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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第七章 古代天上都市フェーマ 天使族の置き土産
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閑話⑳ 4 怪盗再び

 王女ミューニィは騎士達と共に帰っていき、洗脳されていた住人もディリーとアトリによって正気に戻された。

 洗脳されていた住人達は夢を見ていた感覚だったようで、自分が何をしていたかは理解しているが、何故王女の命令を聞いていたかはわからないらしい。


「いきなり騎士団を引き連れて来たかと思ったら、町でウワサの果実を渡せと言ってきてな」

「帝都の王女様とはいえ、横暴過ぎると文句を言おうとしたんだが······」


 住人達が口々に言う。

 今でこそ多少マシになっているが、この町の住人は貴族などに、あまり良い印象を持っていないので、横暴な振る舞いをされれば反発する。

 だが王女に目を向けられたら、言う事に逆らえなくなったということか。


「さあ、皆で片付けるですです」

「わたし達も手伝うので、全員でキレイに掃除しましょう」


「「「はい、姐さん方!!」」」


 ディリーとアトリの指示で、住人達がミューニィや騎士達の食べ残しと思われる、果実の残骸や食器を片付けていく。

 二人に指示された住人達は、ミューニィに洗脳されていた時のようなニコニコ顔で従っている。

 今回は状態表示に(洗脳)とは出ていないので、本心からの行動だろう。

 やはりディリーとアトリは、住人達と良好な関係を築けているようだな。





 屋敷や果樹園のことはディリー達に任せて、オレは冒険者ギルドなどに行き、町の様子を見ながら情報を集めることにした。

 王女達が町に来て、どんな影響があったのか気になるからね。


「数日前くらいにやって来て、騎士を引き連れながら町を回っていたな。王女様よりも女騎士の上から目線の言動が目に触ったが、王女様がその都度取り成していたから、特に騒動らしきことは起きていないな」


 というような話を聞けた。

 女騎士というのはミゼルって呼ばれていた隊長さんや、他の隊員のことだな。

 確かに、あの隊長さんは自身が王女を護衛する選ばれた人物だと誇り、一般人を見下していそうな雰囲気があった。

 その振る舞いに、反発しそうになった住人や冒険者達もいたそうだが、王女に見つめられると怒りを収めたそうだ。

 多分、(洗脳)の魔道具の効果だろうな。


 住人達のステータスを一通り見ておいたが、状態に(洗脳)と表示されている人はいなかった。

 状態異常表示が出ないだけで、エルフの里の時のような潜在的に(洗脳)効果が残っているとか、そういうこともなさそうだった。

 おそらくは(洗脳)は一時的なもので、時間経過で解かれるタイプなのだろう。

 やはりエルフの里の件に比べたら、大した影響はないな。



 王女自身、あのペンダントが(洗脳)の効果を付与された魔道具だとは気付いていなかったが、もし気付いたら、どうするだろうか?

 危険な魔道具だと思い処分するのか、それとも悪用してしまうのか。

 現状、どっちに転ぶかわからないな。


 こっちの国にはあまり縁が無いが、だからといってオレには関係ないことだと、放って置くのもアレだしな。






 情報収集をしながら、どうしようか考えたが、結局良い案は浮かばなかった。

 一応、王女達が泊まっているという、クラントールの領主の屋敷の前まで来てみたのだが、じゃあどうするかって話だしな。

 忍び込んで、ペンダントだけでも盗み出そうかと、そんなバカなことを考えてしまったが、さすがにそれはただの犯罪だしな。


 まあ、ミューニィはオレ達の作った果実などを気に入っていたし、おそらくはまた訪ねて来るだろうから、その時にそれとなく探ってみるかな。


 そう思って、帰ろうとしたら······。



――――――――――!!!!!



 領主の屋敷の2階付近の窓ガラスが割れて、誰かが飛び出してきた。

 黒装束で全身を覆い、顔は狐と思われるお面で隠した、小柄な人物だ。

 黒装束の人物は、丁度オレの目の前の位置に着地した。もう少し位置がズレていたら、ぶつかっていたかもしれない。

 というか、それよりもこの人物、見覚えがあるぞ。


「お前はローウルとかいう、あの時の怪盗か?」

「······ん? げっ、お前は以前、アルフィーネ王国の私の屋敷に侵入してきた男······!?」


 顔は隠しているが、姿が前に見た時と同じだから一発でわかったぞ。

 向こうもオレを覚えていたようだ。


 この人物は怪盗ローウルと名乗り、アルフィーネ王国の王都で宝石類を中心に盗みを働いていた奴だ。(閑話⑰参照)

 厨二病のような言動をするが、素顔は結構可愛らしい女の子だったんだよな。

 向こう(アルフィーネ王国)では結局取り逃してしまい、その後音沙汰無いと思っていたら、こっちの国まで来ていたのか。

 この様子を見るに、こっちでも盗みを働いているようだ。



「いたぞ、あそこだ!!」

「もう一人、誰かいるぞ! 仲間か!?」


 怪盗ローウルを追って、領主の屋敷から警備の人達が出てきた。


 ちょっと待て。

 もしかして、オレまで怪盗の仲間だと思われている?


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