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485 エルフの里での最終決戦②

(リプシースside)


 世界樹が暴走して、里全体が根に覆われ出した。あのダルクローアと名乗った魔人の仕業のようね。

 長老と戦士長フェリサスの的確な指示で、一般人の避難誘導は順調に進み、根の暴走も抑え込めていっている。

 フェルケンとフェニアも父親のフェリサスを手伝い、活躍していた。

 これなら、犠牲者を出さずに済みそうだわ。



 気がかりなのは、世界樹の下に向かったレイ君やアイラさん、エイミ、ミール、それにメアルやデューラなのだけど。

 メアルはエルフの中でも、精霊に対してもっとも近い立ち位置にいたから、何かあっても精霊が守ってくれるはず。


 レイ君達、そしてエイミとミールも実力は私よりも遥かに上だから、大丈夫だと思いたい。

 冥王も世界樹の下に向かったみたいだけど、そっちはそっちで大丈夫かしら······?


 この場は収まってきたし、私も世界樹の下に向かいたいのだけど、私が行ったところで足手まといになるかもしれない。

 肝心な時に役に立てないなんて、本当に情けなくなるわ······。



――――――――――!!!!!



 な、何が起きたの!?

 世界樹の根の力が弱まり、事態が解決したかと思ったところで、地面が大きく揺れた。

 揺れはすぐに収まったけど、立っていられなくて尻餅をついてしまったわ。


 何だったの、今の揺れは?

 エルフの里周辺で地震なんて、滅多にないことのはずなのに。


「リプシース、危ないっ!!」


 地面から湧き出るように魔物が現れ、襲いかかってきた。戦士長フェリサスが助けてくれたおかげで、魔物の攻撃は避けられた。


「父様、お兄様! 魔物が次々と現れて来ますわ!?」


 フェニアが言うように、魔物がどんどん数を増やしてきている。

 現れた魔物は植物系や昆虫系が多数。


 これは魔物の種類こそ違うけど、状況的に学園の迷宮から魔物が湧き出してきた時と同じだわ。

 まさか、世界樹に何かあったの!?











(ルナシェアside)


 魔物化して現れた神将ダルクローアとの戦いが激化しているであります。

 魔物化した神将の巨体から繰り出される触手や、神具による生命力吸収攻撃、さらには高威力の魔法まで放ってくるので、気を抜くと一瞬でやられてしまうであります。


「オオオーーンッ!!!」


 フェルが凍てつく冷気の息を吐き、迫る触手を氷漬けにしたであります。

 まだ子供ではありますが、霊獣フェンリルの名は伊達ではないでありますよ。



――――――――――!!!!!



 氷を突き破り、触手が飛び出てきたであります。

 やはり完全には止められないでありますが、僅かな足止めは可能でありますな。

 フェルが素早い動きで触手を避けるであります。


蒼牙閻彗翔(そうがえんすいしょう)!!!」


 フェルに跨りながら、小生は(聖剣術)の奥義で触手を斬ったであります。

 触手はかなりの強度でありますが、全力を出せば切り落とせるでありますな。


「ヒッヒッヒッ、聖女が霊獣を手懐けているとは興味深いですね。まあ、魔神様の力を得た私の脅威にはなりえませんが」


 しかし、その触手もどんどん数を増やしていくであります。元となる本体を叩かなければ、際限なく増えていくでありますな。



「あ〜、ウザいウザいウザい! 気持ち悪いから、巻き付いてこないでよ!」

「――――――ウチの一撃でも、なかなか斬り落とせんわ、コレ」


 メリッサ殿とパールス殿も、触手を相手に苦戦しているであります。

 お二人には触手の生命力吸収攻撃は効かないようでありますが、純粋に触手の力が強く、手を焼いているのでありますな。



「············シノブ、今!」

「承知でござる、スミレ殿!」


 スミレ殿が迫る触手を切り拓き、シノブ殿が神将本体に向かって高く跳んだであります。

 そして、シノブ殿の持つオリハルコンの小太刀を、神将の身体に突き立てたであります。


「子供と思って甘く見ていましたが、もしやあなたも勇者ですかな? まさか、これほどの力を持っているとは」

「〝核〟を貫いても駄目でござるか······!?」

「ヒッヒッヒッ、〝核〟は一つだけではありませんからね。しかしながら、私の〝核〟を的確に貫くとは見事」


 シノブ殿の攻撃も、神将に決定的なダメージは与えられていないようであります。

 神将から距離を取ろうとしたシノブ殿に無数の触手が巻き付き、生命力を吸おうとしているであります。

 いくらシノブ殿でも、あれはマズいのでは······!?



「バカな、魔力も生命力も吸収出来ない? 殺戮人形(キラードール)ならともかく、覚醒前の勇者ごときに無効化されるはず······」

「隙あり、でござる!」


 神将の僅かな隙を突いて、シノブ殿が巻き付いた触手を斬り裂いたであります。

 どうやら、生命力吸収はシノブ殿には効かなかったようであります。

 シノブ殿の思わぬ強さに、神将が警戒を強めたであります。


「他の二人の勇者も規格外でしたが、あなたも例外ではないようですね。今代の勇者は、覚醒前から強力な女神の加護を受けているのですか」


 シノブ殿はレイ殿とアイラ殿程ではないにしろ、充分過ぎるくらいの強さを秘めているでありますから、驚くのも無理はないであります。

 異世界の住人は特別、女神様に目をかけられているのでありましょう。



「ヒッヒッヒッ、それはそれで好都合です。どのみち、魔神様の力を得た私には敵わないのですから。この場であなたも、他の二人の勇者も、そこにいる聖女も、そしてエルフの里のすべての生命を魔神様の贄としてあげましょう!」


 神将の攻撃が、さらに苛烈を極めてきたであります。どうやら、シノブ殿を相手に本気になったみたいであります。




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