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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第七章 古代天上都市フェーマ 天使族の置き土産
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511 遊戯

(シノブside)


 妖精の城の開かずの間の中は、ごく普通の一室であり、そこに一人の女性がいたでござる。

 拙者と変わらない年齢に見えるでござるし、女性というより、女の子といった方がしっくり来るでござるかな。


「誰なノヨ、アンタ? 妖精族じゃなさそうだし、アタシはアンタのこと知らないノヨ」


 エアリィ殿もこの女の子の正体を知らないようでござる。シルファン殿とミスティ殿も同じみたいでござるな。


「アタイかい? アタイはフィーネ。ま、確かに妖精族じゃないけど、色々あって女王の世話になっている身だね」


 女の子はフィーネと名乗ったでござる。

 女王とは、妖精族の女王のことでござるよな?

 世話になっているといっても、それなら何故に封印された部屋に?



[フィーネ] 

妨害魔法の効果で鑑定を弾かれました。



 鑑定魔法でフィーネ殿を見たら、そんな表示が出たでござる。

 どうやら鑑定魔法を遮断する、かなり強力な妨害魔法かアイテムを使っているようでござる。

 拙者のレベルなら、無理矢理にも表示を開くことは出来そうでござるが、どうするでござるかな。

 フィーネ殿からは、特に悪意というか敵意は感じないでござるが。



「アンタらはどうやって入って来たんだ? この部屋は、女王以外には開けられないようになってたはずだよ」

「普通に触ったら、勝手に開いたよ」

「いや、そんなはずはないんだがね······」


 フィーネ殿の質問にメリッサ殿が答えたでござる。フィーネ殿はそんなはずないと言ってるでござるが、メリッサ殿も嘘はついていないのでござるよな。


「それよりも、フィーネ殿は妖精女王とどのような関係なのでござるか?」

「············ん? ただの人族の子供かと思ったけど、アンタひょっとして勇者か?」


 質問には答えず、拙者の顔を見てそんなことを言ってきたでござる。

 勇者、と言われると拙者自身にもよくわからないでござるな。


「そうなノヨ! シノブは勇者で、とんでもなく強いんだから、変なことを考えたらボッコボコになるノヨ!」


 どう答えるべきか迷っていたら、エアリィ殿が拙者の横からビシッとそう言い放ったでござる。


「アッハハハッ、ずいぶん可愛らしい勇者だね。前の憎たらしい勇者とは大違いだ」


 フィーネ殿はそれを聞いて、面白そうに笑い出したでござる。

 前の勇者というのは、誰のことでござるかな?


「なら、アタイと退屈しのぎにゲームでもしないか? そっちが勝てば、なんでも質問に答えてあげるよ」

「ゲーム······でござるか?」

「ま、暇つぶしに丁度良いからね」


 そう言うとフィーネ殿は、手を前に出して何もない空間から、何かを取り出したでござる。

 収納魔法でござるな。

 取り出したのは、数字の振られたマスがいくつも書かれている、少し大きめの遊戯盤でござる。


「それはひょっとして、すごろくでござるか?」

「お、やっぱり知っていたか。昔の勇者が住んでいた世界にある遊び道具だそうだ」


 フィーネ殿がそう説明したでござる。

 昔の勇者というのは、拙者と同じ異世界出身の人物でござるかな?

 どうやら、すごろくはこの世界にはない遊びだったようでござる。


「へ〜、面白そう面白そう。シノブ〜、これどうやって遊ぶの?」

「············ボクも興味ある」

「これはスタート地点からルーレットで出た目を進んでいくゲームでござる。最初にゴールに着いた者が勝者でござるな」


 メリッサ殿とスミレ殿が説明を求めたので、簡単にルールを教えたでござる。

 サイコロではなく、遊戯盤に付いているルーレットで進める数が決まるようでござるな。

 ちなみにルーレットは1〜10までの数字があるでござる。


「アタシもすごろくは知ってるノヨ。ま、アタシがいれば負けるわけないノヨ」

「オイラも何度か遊んだことあるんダヨ」

「私もこの遊びは好きなのデスよ」


 妖精族の皆さんは、すごろくを知っているみたいでござるな。

 なんだかんだ、皆乗り気でござるし、拙者も久しぶりにすごろくで遊びたいでござる。

 人数が多ければ盛り上がって、きっと楽しいでござるよ。



「フフッ、皆やる気充分じゃないか。なら、さっそく始めようじゃないか」


――――――――――!!!


 フィーネ殿が遊戯盤に触れると、周囲の景色が変わったでござる。

 周りには巨大なマスとルーレットが見えるでござる。

 いや、これは景色が変わったのではなく、拙者達が遊戯盤の中に取り込まれたのでござるか?


「おお〜、空間を歪めるタイプの魔道具だね。面白そうじゃん!」


 拙者達は突然の事態に少し戸惑ったでござるが、メリッサ殿だけは楽しそうに、はしゃいでいるでござる。

 つまりはコマを進めるのではなく、ゲームの中に入って直接参加出来るということでござるか。

 さすがは異世界。ゲームも特別仕様でござるな。



 取り込まれたといっても特に危険はなさそうでござるし、等身大でゲームを楽しめそうでござる。

 これは、ワクワクしてきたでござるな。



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