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閑話⑱ 6 人形娘来訪の理由

 騒ぎを収めてその場を去った後、オレは元の姿になって、何食わぬ顔で再び戻ってきた。

 ロディン達は生徒の避難誘導で手一杯だったようで、オレが一時的に姿を消していたことにも気付いていない様子だった。

 今も、キリシェさんやミウ達と一緒に、生徒達に事情説明をしていて、ユヅキやレニーもそれを手伝っている。

 とりあえずは正体がバレてなくてよかった。



「――――――ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい······主人(マスター)、助けてぇ······」


 戻ってきたら、ヴェルデがオレの顔を見るなり、震えながら抱き着いてきて、この有り様だ。

 人形娘達の中で、何故かヴェルデだけは仮面男の正体に気付いていないみたいだ。

 この様子を見る限り、オレを先ほどの仮面男と、同一人物だとは想像もしていないのだろう。

 正直、かなりの罪悪感がある。



「ごめんなさいですです、マスター」

「申し訳ありません。もっと穏便に済ませるべきでした」


 吊し上げられていたディリーとアトリのロープを解いたら、開口一番に謝罪された。

 どうやら、この二人には仮面男の正体に気付かれてしまったようだ。

 だが、二人にとっては大した問題ではないらしく、それに対して言及してくることはなかった。

 よかったのか、どうなのか、少し複雑だ。




「それで、レイ。この二人は何者なんだ? まあ、この容姿を見るに、サフィルス達の関係者だとは思うが」


 リイネさんがまだ吊し上げられた状態の二人を指差し言う。

 その二人とは、当然のことながら黒髪と白髪の少女、アーテルとアルブスのことだ。

 吊し上げられた状態で、二人は抵抗せずにおとなしくしている。


「――――――もう戦闘は行わないので、降ろしてほしい」

「――――――ああ、アタシはまだこのままでも、よろしいのですけど」


 アーテルは無表情で解放してほしいと言い、アルブスは縛り上げられながらも、何故か気持ち良さそうにしている。


 とりあえず、リイネさんにアーテルとアルブスに初めて出会った時の経緯を話した。

(詳しくは閑話⑮参照)




「なるほど······それで、危険はないんだな?」

「少なくとも、魔王軍の一味として、この国を侵略しに来たってことはないと思う······」


 この子達の主であるトゥーレミシアは魔王には協力的ではないという話だし、そのことは信用していいと思う。

 ただ、この子達の気まぐれな性格を考えると、危険はないとは断言出来ない。

 実際、さっきまで大暴れしていたしな。


「······わかった。悪いが、わたし達では手に負えるレベルではない。後のことは任せたぞ。わたし達は見学者達への説明とグラウンドの修繕をしないとならんからな」


 そう言ってリイネさんは、人形娘達の相手をオレに丸投げしてきた。

 まあ、グラウンドは酷い有り様だし、見学していた生徒達への説明も確かに必要だろうけど。

 さっきの魔法合戦を突発のイベントだったと言って、誤魔化せるのかな?

 そっちの方はオレもリイネさん達に丸投げすることにしよう。






 とりあえずは、吊し上げられたままのアーテルとアルブスを降ろしてあげた。

 一応、もう暴れないと約束してくれたし、拘束も解いておいた。

 万が一、暴れるようなことがあっても、オレは(超越者)のスキルを手に入れて、以前この二人と手合わせした時よりもステータスが大幅に上がっているから、止めることは可能だろうしね。


「それで、二人は何をしに、ここへ来たの?」


 オレは二人に問いかけた。

 トゥーレミシアもこの二人の行方をわかっていなかったし、あの人の指示で来たわけじゃないのだろう。


「――――――遊びに来た」

「――――――遊びに来ました」


 アーテルとアルブスが揃って答えた。

 まあ予想通りというか、何と言うか。

 特に深い考えがあって、やってきたわけでもないようだな。


「「――――――創造主(グランドマスター)が近々、重要な任務にあたし(アタシ)達を連れて行くということで、自由に動ける内に行動に出た(出ました)」」


 トゥーレミシアは天使族由来の遺跡調査のために、人形娘全員を連れて行くと言っていたから、重要任務とは、多分そのことかな。

 早い話が、遊べる内に遊びたいから、わざわざやってきたと。


「よく、ここがわかったね? 前に会った場所とは、ずいぶん離れているはずだけど」


 以前、二人と会ったのは、クラントールという別の国にある町だ。

 オレは転移魔法が使えるから距離が離れていても、あんまり関係ないけど、この二人は使えないはずだから、自力での移動になる。


「――――――サフィルス達の気配を追ってきた」

「――――――以前いた場所にはサフィルス達の気配が確認されなかったので、捜すのに苦労しました」


 まあ、それも予想通りだな。

 転移魔法が使えなくても、この子達は空を自由に飛べるから、場所さえわかれば、移動はどうにでもなるのか。



 それにしても、遊びに来たと言われてもどうしようかな?

 前にクラントールの町を巡ったみたいに、今度は王都の観光にでも連れて行くか?

 けど、この二人を連れて何の問題も起こさずに済むかな?




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