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勇者(候補)ユウの冒険章➇ 11 黒幕登場

――――――(side off)――――――――


 玉座の間に集まった妖精族に寄生していた魔虫はすべて排除出来たのだが、妖精女王だけはまだ、魔虫の支配から解放出来ずにいた。


「覚悟は良いカヤ? 侵入者共」


 妖精女王が全身に凄まじい魔力を集中している。

 魔法に長けた妖精族の中でも、妖精女王の魔力は桁違いに高い。


「――――――ボクの魔法の拘束を破るなんて、なかなかやるね、やるね。なら、ボクも本気を出そうかな、かな?」


 戦闘態勢に入った妖精女王を見て、プルルスは楽しそうに笑みをうかべる。


「プルルス、女王さんは操られているだけだからね?」

「――――――わかってるって〜。ちゃんと殺さないようにするから安心しなって、ユウ君」


 ユウも聖剣を構えて、妖精女王の出方を伺う。


「他の妖精達は問題なさそうじゃ。皆、正気を取り戻しておる」


 シャルルアは魔虫から解放された妖精達の容態を確認していた。

 魔虫を吐き出した妖精達は、何が起きているかわからず、オロオロしている。


「フェアリー·ライト!!」


 妖精女王が高熱を帯びた「光」魔法を放った。

 凄まじい熱量の上、範囲が広く、避けるのは難しそうだ。


「――――――いいね、いいね。臆病と聞いていた妖精がこんなに強いとは思わなかったよ、よ」

「プルルス、女王さんの動きを封じてくれるかな?」

「――――――オッケ〜いっ! 任されたよ、ユウ君!」


 プルルスは「土」属性魔法で光を遮り、ユウは聖剣の力で魔法をかき消していた。

 二人が妖精女王に対して、間合いを詰める。


「おのれぃっ、ならば我の本気の魔法で滅してくれるカヤ!」

「――――――ふっふ〜ん、だったらこれは防げるかな、かな?」


 妖精女王が再び魔法を放つ寸前で、プルルスが「土」魔法で拘束した。

 先ほどよりも強固な「土」が、妖精女王を締め付ける。


「この程度の拘束など、もう一度······ぬ!? ど、どういうことカヤ!? 魔力が消えて······」

「――――――どうかな、どうかな? 魔法封じ(アンチマジック)が付与されたボクの拘束魔法は?」


 妖精女王はプルルスの拘束から逃れようとするが、魔法を使えず、狼狽えている。

 そんな妖精女王を、プルルスは楽しげに煽る。


「くっ、魔法封じごときなど、我が魔力を全解放すれば······」

「残念だけど、それはさせないよ。女王さん」


 ユウが妖精女王の身体に触れ、自身の魔力を流し込んだ。プルルスがシルファンに寄生していた魔虫を排除した時と同じ要領で、妖精女王の魔虫を体外に出させようとする。


「ぬううっ、こ、この魔力······ヌシはまさか勇――――」

「ユウよ、妾も力を貸すぞ!」

「ぬ······ぐわあああーーっ!!?」


 妖精女王はユウの魔力に抵抗していたが、シャルルアも加わり、ついに耐えきれなくなった。


「ギシャアアッ!!!」


 妖精女王の口から魔虫が飛び出してきた。

 シルファンや他の妖精達に寄生していたものとは、比べ物にならないサイズの魔虫が、無数の牙を突き立ててユウに襲いかかった。


「危ないっ、ユウ!?」

「心配いらないよ、ルル。はあっ!!」


 ユウが聖剣で魔虫を弾き、そのまま斬り裂いた。

 聖剣の「聖」なる力に包まれ、魔虫が消滅していく。


「――――――妖精の女王の力を吸収して、進化したんだね、ね。あんなに大きくなっていたのは、それだけ女王の魔力が高かったってことだよ、だよ」


 プルルスが言う。

 妖精女王から出てきた魔虫は、他の妖精族に寄生していたものよりも遥かに強力になっていたが、それでもユウの敵ではなかった。


「女王様、大丈夫なんダヨ!?」

「うっ······シルファン、カヤ? 我は一体······」


 シルファンが苦しそうに咳き込んでいる、妖精女王に駆け寄る。

 妖精女王も魔虫から解放され、正気に戻っていた。



――――――――――!!!!!



 これで一件落着かと思われた時、玉座の間に大勢の魔人族がなだれ込んできた。

 それぞれ剣や槍、斧などの武器を持ち、妖精族やユウ達に向けた。


「龍人族に紛れて、人族もいると聞いていたが、まさか勇者だったとはな。貴様がナークヴァイティニア様を討ち倒したという勇者か?」


 魔人族のリーダー格と思われる者が前に出て、ユウに問う。

 他の魔人と違って武器などは持っておらず、何をしてくるかわからないので、ユウ達は警戒している。


「人の素性を尋ねるなら、まずは自分から名乗ってくれないかな?」

「ふん、今代の勇者は生意気な子供だと聞いていたが、報告通りのようだな」


 ユウがリーダー格の魔人に問い返す。

 魔人は眉をひそめながらも、ユウの言葉に答えた。



「我が名はゲーエル。偉大なる魔王様の一の側近にして、妖精族の支配者だ」


 魔人ゲーエルが名乗りをあげた。

 この男が魔王軍の幹部であり、今回の騒ぎの黒幕に間違いなさそうだ。



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