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495 エルフの里での最終決戦⑫

 冥王の最後の活躍により、ダルクローアの神具はボロボロで、崩壊寸前に見える。

 神具は簡単には傷もつけられない代物だが、冥王級の捨て身の攻撃となると耐えられないようだな。


 さらにはアイラ姉達の追い打ちで、奴自身も相当にダメージを受けている状態だ。

 高い自己再生能力があっても、すぐには治らないくらい傷は深い。

 倒すなら今だな。


 傷付いたダルクローアは、ボロボロの神具の能力を無理矢理使って、周囲を無差別に攻撃している。

 オレやシノブ達の魔法障壁によって、奴の攻撃は防げているが、破られるのも時間の問題だな。

 ボロボロとはいえ、やはり神具。

 繰り出される攻撃の威力は段違いだ。



魔影斬鉄剣(まえいざんてつけん)!!!」


 デューラさんがダルクローアの攻撃を掻い潜り、剣技を放った。魔人専用の魔剣技ってやつか?

 それが見事に決まり、ダルクローアの身体を大きく斬り裂いた。


「無駄ですよ。次期魔王候補と言われた貴方でも、今の私には遠く及びません」

「ちっ、浅いか······」


 今の剣技で、ダルクローアと神具を切り離すつもりだったようだ。

 だが、かなりのダメージは入っていると思うが、神具を奴から離すには至らない。


 ダルクローアの反撃で、デューラさんが奴の身体から生えた無数の触手に襲われる。

 幽体(レイス)の身体であっても、奴の攻撃は通ってしまうようだ。


「デューラ殿!」


 アイラ姉が加勢に入り、迫る触手を次々と斬り裂く。アイラ姉の魔剣は、先ほど砕けてしまったので、今使っているのは量産製のオリハルコンの武器だ。

 アイラ姉のスキルで極限まで強化しているから、それなりに強力だが、やはり魔剣には劣るみたいだ。



「ヒッヒッヒッ、この一撃が防げるものなら、防いでみなさい!」

「ギィイイイッ······!!!」


 ダルクローアが神具を掲げた。

 周囲の力を相当に吸収したようで、神具にはとてつもない魔力が込められている。

 神具は苦しげに叫んでいるが、奴は気にした様子もない。


「フォース·インフェルノ!!!!」


 神具から、とんでもない威力の「炎」が、全方位に放たれた。

 コイツ、世界樹どころか、森もエルフの里も、何もかも焼き尽くす気か!?



「シノブ、ルナシェア達も! 障壁を張るのに全力を注げ!」


 オレは皆に指示を出して、魔法障壁を張るのに全魔力を込める。

 半端な障壁では、防ぎ切れそうにない。

 アイラ姉とデューラさんも防御態勢に入っている。

 オレ達や世界樹は、これでどうにかなりそうだが、エルフの里方面まで守る余裕がない。



――――――――――!!!!!



 炎がエルフの里方面の木々を焼き尽くしていく。

 一瞬で炭になり、蒸発していくので、尋常ではない熱量だと見て取れる。

 炎の勢いは止まらず、エルフの里全域を焼き尽くしてしまった、と思われたが······。


「はっ、クソ外道が! そうそう思い通りにさせるかよ!」


 エルフの里は、オレ達のとは別の魔法障壁に守られて無事だった。

 あれはメアルさんの(絶対防御)のスキルの力が加わった障壁だ。


「危なかったわね······。メアルが気付かなかったら、里全体が炎に呑まれていたわ」


 学園長(リプシースさん)や他のエルフ達も、メアルさんに協力して障壁を張っているのが見える。

 その中にはエイミとミールの姿もあり、ハーフエルフだとか関係なく、里を守るために全員が力を合わせていたみたいだ。


「あれは、かつて勇者が封印した、忌まわしき魔の力······。やはり、封印が解かれてしまったか」


 魔神化したダルクローアを見て、そう言ったのは長老と呼ばれていたエルフだ。

 フェリサスさん率いるエルフの戦士達が、ダルクローアを警戒して陣営を組む。

 その中にはフェルケンとフェニアの姿もある。

 


「マスター、私達も及ばずながら御助力致します」

「くかかっ、当時の勇者が封印した呪物を引っ張り出しおったか。我がマスターも、厄介な輩を相手にしていたものじゃ」


 グラムとエンジェ、メイドさん達も世界樹の広場に続々と集まってくる。

 エルフの長老やエンジェの言葉から推測するに、世界樹に魔神の一部を封印したのは、当時の勇者だったのか?

 まあ、そんなこと今はいいか。





 メイドさん達やエルフの戦士達が勢揃いして、一見、ダルクローアにとって多勢に無勢な状況だが、奴は不敵な笑みをうかべているだけだ。


「ヒッヒッヒッ、エルフ共が来てくれたのは好都合ですね。あなた方の力、私が貰い受けましょうか」


 ダルクローアがエルフ達に向けて、神具の力を使う。コイツ、今度はエルフ達の力を吸収するつもりか。


「はっ、思い通りにさせないって言っただろが! 精霊達、あたしに協力しな!!」


 メアルさんが前に出て、魔力を解放した。

 あれは精霊の力で、神具の吸収能力を抑えているのか。


「母様、ワタシ達も協力します!」

「わ、わたしも······!」

「メアルだけに負担をかけさせないわよ······!」


 ミール、エイミ、学園長、それに他のエルフ達もメアルさんに魔力を送り、力を合わせてダルクローアの神具に対抗している。



「忌まわしい女エルフが······。どこまでも私の邪魔をするつもりなのですね。ならば、娘達や他のエルフともども、消し炭になりなさ――――――」

「隙ありだ、ダルクローア!!」


 再び、「炎」を放とうとしたダルクローアの背後に、デューラさんとアイラ姉が迫っていた。


「デューラ殿、行くぞ!」

「魔神と共に消え去れ、ダルクローア!!!」


 メアルさん達に集中して、無防備状態だったダルクローアに、二人の渾身の剣技が放たれた。




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