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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第二章 始まりの町アルネージュでの出来事
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63 セーラの精一杯の大胆な行動

(セーラside)


 神殿の書庫には禁書と呼ばれる許可なく読むことを禁じられている書物がいくつかあります。

 国の重要な歴史書だったり、呪われた禁術が記された物だったりと様々ですが。



 今日私はその禁書に匹敵する書物を見つけてしまいました。場所はアルネージュの町の第三地区。

 いつものようにレイさん達の家を訪ねようとした時です。

 彼らの住む屋敷のすぐ横にいくつかの書物が積み上げられているのを見つけました。



 〝閲覧厳禁〟



 こんな貼り紙が付けられていました。

 この文字はレイさん達の世界の文字のようですね。翻訳魔法で意味はわかりましたが。

 えーと······つまり見てはいけない書物ということでしょうか?

 すべての書物に黒いカバーがされているためどんな内容なのかわかりません。

 以前から何度も読ませていただいたマンガという物でしょうか。

 ですが何故見てはいけないのでしょう?


 気になったのでつい上の方の書物を一つ手に取ってしまいました。


「こ、これは······!?」


 中を開くと裸の男女が············所謂男女の営みを行っている絵が描かれていました。

 肝心の部分は男女とも黒塗りにされていてよくわかりませんが············すごいです。

 他の書物はどんな内容なんでしょうか······。

 無意識に手を伸ばし······。


「セーラ様、何を見ているのですか?」

「ひゃいっ!!?」


 突然声をかけられたのでおかしな声が出てしまいました。

 そうでした······リンもいたのでしたね。


「こ、これはですね······リン······」

「それは······レイさん達の書物ですか?」


 私があたふたしているとリンは書物を手に取り中を見てしまいました。

 見た瞬間、表情が変わり真っ赤になってしまいました。


「な、な、なっ············!!!???」


 声が出ないほど驚いていますが、しっかり内容を見ています。

 私もついつい横から見てしまいました。

 ············い、異世界って男女の営みはこんなにも様々なやり方があるのですね。


「こ、これは······セーラ様にはまだ早いです! 見てはいけません!」


 私はリンよりも年上ですよ?

 それに見てはいけないと言っているリンが書物から目を離さないじゃないですか。


「おや、セーラ殿にリン殿、そこで何をしているのでござるか?」

「「ひあっ!!?」」


 私とリンは揃って変な声をあげてしまいました。

 シ、シノブさんでしたか······。

 ビックリしました。


「だ、大丈夫でござるかお二人とも?」

「は、はいシノブさん······もちろん大丈夫ですよ!?」


 何とか平静を保ち答えます。

 シノブさんの後ろからアイラさんも来ました。


「セーラ殿にリン殿、来ていたのですか」

「あのアイラさん······ここの書物は一体?」

「······ああ、それは······その······」


 私が問うとアイラさんは答えづらそうにしています。


「中は見てしまったのですか?」

「「いえ、まだ見ていません!」」


 私とリンの声が揃いました。

 ······咄嗟にウソをついてしまいました。


「それは見てはいけない有害図書なので処分します············ファイア!!」


 アイラさんが魔法を放ち、書物をすべて燃やしてしまいました。

 ああ、まだよく見ていなかったのに······。


「まったくレイめ······スキルでこんなものを召喚しおってからに······」


 アイラさんがぶつぶつと言います。

 結局あの書物については詳しく教えてくれませんでした。



 しかしアイラさんはすべて燃やしたと思っているようですが実は咄嗟に隠した1冊だけ私がまだ持っています。

 これは禁書と呼べる程の物です。

 大切に保管しなくては············私の部屋に。




――――――――――――――――


 ここに来た本来の目的を忘れる所でした。

 アイラさん達の家に上がらせてもらいます。


「あれ? セーラ達が来てたんだ」


 奥の部屋からレイさんが出てきました。

 横には神殿で保護していたスミレさんの姿もあります。リンから聞きましたが彼女はレイさん達と暮らしているのでしたね。


「はいレイさん、アイラさんにシノブさんも······今日は最後の挨拶をと思い······」

「最後?」

「私達は明日には王都に向かいますので」


 聖女の試練も終え、もうこの町での役割も終えました。

 次の試練の神託を受けるために王都にある本殿に行かなくてはなりません。

 本来はこんなにも長居をする予定ではなかったのでずいぶん遅くなってしまったくらいです。


「そうですか、王都に発たれるのか」

「はい、ですから最後に皆さんに挨拶に来ました」


 アイラさん達以外にも第三地区の人達とはある程度顔見知りになりましたからね。

 黙って王都に発つのはなんでしょうから。


「でもアイラさん達も近いうちに王都に来ることになりそうですけど」


 王都ではある問題が起きているらしく、まだアイラさん達の呼び出しはかかっていないようですが時間の問題でしょう。

 むしろその問題解決のために呼び出されそうです。


「アルケミア様も数日後には王都に向かうそうですが······まだ皆さんを取り込むことを諦めてなさそうなので気を付けて下さいね」


 リンが心配そうにアイラさん達に言います。

 けど今のアルケミアさんならそんなに強引な勧誘はしないと思います。


 正義の仮面さんにもずいぶんお世話になりましたね。

 本当なら彼にも挨拶したいのですが······居所が不明ですからね。


「そうでしたレイさん、最後にちょっといいですか?」

「ん、オレに?」

「えいっ······んっ!」


 私はレイさんの前まで行き、彼の唇を奪いました。

 ······つまり強引にキスをしました。



〈解放条件を満たしました。新たなスキルを手に入れました〉

〈(魔力増加〈小〉)は上位スキル

(異世界人の加護〈仮〉)に統合されます〉



「な、なにを!? セーラ······」

「うふふ、私初めてだったのですよ? レイさん」


 さすがのレイさんもあわてています。

 後ろではリンとアイラさんが口をパクパクさせています。


「何をしているのですかセーラ様!?」

「何をしているのだセーラ殿!?」


 二人が同時に叫ぶように言います。


「私もリンやアルケミアさんのように加護が欲しいと思いまして·············ご迷惑でしたかレイさん?」

「い、いや······迷惑ではないけど············」


 レイさんもどう答えていいのかわからない感じですね。自分でも言いましたが本当に初めてだったんですよ?

 私の心臓がドクドク鳴っています。



[セーラ] レベル133

〈体力〉2880/2880

〈力〉980〈敏捷〉1470〈魔力〉4020


〈スキル〉

(聖女の資格〈4/9〉)(聖なる守り)

(浄化の息吹)(異世界人の加護〈仮〉〈NEW〉)



 私のステータスが大きく上がっていました。

 本当にすごい効果ですね。


「レイさん、いつか〈仮〉ではない本当の加護を下さいね」


 私の言葉でレイさんが、アイラさんが、リンがそれぞれ騒いでいます。



 アルネージュの滞在最後の日は賑やかに終わりそうです。












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