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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第七章 古代天上都市フェーマ 天使族の置き土産
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516 規格外の勇者

(フィーネside)


 アタイはフィーネ。

 妖精族ではないが、とある理由で妖精女王の城で世話になっている身だ。


 そんなアタイの部屋に、いきなり何者かが入ってきたから何事かと思えば、来客は妖精族と人族のお子様達だった。

 妖精女王によって厳重に封印されている、この部屋に入ってきたってことは、ただのお子様じゃないのだろうけどね。



 来客は六人。

 「風」の妖精のエアリィ、シルファン。

 「水」の妖精のミスティ。

 そしてお子様達はシノブ、スミレ、メリッサと名乗る三人だ。


 妖精達の方は女王のような大妖精じゃない、ごく一般の妖精族みたいだ。

 けど、お子様達の方は、およそお子様とは思えない程の力を感じ取れる。

 特にシノブは他の二人と比べて、桁違いだ。



 どうやらシノブは今代の勇者だったようだ。

 だが、覚醒している様子がないにも関わらず、先代勇者に匹敵······いや、それ以上の力を感じる。

 スミレとメリッサも、勇者の仲間と考えても異常な力を持っているようだ。


 まさか勇者がアタイを退治しに来たのかと警戒したが、そんな雰囲気でもない。

 妖精女王の城を探検していて、たまたまここを訪れたらしい。

 確かに感じ取れる力は異常だが、見た目も言動も、ただのお子様だ。



 この子達を見極めるために、アタイは勝負を持ちかけた。

 先代勇者が残した遊技用魔道具を、アタイ流に改造したものだ。

 本来はただ楽しむためのアイテムだが、これは戦闘訓練にも使えるようにしている。

 お題のほとんどが、アタイが作り出した幻影魔物との戦闘だからね。

 命の危険はないけど、それなりに緊張感を持てる作りになっている。


 妖精もお子様達も、楽しそうだと喜んで乗ってきた。





 そうして、すごろくと称した戦闘(バトル)遊戯を始めた。

 出てくる魔物は、そこそこ強いのを用意していたから、妖精達は何度かお題をパスする内にリタイアとなった。

 けど、お子様達は三人とも苦戦することなく次々とクリアしていった。


 シノブはともかく、スミレとメリッサは人族とは違う気配を感じる。

 スミレは獣人······いや、ひょっとして幻獣人族か?

 ずいぶん前に幻獣人族と関わったことがあったが、波長が奴らと同じだ。

 まあ、幻獣人族は先代勇者の庇護下にいたはずだから、今代勇者のシノブの仲間にいても不思議じゃないか。


 だが······メリッサは何族だ?

 およそアタイの知っている、どの種族の気配とも当てはまらない。

 けど、雰囲気にどこか懐かしさも感じる。

 まさか、この子······?




 まあ、それよりもゲームは大詰めだ。

 とうとう三人がゴール近くまでやってきた。

 でも、最後のお題は簡単にはクリア出来ないよ?


 最後は自己像幻視(ドッペルゲンガー)との戦いだ。

 この魔物は相手とまったく同じ強さ、姿となる最上位の魔物だ。

 ま、通常の魔物(ドッペルゲンガー)はある程度の強さの相手には化けれないけど、用意したのはアタイが最大限に魔改造した奴だ。

 たとえ勇者であっても、そっくりそのまま強さをコピー出来るはずだ。



 さすがに、ここに来るまでに消耗していたのもあって、スミレとメリッサが脱落した。

 魔物(ドッペルゲンガー)は万全の状態の相手をコピーする。体力や魔力を消耗していたら、それだけで不利になるからね。

 メリッサは全然消耗していなかったのか、なかなか粘ったけど、それでも魔物(ドッペルゲンガー)には勝つことが出来なかった。

 ま、引き分けただけ大したものだけど。



 さて、残るはシノブだけだ。

 ここまでの魔物との戦闘では、まるで本気を出してなかったから、シノブの力はイマイチ測りがたい。

 魔物(ドッペルゲンガー)とどう戦うのか、見ものだな。


「最後のお題、挑戦するでござるよ!」


 他の二人同様に、シノブもやる気満々だ。

 先代勇者と比べて、どれくらい違うのか見せてもらうよ。



――――――――――!!!!!



 そうして魔物(ドッペルゲンガー)を召喚したのだが、様子がおかしい。


「こ、これが拙者でござるか······?」


 魔物を見て、シノブが困惑している。

 アタイにも予想外だったから、咄嗟に言葉を出せなかった。

 召喚した魔物(ドッペルゲンガー)は、かろうじて人の姿をしているだけで、シノブとはまるで似つかない様だったからだ。

 幻影とはいえ、魔物を召喚するには結構な魔力を消費するから、確かに今のアタイは、すでにかなりの魔力を消耗している。

 だが、まともな魔物も召喚出来なくなるほどじゃないはず。


 まさか、シノブが強すぎるから魔物(ドッペルゲンガー)でもコピー出来ずにバグを起こしているのか?

 魔物(ドッペルゲンガー)は徐々に形が崩れ、戦わずに消滅した。


「えっと、拙者の勝ちでござるか?」

「ちょ、ちょっと待ってね」


 拍子抜けしたようなシノブの問いに、アタイも慌ててしまった。

 さすがに不戦勝はちょっとね。

 まだ戦っていなかったのだから、お題も始まっていなかったのだ。

 ············という苦しい言い訳を心の中でして、アタイは新たな魔物を召喚することにした。



 まさかアタイの魔物(ドッペルゲンガー)がコピー出来ないほどとは思わなかった。

 そうなると生半可な魔物では相手にならない。


 それならば、先代勇者も倒すことが出来なかった()()()()を出すとしようか。



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