閑話⑲ 4 手合わせ終了?(※)
※(注)引き続き、下ネタ過多になっています。
(フェニアside)
エイミさんとミールさんの自宅で、正義の仮面様とお会いできるとは思いませんでしたわ。
何やらミールさんと情報交換をしていたという話ですけど、もしや今回だけではなく、以前から交流があったのでしょうか?
正義の仮面様は顔を隠しているため、正体はわからず、連絡方法がないはずですけど。
詳しい話は後で聞くことにしましょう。
「正義の仮面殿。突然で申し訳ないでありますが、小生ともう一度、手合わせしてもらえないでありますか?」
ルナさんがそう言って、正義の仮面様も了承したため、二人が手合わせすることになりました。
もう一度ということは、ルナさんは以前にも手合わせしたことがあるみたいですわね。
正義の仮面様は、学園でアイラさんと、およそ手合わせとは呼べないほどの激しい闘いを繰り広げ、さらには突如として現れたアンデッドの王を討ち倒したほどの方です。
失礼かもしれませんが、聖女様であるルナさんでも、とても勝ち目はないと思いますわ。
それはルナさんにもわかっているようで、それでも正義の仮面様に挑みたいそうです。
それならばと、アタクシはルナさんのサポート役として手合わせをご一緒させていただきたいと提案しました。
ルナさんも正義の仮面様も快く了承してくれましたわ。
ルナさんの為だけではなく、アタクシの魔法や魔道具が、この方にどれくらい通用するか試したいという想いもありますが。
「心遣い感謝するであります。さっそく始めるでありますが······ただ、その······卑猥な攻撃は控えてほしいであります」
「それはもちろん、承知しております。ご安心ください」
ルナさんが少し言い辛そうに確認し、正義の仮面様は頷きました。
卑猥な攻撃というと······やはり、あの······。
つい反射的に正義の仮面様の下半身に目が行ってしまいました。
というかルナさん、先にそう言うのはひょっとして以前の手合わせで、正義の仮面様の卑猥な攻撃を受けたのですか?
なんて羨まし······いえ、そうではなく!
そ、そうですわよね。
手合わせは手合わせであり、卑猥な攻撃に期待してはいけませんわ。
そうして、手合わせ開始しましたが、やはり正義の仮面様の強さは圧倒的です。
ルナさんの攻撃を難なく捌き、アタクシの拘束用魔道具も、ほんの一瞬しか効き目はありません。
それでも諦めず、武器を失い、素手になってもルナさんは攻撃を続けます。
そんな時、攻撃の最中にルナさんが足を滑らせ、転んでしまい、その拳が男性の急所である正義の仮面様の下半身に命中してしまいました。
急所を攻撃されれば、どんな大男でも悶絶してしまうほどの衝撃が襲うとのことでしたが、大丈夫なのでしょうか?
「ほう、なかなか良い攻撃です」
まるで効いている様子はなく、平然としていますわ。男性の急所は、どんなに強い者でも鍛えられないと聞きますけど、そうではなかったのですか?
女であるアタクシには、わからないのですが。
「い、今のは偶然でありまして·····」
「では、今度はこちらから行きましょうか」
意図しない攻撃だったので、ルナさんも気まずそうにしていますわね。
正義の仮面様は何事もなかったように、そう宣言しました。
「ほ、本当に大丈夫なのでありますか? 結構、思い切り当たってしまったでありますが······」
「ええ、もちろん。これは私の武器でもあるので、心配は無用です」
「そ、それなら······いいのでありますが」
相手が正義の仮面様でも、急所攻撃をしてしまったことを、さすがにルナさんは心配していますが、本当に平気そうです。
「そういえば、私に武器を使わせると言っていましたな。それならば証明のため、使わせてもらいましょうか」
「え? ど、どういうことでありますか?」
戸惑うルナさんに構わず、正義の仮面様はそう言って構えを取りました。
ほ、本当に何をするつもりなのでしょうか?
「さあ、覚悟はよろしいですかな?」
「い、一体何を······」
「必殺、スプレッドレッグ!!!」
正義の仮面様が大きく跳び上がり、両脚を広げてルナさんに迫っていきます。
当然、そのままならルナさんとぶつかります。
正義の仮面様はぶつかる直前に、開いた両脚でルナさんの首を絡め取り、そのまま倒れ込みました。
さらに絡め取った両脚で、ルナさんを締め付けて逃さない姿勢です。
体勢的に両脚で締め付ければ当然、正義の仮面様の下半身がルナさんの眼前に迫り······。
「ちょっ、待っ············むぐっ!!?」
ルナさんの顔面に正義の仮面様の下半身が覆い被さり、苦しげな声をあげています。
逃れようとするルナさんですが、抵抗がだんだんと弱くなっていきます。
卑猥な攻撃はしないという話でしたが、これは卑猥な攻撃ではないということですわね。
「どうでしたか······おや? 気を失ってしまいましたか」
正義の仮面様が締め付けを緩めて離れましたが、ルナさんは倒れたまま動きません。
両脚で首を圧迫されていたからか、それとも男性のを顔面に受けていた衝撃かはわかりませんが、ルナさんの意識は落ちてしまっています。
なんという羨まし······いえ、恐ろしい攻撃でしょうか。
えっと、ルナさんが気絶してしまったのですから、手合わせは正義の仮面様の勝ち、ということでしょうか?
ミールさんも少し判断に困っていますね。
「おっと、貴女も私との手合わせの相手でしたな。では、貴女にも私の秘技をお見せしましょう」
そう言って、正義の仮面様はアタクシの方に目を向けましたわ。
ルナさんは戦闘不能となりましたが、まだアタクシが立っているので、終わりではないということでしょうか?
戸惑うアタクシを余所に、正義の仮面様がこちらに近付いて来ます。
も、もしかして、今ルナさんにしたような攻撃をアタクシにも······?
ちょっと待ってくださいまし!?
いざとなったら、まだ心の準備が······!
「さあ、お覚悟を!」
「··················あ」
ルナさんの時と同じく、正義の仮面様は両脚を広げて、今度はアタクシに向かってきました。
混乱して何も考えられなくなっていたアタクシは、正義の仮面様の攻撃をまともに受けることになりました。