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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第七章 古代天上都市フェーマ 天使族の置き土産
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514 自己像幻視

(シノブside)


 多少のトラブルは起きたでござるが、すごろくもいよいよゴールが近付いてきたでござる。

 ただ、メリッサ殿とスミレ殿は順調に進めているでござるが、妖精組が魔物だけでなく、落石やらトリモチやらの(トラップ)マスに何度も嵌ってしまい、ルーレットを回す残り回数が危なくなっているでござる。


「大丈夫なノヨ! 高い数字を出して、一気にゴールまで······」

「あ、そのマスは突風に飛ばされてスタートに戻る、だね」

「なんでなノヨーーーーッ!!?」


 意気揚々とルーレットを回したエアリィ殿でござるが、マスに入った瞬間、強い風に吹かれてスタート地点まで戻されてしまったでござる。

 残り回数から、ゴールにたどり着くのは最早不可能でござるな。


「〝風〟の妖精が風に飛ばされるなんて、情けないんダヨ。じゃあ、オイラは······」

「ああ、そこは(トラップ)マスだね。回避しないと、実質ゲームオーバーだよ」

「わあああ、なんダヨーーッ!!?」


 シルファン殿がマスに止まると同時に、周囲から矢や剣が次々と飛んできたでござる。

 罠を回避出来ずに、シルファン殿はまたもお休みをくらい、ルーレットを回せる回数が0になったでござる。(ちなみに矢や剣は幻影のようで、シルファン殿は無傷でござる)


「うう〜、私ももう終わりなんデスよ」


 そして、ミスティ殿も残り回数が尽きてしまったようでござる。

 妖精組はリタイアしてしまい、これで残るは拙者とスミレ殿とメリッサ殿の三人でござるな。



「さて、いよいよ大詰めだね。三人とも、残り回数は余裕あるみたいだけど、最後の方は罠も魔物も強力になってるからね。果たしてゴールまでたどり着けるかな?」


 フィーネ殿が不敵な笑みをうかべているでござる。拙者達の残り回数は、まだ10回以上あるので、お休みさえ受けなければ余裕でござる。


「にししっ、強力な魔物か〜。それは楽しみだね」

「············どんな魔物が現れても、倒すだけ」


 メリッサ殿とスミレ殿もやる気充分でござる。

 スミレ殿は先ほどの罠を受けて、未だに下着姿で武器の使用も不可の状態でござるが、全然気にしていないでござるな。

 この場は異性の目がないとはいえ、半裸の姿をまったく気にしないのもどうかと思うでござるが。

 いや、スミレ殿の場合、異性の目があっても同じかもしれないでござるな。

 拙者は······師匠やユーリ殿に見られていたと考えたら、さすがに抵抗あるでござるよ。



 



 その後も、拙者達は罠やお題をクリアし続けて、ついにゴール目前までたどり着いたでござる。

 スミレ殿の番なのでルーレットを回し、マスを進めていくと、途中で足を止めたでござる。


「そこは強制停止マスだ。ゴール前の最後のお題だね。正直、ここまで来れるとは思ってなかったよ」


 最後のお題でござるか。

 最後だからか、今までと違い、フィーネ殿が何やら詠唱を始めたでござる。

 そうしてスミレ殿の前に魔法陣が現れたでござる。あれは······召喚陣でござるな。

 ということは最後のお題も魔物討伐でござるか。


 一体、どんな魔物が現れるのか······。

 おや? あれは······。



「············ボク?」


 召喚陣から現れた者を見て、スミレ殿が首を傾げているでござる。

 何故なら出てきたのは、魔物ではなくスミレ殿そっくりの人物だったからでござる。


「そいつはドッペルゲンガーという魔物の一種だよ。相手と同じ姿、同じ強さになって姿を見せる奴だ」


 フィーネ殿が現れた魔物を指差し、言ったでござる。自己像幻視(ドッペルゲンガー)でござるか。

 影のように、少々身体の色が黒いでござるが、スミレ殿とまるで変わらない姿でござるな。

 ただ、今のスミレ殿は装備品のない下着姿でござるが、魔物(ドッペルゲンガー)の方は普段のスミレ殿の格好で、武器の精霊剣(アースレジェンド)まで持っているでござる。

 装備品までコピーしてくるとは、なかなかに厄介でござるな。(奈落の剣(アビスブレード)は師匠が壊してしまったため、今のスミレ殿は一刀でござる)


「ドッペルゲンガーは万全の状態の相手をコピーする。ここに来るまでに消耗した今のキミに、果たして勝てるかな?」

 

 すでに何度も魔物と戦い、先ほどの罠で装備品まで失った状態では、確かに厳しそうでござる。

 ここまで、まったく消耗せずに来ることなど不可能でござるし、最後なだけに、かなり意地が悪いお題でござるな。


「············問題ない。全力でボコす」


 スミレ殿がファイティングポーズを取り、自信満々に言ったでござるが、下着姿のせいでイマイチ決まってないでござる。

 魔物(ドッペルゲンガー)も無言で武器を構えたでござる。魔物はまるで感情のこもっていない顔付きでござるが、スミレ殿も基本、無表情でござるから、魔物だから感情がないのか、単にスミレ殿をコピーしただけなのかわからないでござる。



 ともかく、ここはスミレ殿を応援するでござるよ。


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