表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第七章 古代天上都市フェーマ 天使族の置き土産
712/735

520 お迎え

 意識の戻らないテリアのために、外の森に薬草を採りに行っていた、ユウ達が帰ってきた。

 シャルルアとジャネンが事の経緯を説明すると、ユウ達はすぐにテリアのいる部屋へと向かった。



 どうやら、すでにテリアの意識は戻っていたようで、部屋の中からは喜びの声などで、騒がしくなっていた。

 オレが出来ることは終わったし、せっかくの喜びの場面に水を差しちゃ悪いと思い、部屋には入らなかった。

 テリアの意識が戻ったのなら、もう心配いらないだろう。




 妖精族や龍人族達との話し合いも中断してしまったが、ある程度は今後の方針も決まっていたし、後は聖女セーラ達に任せても大丈夫だろう。



「そういえば、すごろくの勝敗は結局どうなるでござるか?」

「引き分けってことになるかな? 代わりの魔道具を用意しようにも、そこの怖〜い女王様が許してくれなさそうだしね」


 フィーネとのゲームでの勝負は、シノブが魔道具(すごろく)を壊したことで、有耶無耶になったようだ。

 そんなふうに軽く言うフィーネを、後ろから妖精女王が睨んでいる。


「どうしてもアタイの素性を知りたいのなら、今度改めて訪ねて来た時に教えてあげるよ。隠すようなことじゃないけど、話すと長くなるからね」


 何やら込み入った話があるようで、フィーネは妖精女王と龍王にズルズルと引きずられながら、連れて行かれてしまった。

 まあ、気になるけど今すぐ知りたいってわけでもないし、フィーネの素性については、次の機会でもいいか。

 シノブもそれで納得しているし。





「テリアをたすけてくれて、ありがとう。ユウもよろこんでる」

「············助けたのはシノブとご主人様。ボクは何もしてない」

「にししっ、まあよかったんじゃない? レイおにーさんとシノブなら、これくらいなんてことなかったんだろうし」


 向こうではスミレとメリッサが、マティアと和気あいあいと会話していた。

 マティアは無表情ではあるが、心なしか嬉しそうにしているように見える。

 やはり、仲間のテリアが目覚めたことを喜んでいるんだな。




「レイさん、改めてありがとうございます。ユウさんもエレナさんも、本当に嬉しそうにしていました」


 目覚めたテリアの容体を確認している聖女セーラに付き添っていたリンが部屋から出てきて、改めてお礼を言ってきた。

 ちなみにセーラは、まだ部屋の中に残っている。


「テリアはどうだった? まだ身体に不具合とかありそうだったりはしない?」

「目覚めたばかりなので、まだ本調子ではないようでしたが、魔虫に寄生されていた後遺症などはなさそうです」


 それはよかった。

 これで、もうオレがここに残る理由はないな。

 妖精の国を少し見て回りたい気はするが、今はそんな雰囲気じゃないし、後日でもいいかな。

 慣れない会議に付き合って、疲れたしな。


「えっと、レイさん······もう帰ってしまうんですか?」

「まあ、もう用は済んだからね。残りの妖精族と龍人族との話し合いは、セーラやリン達に任せるよ」


 リンが名残惜しそうに言う。

 オレとしても、リンともう少しくらい話していたい気もするけどね。

 ゆっくり話すのは、お互いの状況が落ち着いたらでいいだろう。






――――――――――!!!!!



 そんな感じにそろそろ帰ろうかと思った時、何やら城の警備の妖精達が騒がしくなっていた。

 また何か起きたのか?


「何事ですか!?」


 リンも表情を引き締め、警戒する。

 雑談していたシノブ達も、何が起きてもいいように構えた。


 探知魔法で確認すると、どうやら外から何者かが侵入してきたようだ。

 というか、反応が物凄いスピードでこっちの方に向かって来ている。


 その何者かは、すぐに目の前までやってきた。




「――――――ようやく見つけたの」


 そう言ってオレ達の前に現れたのは、黄色い髪と翼を生やした少女だった。

 すごく見覚えのある少女なのだが······。


「あれ、フラウムじゃん? なんでプルルスだけじゃなく、フラウムまでここにいるの?」

「――――――そのプルルスを迎えに来たの。でも、メリッサまでここにいるなんて、聞いていないの」


 メリッサが声をかけ、少女もそれに応えた。

 やはりこの少女、神将トゥーレミシアの使役している殺戮人形(キラードール)の一体だ。

 サフィルス達ほど関わったことはないが、前にトゥーレミシアが引き連れてきた時に見たことがある。


「――――――フラウム、何の用かな、かな? ボク、創造主(グランドマスター)にちゃんと許可もらってここにいるよ、よ」


 気配に気付いたようで、プルルスが部屋から出てきた。ちなみに周りの妖精族達は、怯えながら様子を伺っている。

 このフラウムって子は殺戮人形(キラードール)と呼ばれるだけあって、レベル920もある実力者だからな。

 レベル20〜30の妖精族では太刀打ち出来ないだろう。


「――――――その創造主(グランドマスター)からの招集なの。天使族の遺跡の調査のため、全員集合なの」


 フラウムが拙い口調で、淡々と言った。

 そういえば、前にトゥーレミシアが近い内に全員招集させるって言っていたっけ。

 どうやら妖精族の国に用があるわけじゃなく、本当に迎えに来ただけみたいだ。


 ということは、サフィルス達のいる王都の方にも迎えが行っているのかな?


「――――――ええ〜、ボクまだユウ君達と一緒に居たいかな、かな」

「――――――ダメなの。創造主(グランドマスター)の命令は絶対なの」

「――――――むぅ〜、わかったよ。だったらユウ君達にお別れ言ってくるから、ちょっと待っててよ、よ」


 フラウムの有無を言わせぬ口調に、プルルスが折れた。やはり真の主である創造主(グランドマスター)の言葉には逆らえないようだ。


「ねぇねぇ、フラウム。アチシはアチシは?」

「――――――メリッサは連れて行かないって聞いているの。おとなしくお留守番なの」

「そんな〜、アチシだけ仲間外れなんてズルいよ!」


 フラウムのにべもない言葉に、メリッサが頬を膨らませる。



 天使族は詳しいことは何もわかっていない、未知の種族らしいし、仕方無いんじゃないかな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ