表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
670/735

勇者(候補)ユウの冒険章➇ 3 魔王軍幹部

――――――(side off)――――――――


「結界よ、消え去れ!」


 ジャネンの使役する霊獣に乗り、浮島のすぐ近くまで来たところで、エレナが「聖」魔法で結界を一部分だけ打ち消した。

 それにより、結界に霊獣が通れるくらいの穴が開いた。


「さすがエレナだね!」

「ありがとう、ユウ。でも、一部を開けただけだから、しばらくしたら自動的に修復しちゃうと思うわ」

「充分だよ。これで中に入ることが出来るね」


 結界はそれなりに強力な物であったが、今では高レベルの部類に入る上に、聖女の力を秘めたエレナならば、砕くのは容易であった。


「一気に突入するぞ。敵の攻撃に警戒しておけ」


 ジャネンの指示で霊獣がスピードを上げ、結界の穴を通り抜け、浮島へと侵入した。







 結界を抜けた先は一面、大きな木々に囲まれた森が拡がっていた。

 空を浮いている島の上とは思えない規模だ。


「自然に囲まれた良い雰囲気ね。ここに妖精族が住んでいるのかしら?」

「まあ、妖精族は自然と共存する種族みたいですからねぇ。イメージ通りって感じですかねぇ」


 テリアとミリィが周囲を見渡し言う。

 思っていたよりも平和な雰囲気だ。


「妖精族どころか、それらしい敵の姿も見えぬのう? どこかに隠れて様子を伺っているのじゃろうか?」


 シャルルアが警戒を解かずに確認するが、今のところは何者かの襲撃してくるような気配はない。


「············いる。ちかくに、いっぱい」


 マティアが何かに気付き、周囲に魔力の塊を放った。すると、木々と同化するように身を隠していた者達が次々と姿を現した。


「気付かれたか!?」「ちぃっ、妖精共の役立たずめ!」「面倒だ、やっちまえっ!!」


 現れたのは、およそ数十人くらいの人の姿をした集団だった。

 それぞれ、角が生えていたり、皮膚が赤黒く変色していたりと、人族ではない特徴が見られる。

 これは魔人族と見て、間違いなさそうだ。


「やはり魔人族の仕業じゃったか! 性懲りもなく、またも我が都を狙ってくるとは、しつこい連中じゃ。ということは、妖精族も此奴らの言いなりになっているだけやもしれぬな」


 シャルルアが魔人族の姿を確認して言う。

 妖精族の姿はまだ確認出来ないが、シャルルアの言う通り、魔人族に脅されている可能性が高いだろう。


「魔人達に妖精族の国が支配されちゃってるんだね。だったら妖精族も助けてあげないとね」


 ユウが魔力を集中して戦闘態勢に入る。

 それと同時に翼を有した魔人達が、霊獣に乗るユウ達に攻撃を仕掛けてきた。


「アクセルシュート!!」


 テリアが(物質具現化)スキルで弓矢を作り出し、襲いくる魔人達に向けて放った。

 テリアの矢は、魔人達の翼を的確に貫き、撃退していく。


「ミリィだって負けませんよぉ!!」


 ミリィも魔法攻撃で次々と魔人達を撃ち落としていく。この二人の攻撃だけで、ほとんどの魔人が戦闘不能に陥っていた。


「あはははっ、さすがテリアとミリィだね」

「思っていたより、手応えのない連中じゃのう? 以前、神将が引き連れて来た奴らとは比べ物にならぬ弱さじゃ」


 ユウとシャルルアもいつでも攻撃出来るように構えていたが、テリアとミリィだけでも充分な様子に、少々、拍子抜けしていた。


「くっ、くそっ······コイツら強いぞ!?」

「ゲーエル様に報告だ、戻るぞ!」


 残った魔人達は、そう言い残して逃げていった。

 とりあえずは、これで敵の気配はなくなったようである。


「――――――あ〜、面白そうなことになっていたのに、皆逃げちゃった、逃げちゃった! ボクも暴れたかったのにズルいズルい!」


 遅れてプルルスも結界を抜けてきた。

 とはいえ、すでに魔人達は逃げた後で何も出来なかったため、不満気に膨れている。


 プルルスに続いて、リュガント率いる龍人族の戦士達も続々とやってきた。

 龍人族の戦士達は何人かは(竜化)していて、背に神殿騎士達を乗せている。

 その中には聖女セーラやリンの姿もある。


「ゲーエル様、とか言っていたね、さっきの魔人達。そいつが魔人達の親玉かな?」

「また神将って奴が攻めてきたのかしら?」


 ユウとテリアが先ほどの魔人達の捨て台詞から、そう推測する。

 しかし、ジャネンが首を横に振った。


「いや、そんな名の神将はいない。ゲーエルとは······確か、魔王軍幹部の名だったはずだ」

「魔王軍の幹部か。ということは、今度は魔王が直接攻めて来たのかな? まあ、魔王だろうと神将だろうと、どっちにしろ倒すべき敵ってことだよね」


 ユウにとっては魔王も神将も、大した違いはない。敵対するのならば、倒すべき相手というだけであった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ