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484 エルフの里での最終決戦

(ルナシェアside)


 神具と共に世界樹から飛び出してきたのは、禍々しい気配を纏った巨大な魔物であります。

 先に出現していた巨人よりも、さらに一回り大きな巨体で、姿形は似通っているでありますが、纏う禍々しい気配が桁違いに強力であります。



「ヒッヒッヒッ、さすがは魔神様の御力の一部。私と相性が良く、実に馴染みますね」


 現れた魔物が言葉を発したであります。

 この声は······神将ダルクローア?

 まさか、この魔物はあの魔人が魔物化した姿なのでありますか!?



――――――――――!!!!!



 突然、立っているのも困難な程に、大地が激しく揺れたであります。

 揺れはすぐに収まったでありますが、何か不吉な予感がするであります。


「楔は抜かれ、間もなくこの地は大変な事態へと陥ることになるでしょう。ですが、ご安心を。あなた方はその混乱に巻き込まれることはありません」


 楔が抜かれ······?

 冥王の言っていた、世界を安定させているという物のことでありますか?

 それが無くなったら、天変地異が巻き起こり大変な事態になると言っていたであります。


「ヒッヒッヒッ、ここで魔神様の力を手にした私に滅ぼされることになるのですから。あなた方には、苦痛なき死をプレゼントしてあげましょう!」


 魔物の姿となった神将がそう言うと、身体中から無数の触手を放ってきたであります。

 魔物化する前も、こういった触手を多用してきたでありますが、魔物となり巨体化した状態から放たれる触手は、サイズも威力も桁違いであります。


 周囲の魔物まで触手に巻き取られて、生命力を吸われたように朽ち果てているであります。

 敵味方、関係無しでありますか······。

 とりあえずは、この触手には触れるだけで危険だということはわかったであります。



「スミレ殿、離れるでござる!」

「············獲物を取られた」

「残る二体の巨人を吸収したでござるか······!?」


 シノブ殿達が相手にしていた巨人が、触手に巻き付かれて消滅したであります。

 魔物だけでなく、あの巨人すらも吸収するとは······。


「――――――わわっ、なかなかにヤバそうなんが出てきたな〜」

「あれは残影や分体じゃないっぽいね。アチシ達じゃ相手にするのはちょっと厳しいかな」


 パールス殿とメリッサ殿が魔物化した神将を見上げて、そう言ったであります。

 巨人でも、小生達では油断出来ない相手だったというのに、魔物化した神将はそれ以上に危険な存在でありますな。

 しかし、ここで挫けるわけにはいかないであります!


「確かに厳しいかもしれないでありますが、小生達なら倒せない相手ではないであります!」


 自分を奮い立たせるためにそう宣言し、小生は「聖」魔法の力を全解放して、この場にいる全員のステータスを底上げしたであります。

 騎士として、そして聖女として、強大な敵を前にしても絶望しないでありますよ!


「ヒッヒッヒッ、覚醒前の聖女が強気に言いますね。ならば是非とも証明してもらいたいものですね······!」


 神将が槍の形をした神具を手にしたであります。

 神具は神将の身体に合わせるように巨大化していき、魔物化した神将の巨体にピッタリのサイズになったであります。


「さあ、ひれ伏しなさい!!」


 神将が神具の特殊能力を使ってきたであります。

 あれは、周囲にいる者の力や魔力を吸収する力を持っていたでありますな。

 小生の「聖」属性魔法ならば、防ぐことは可能でありますが、さすがにこの場にいる全員を守るのは厳しいであります。


「ひゃううっっ!? や、ヤバいわね。全員アイツから離れなさい!」


 フルフル殿が幽体(レイス)や傀儡兵達に指示を出して、神将から距離を取ったであります。

 先ほど神具の効果は見ていたので、ちゃんと能力を把握しているでありますな。

 意外とフルフル殿は指揮能力に優れているようで、率いている幽体(レイス)や傀儡兵達は神具の効果範囲から逃れたであります。


「スミレ殿、拙者の後ろに!」

「············二度も同じ手にやられない」


 シノブ殿も「聖」魔法を使えるので、それでスミレ殿を守っているであります。


「――――――生命力吸収なら、ウチらには効かんで〜」

「とはいえ、マズいね。トゥーレやバル兄抜きで、あんなのに勝てるかな? レイおにーさんとアイラを呼んだ方がいいんじゃない?」


 パールス殿とメリッサ殿には、どうやら神具の力は効いていないようで平然としているであります。

 メリッサ殿の言う通り、レイ殿達の手を借りたいでありますが、念話に応答しないであります。

 迷宮内でも、何か起きているのでありましょうか?



「ヒッヒッヒッ、精々足掻きなさい。どのみち、あなた方は魔神様の贄となる運命なのですから······!」


――――――――――!!!!!


 無数の触手が物凄い速さで小生に向かってきたであります。

 マズい、あれは避けられな······。


「オオーーンッ!!!」

「フェル!? 助かったであります!」


 触手に囚われる寸前で、霊獣フェンリル······小生の相方フェルが現れ、助けてくれたであります。

 小生のピンチに駆けつけてくれたのでありますな!


「なんと、霊獣フェンリル······何故、こんなところに? まあ、いいでしょう。霊獣もまた、魔神様の贄にふさわしい存在ですからね」


 霊獣を見て、少し驚いた様子を見せたでありますが、すぐに切り替えて不気味な笑みをうかべたであります。

 霊獣も此奴にとっては、大した存在ではないということでありますか。



 小生はフェルに跨り、剣を構えたであります。

 巨人や魔物達はすでに神将に取り込まれており、もう敵は此奴だけであります。


 レイ殿達も気がかりでありますが、無事を信じて、小生達は此奴の討伐に全力を尽くすであります!




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