋敷に侵入したはいいが、肝心の王女が町に出ているため留守だったのだ。入手した情報によると、何故か王女はこの屋敷に入り浸っているらしくてな。念の為、確認していたのだ」


 観念したのか、ローウルは素直に口を開いた。

 留守だったってことは、王女は領主の屋敷にまっすぐ帰ったわけではなく、町を見て回っているのかな?

 ここの果実を気に入り、視察そっちのけで入り浸っていたみたいだし、ようやく本格的に視察を始めたとか。まあ、それはいいや。



「言っておくが、今回は怪盗としての行いではない。あの王女の持つペンダントは、もともとは私の物だ。それを取り返そうとしただけだからな······!」


 おや? あの他人を洗脳するペンダントは、もともとはローウルの物だと?

 口から出任せか、それとも本当に?


 どちらにせよ、ちょっと気になるな。

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