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突然異世界転移生活 ~たまに変態が出没する異世界冒険記~  作者: キューブック
第七章 古代天上都市フェーマ 天使族の置き土産
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507 妖精族と龍人族

 オレは妖精女王に、エアリィとの出会いなど、今までの経緯を説明した。

 妖精女王も、エアリィの考えナシの能天気ぶりに、乾いた笑みをうかべていた。


「外の世界に飛び出したきり、帰って来ないので心配しておれば······呆れて言葉も出ぬカヤ。まあ、無事で何よりカヤ」


 女王も、行方のわからなかったエアリィを心配していたみたいだ。

 結界の張られた浮島から出て行ってしまったので、捜そうにもアテはなく、どうしようもなかったそうだ。



「帰って来ないから、悪い人族に捕まったのかと思ってたんダヨ」

「私達がどれだけ心配していたと思ってるんデスか!」


 向こうでエアリィが仲間の妖精達に囲まれていた。女王同様に、仲間の妖精もエアリィのことを心配していたようだ。


「ふっふ〜ん、アタシは外では人族の町を支配しているノヨ。心配なんていらないノヨ」


 そんなエアリィは、偉そうにふんぞり返っていた。人族の町を支配ってのは、アルネージュの町の子供達のリーダー的存在になっていることか。

 エアリィは、もう故郷に帰れなくてもいいとか言っていたので、親しい仲間がいないのかと思ってたけど、そんなことないじゃないか。

 まあ、エアリィのコミュ力を考えたら、仲間がいない方が不自然か。


「エアリィよ、後でたっぷりお灸を据えてやる故、覚悟しておくカヤ」

「げっ······ほ、ほどほどにして欲しいノヨ!」


 女王がそう言うと、仲間の前で偉そうな態度をとっていたエアリィが一転して冷や汗かいた表情をうかべた。

 ま、なんだかんだ問題がなくてよかった。



「エアリィがずいぶんと世話になっていたようカヤ。勇者レイよ、改めて礼を言わせてもらうカヤ」


 女王が改めて頭を下げた。

 エアリィにはアルネージュの子供達と果樹園の世話をしてもらっていたし、一方的に世話をしていたわけじゃないけどね。


「見返りに何か······と言いたいところなのだが、魔人共のやらかした後始末で忙しく、今は何も用意が出来ぬカヤ」


 別にお礼なんて気にしなくてもいいのだが、女王は本当に心苦しい表情をしている。

 すぐに用意出来そうな妖精族からのお礼って、何かあるかな?


「それなら、過去の勇者について聞きたいんですけど」

「ほう、勇者の話カヤ?」

「オレは過去の勇者と同じ異世界人で、元の世界に帰る方法を探しているんですよ」


 話しても構わないと思い、オレは異世界人だということを教えた。

 別世界からの特定の人物を喚ぶ召喚術と、元の世界に帰す送還術というのがあると聞いている。

 魔法の扱いに長けているという妖精族なら、何か情報が得られるかもしれない。


 かつての勇者が妖精族の国で何かしていたみたいだし、その話も聞きたいしね。


「なるほど、確かに(ぬし)はあの勇者と同じ、黒髪に黒い瞳をしておるカヤ」


 女王がオレの顔を見て、納得したように言う。

 やはり、女王は過去の勇者と面識があるのかな?


「だが、済まないが我は元の世界に帰す術は知らぬカヤ。少なくとも、妖精族に伝わる魔法には存在せぬカヤ」


 妖精族の女王でも知らないとなると、そんな魔法が本当にあるのかも怪しくなってきたな。

 

「だが、勇者は自分の世界に帰るためのアイテムを持っていたカヤ。虹色に光る、宝石の形をした神具だったはずカヤ」

「もしかして、これのことですか?」


 女王の言葉を聞いて、オレはアイテムボックスから以前手に入れた石を取り出した。



次元渡りの石(クロス·ストーン)〈アイテムランクーーー〉)

別世界への移動を可能にする神具。



 神樹の迷宮をクリアした報酬として、手に入れたアイテムだ。

 となると、やはり帰る手掛かりはこれくらいか。



「おお、それカヤ。(ぬし)も持っておるではないカヤ」

「けど、これは必要なエネルギーが足りなくて、まだ使えないんです」


 神将ダルクローアの持っていた神具の力を吸収して、そこそこエネルギーが溜まっているが、まだ使用不可となっている。

 普通の魔力では、どんなに込めてもエネルギーは溜まらず、今のところ溜める術がない。

 当時の勇者もこれを使って、元の世界に帰ったのだろうか?




「レイ殿、来ておったのじゃな。テリアは目覚めたのかの?」


 女王と話をしていたところに、声をかけられたので振り返る。

 声の主は龍人族の神子シャルルアだった。

 リンがオレを呼んだことは聞いているようで、オレがこの場にいることを、特に不思議がってはいない。


「ああ、まだ目覚めてはいないけど薬を与えて回復したよ。しばらくしたら、目を覚ますと思う。外の森に薬草を採りに行っていたと聞いていたけど、ユウ達は一緒じゃないの?」


 現れたのはシャルルアと、護衛と思われる龍人族が数名で、ユウ達の姿は見えない。


「いや、妾は妖精女王殿の頼まれ、龍王様との話し合いの場を設けておったのじゃ。魔人族共の動きが活発になっており、何か良からぬことを企んでおるやもしれぬからな」


 なるほど、シャルルアは薬草採りではなく、龍人族と妖精族の橋渡しのために動いていたのか。

 確かに協力出来るなら、お互いのためになるからな。


「話し合いの場には、人族代表としてセーラ殿、そして冥界の使いとしてジャネンも参加する予定じゃ。ユウはテリアが目覚めるまでは話し合いどころではないじゃろうから、勇者としてレイ殿も参加されてはいかがじゃ?」


 シャルルアが丁度良いとばかりに、そう言った。オレも参加するの?

 以前の龍王との話し合いはアイラ姉に任せていたので、オレは龍王と顔合わせは初めてなんだよな。



 会ってみたいとは思っていたけど、会議のような堅苦しい場は苦手なんだが······。

 まあ、そんなことを言ってる時じゃないか。



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