閑話⑲ 3 手合わせ開始(※)
※(注)下ネタあり。
(ミールside)
姉さんがレイさんの頭に例のマスクをすっぽり被せるという器用なコケ方をしたせいで、正義の仮面さんが現れる形になってしまいました。
例のマスクを身に付けた瞬間、いつもの裸同然の姿になったため、姉さんは至近距離から下着姿の正義の仮面さんを目撃することになり、気を失ってしまいました。
もう、見るのも初めてではないでしょうに、半裸の姿を目の前にしただけで気を失うなんて、まだ男性に免疫は出来ていないようです。
まあ、しばらくすれば目を覚ますでしょう。
それよりもこの状況、どうしましょうか?
そんな時、タイミング良いのか悪いのか、ルナシェアさんとフェニアさんが訪ねてきました。
ルナシェアさんは、ここに正義の仮面さんがいることに驚いていました。
フェニアさんは細かいことは気にせず、正義の仮面さんに会えたことを喜んでいましたが。
そうして何故か、ルナシェアさんと正義の仮面さんが手合わせすることになりました。
フェニアさんもルナシェアのサポート役として、一緒に参加するそうです。
それならばと、ワタシは審判役を買って出ました。
この辺りなら人も来ないので、多少派手に闘っても問題ないでしょう。
ルナシェアさんが持つのは、真剣ではなく訓練用の模擬剣です。
対する正義の仮面さんは武器を持っていません。
「正義の仮面殿は、武器無しでいいでありますか?」
「ええ、私はこの身一つでお相手しましょう」
「アイラ殿を相手にしていた時は、武器を手にしたでありますが······ならば、小生も武器を使わせるくらいは、やって見せるであります!」
そういえば、さすがにアイラさんは素手では厳しいと判断して、武器を使用していましたね。
ルナシェアさんも、正義の仮面さんに武器くらいは使わせると意気込んでいます。
「アタクシはサポートに専念しますわ。ルナさん、頑張ってください。正義の仮面様、お手柔らかにお願いしますわ」
フェニアさんがルナシェアさんに、支援魔法をいくつかかけました。
それにより、ルナシェアさんのステータスが上昇しました。
手合わせはルナシェアさんと正義の仮面さんが行い、フェニアさんは支援魔法や妨害魔法でルナシェアさんを援護するようです。
フェニアさんはワタシ達に比べればレベルは低いですが、それでも100近くはありますし、それなりに強力な自作の魔道具も持っているそうです。
道具の使用も了承していましたし、二人がかりなら、良い勝負をするかもしれません。
「それでは始めてください」
ワタシの合図で、ルナシェアさんと正義の仮面さんが構えました。
先に仕掛けたのはルナシェアさんの方です。
「では、行くであります!」
ルナシェアさんが剣技を連続で繰り出しました。正義の仮面さんはほぼ紙一重で、ルナシェアさんの攻撃を躱しています。
ルナシェアの動きを完璧に見切っているようですね。
「なかなかの動きです。では、今度はこちらから······む?」
正義の仮面さんが反撃に出ようとしたら、動きが止まりました。
足下には魔法陣が描かれており、特殊な魔力で動きを封じているみたいです。
「とっておきの拘束用魔道具ですわ! さあ、ルナさん、今ですわ!」
フェニアさんの魔道具だったようです。
一瞬でも正義の仮面さんの動きを止めるとは、ずいぶん強力な物です。
結構、フェニアさんも本気なのですね。
「行くであります! 神光水流剣!!!」
すかさずルナシェアさんが剣技を放ちます。
模擬剣の刀身が光、魔力の渦が巻き起こって凄まじい力を発しています。
「はあっ!!」
正義の仮面さんは冷静に、両手で白刃取りの形で受け止めました。
その衝撃でルナシェアさんの武器の刀身が砕けてしまいました。
やはり模擬剣だと、耐久力に問題がありますね。
しかし素手になりながら、ルナシェアさんは尚も攻撃を加えていきます。
「とうっ! はっ! であります」
ルナシェアさんは聖女として活動していますが、もともとは武闘派貴族の生まれというだけあり、体術も優れているんですよね。
そのまま休むことなく、正義の仮面さんを攻め続けています。
しかし、やはりルナシェアさんの動きを完璧に見切っていますね。
ルナシェアさんの攻撃全てを、最小の動きで受け流しています。
ルナシェアさんに疲労の色が見え始めてきたので、もうそろそろ終わりでしょうか。
「はあっ············わぷっ!!」
と思ったら、ルナシェアさんが足を滑らし、バランスを崩しました。
それが、よかったみたいです。
突然、攻撃のパターンが崩れ、動きを読み違え、ルナシェアさんの拳が正義の仮面さんにクリーンヒットしました。それも急所······下半身の下着部分に。
まあ、狙ったわけではないでしょうけど。
というか大丈夫ですかね?
男性の弱点に思い切り命中しましたから、さすがに効いたのではないでしょうか?
「ほう、なかなか良い攻撃です」
今の攻撃が効いていないのでしょうか?
涼しい顔(黒いマスクを被ってるので実際はわかりませんが)で、そう称賛しています。
「い、今のは偶然でありまして·····」
ルナシェアさんの方は顔を赤くして、そう言っています。卑猥な攻撃は控えるように言ったのに、自ら卑猥な部分に攻撃してしまいましたからね。
「では、今度はこちらから行きましょうか」
正義の仮面さんが構えを取りました。
手合わせは、まだまだ続くようです。




