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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第七章 古代天上都市フェーマ 天使族の置き土産
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519 勇者の帰還

 それからシノブ達に詳しい話を聞いた。


 エアリィ達の案内で妖精の城を探検していたら、封印の間と呼ばれる場所を見つけたとのこと。

 封印の間は名前の通り、入れないように封印されていたらしいが、何故かメリッサが触れたら、あっさり解かれたそうだ。

 そうして中へ入ると、フィーネと名乗る女の子がいたと。



 何故フィーネが封印の間にいるのか、素性などはゲームに勝ったら教えるという条件で、すごろくを始めたらしい。

 そのすごろくは普通の物ではなく、自分自身がコマとして入り込んで、お題を実体験出来る魔道具だったようだ。

 もっとも、その魔道具(すごろく)はシノブが壊してしまったらしいが。

 さっきの衝撃は、シノブが魔道具を破壊したものだったのか。


「手強い相手だった故、手加減を忘れていたでござる」


 シノブが申し訳なさそうに言う。

 なんで、すごろくをして戦闘(バトル)が起きるのかとツッコミたかったが、まあそれはいい。


 とりあえずは誰も怪我はしていないようだし。

 部屋の中は、結構メチャクチャになってるけど。


「まいったよ、可愛らしい勇者だと思って、アタイも甘く見ていた。今代の勇者はとんでもないね」


 フィーネがやれやれと、ため息をついた。

 魔道具を壊されたり、自分の部屋がメチャクチャになったことは気にしていないっぽいな。


 それにしても、勇者ってシノブのことか?

 まあ異世界出身だし、普通じゃないのは間違いではないか。


「何を暢気に言っておるカヤ! 勝手なことをして、我が城を壊す気カヤ」

「いやいや、妖精女王? アタイだって、こんなことになるなんて思わなかったんだよ」


 妖精女王の怒りの言葉に、フィーネが慌てて弁明する。まあ、話を聞く限りだと、さっきの衝撃の原因はシノブらしいけど、焚き付けたのはこの子(フィーネ)だものな。

 それにしても、このフィーネっ子、何者だろうか?

 鑑定魔法は弾かれたけど、(神眼)のスキルを使えばステータスを覗けるのだが、さっきそれで睨まれたから、やりづらいな。


「その娘、見覚えがあるな。まさか······」

「ん······げっ!? 人族の姿をしてるけど、もしかして龍王か? なんで龍人族の王が妖精女王の城(ここ)にいるんだよ!?」


 言い合いを続ける二人のもとに龍王が近付いて、フィーネをジッと見た。

 それに気付いたフィーネは振り向き、龍王の顔を見るなり、表情を歪めた。顔見知りなのかな?


「やはり、か。フィーネという名に聞き覚えがあると思ったが。何故、お前が妖精族の国にいる?」

「龍王殿、これには深い事情があるカヤ。ここは我に免じて、矛を収めてほしいカヤ」


 龍王がフィーネに向けて殺気を漏らしている。

 妖精女王は慌てて、龍王を宥めた。

 なんだ? 顔見知りみたいだが、あまり良好な関係でもない雰囲気だな。


「聞きたいんだけど、シャルルアはあのフィーネって子のことを知ってるの?」

「いや、妾は知らぬ。龍王様と知り合いのようじゃが、一体どのような関係なのか······」


 シャルルアはフィーネのことを知らないみたいだ。けど龍王と顔見知りってことは、あのフィーネって子、結構スゴイ立場の人物なのだろうか?


 一応、ジャネン達にも聞いてみたが、知らないと首を横に振っていた。

 セーラとリンも、心当たりはないそうだ。



「妖精女王様、そのフィーネという方は一体······?」

「此奴は我の古い友人カヤ。こんなナリをしているが、これでも長い年月を生きている、知識深い人物カヤ」


 セーラが女王に問いかけた。

 妖精女王の友人か。

 見た目はシノブ達と同じくらいの小さな女の子だが、どうやらオレ達よりも遥かに年上らしい。

 妖精女王も年齢不詳だけど。

 それはそれとして何故、封印を施した部屋に友人を置いていたんだ?


「とある事情で、此奴は力の大半を失ってしまっているカヤ。それで我が城で魔力のもっとも集束する場に居座せていたカヤ」


 この世界は空気中にも魔力が存在し、それを取り入れることで自身の魔力を回復させることが出来る。

 妖精族の国は、通常よりも大気中の魔力が多めに含まれているらしく、そしてこの封印の間は特に魔力が集まっているそうだ。

 封印を施したのは、大気中の魔力をなるべく逃さないようにするためだとか。


「アタイが本調子なら、勇者にだって負けないんだけどね」


 フィーネがあまりない胸を張りながら言う。

 なんで力を失ったのか、そもそも種族はなんなのか気になることはまだあるが、別にフィーネ自身が封印されるような危険人物ってわけじゃないようだな。








「ルル、テリアが良くなったって本当!?」

「おお、ユウか。まだ意識は戻っておらぬが、もう心配いらぬぞ」


 部屋の外が騒がしいと思ったら、どうやら森に薬草を取りに行っていたユウ達が帰ってきたようだ。

 マティアや小悪魔のコスプレ娘のミリィの姿も見える。


 ユウの姿を見るのは以前、神薬を与えて以来だけど、問題なく回復してるようだな。

 それなら同じく神薬を与えたテリアも、そろそろ目を覚ますんじゃないかな。



 とりあえず、そっちの方は一件落着と見て良さそうだ。



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