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479 母親の乱入

 ミールの身体から抜け出したダルクローアが、今度はエイミに取り憑こうとしていた。

 コイツ、本当にしつこいな!?


 オレは気を失っているミールを床に寝かせて、エイミの救出に動く。

 まだ完全にエイミの身体に入り込んでいないから、物理的に引き剥がせるかもしれない。



――――――――――!!!!!



 エイミのもとに近付こうとしたら、強力な魔法障壁によって阻まれた。

 エイミは(魔人化)スキルが強制発動させられていて、凄まじい魔力を放っている。

 エイミだけじゃなく、ダルクローア自身の魔力も上乗せされているのか?


 今のオレなら破ろうと思えば破れる障壁だが、まだ(超越者)スキルを得たばかりで、力加減が上手く出来ない。

 下手すれば、勢い余ってエイミの身体を傷付けてしまう危険がある。


 いや、そんな悠長なこと言ってる場合じゃないか。ダルクローアからエイミを助けるためにも、多少のリスクを覚悟で動く必要がある。


 オレは障壁に手を当て、魔力を集中させた。

 奴を覆う魔法障壁にヒビが入る。


「無駄ですよ、その障壁は簡単には壊せません。そこでおとなしく、魔神様の復活を眺めていなさい」


 ダルクローアが障壁に魔力を送り込み、一瞬でヒビ割れが修復された。

 オレ負けじと、さらに力を込めるが、奴の言う通り簡単には壊せそうにない。

 だが、攻撃を続けることで、徐々に修復が間に合わずに障壁の傷が拡がっていく。


「バカな、貴方の力······先ほどまでとは比べ物にならない。まさか、あの女勇者と同じく貴方まで······」


 今頃オレが(超越者)を得たことを察したか。

 冥王はすぐに気付いたのに、ずいぶんと鈍いものだな。



――――――――――!!!!!



 ついに障壁が砕け散った。

 オレは勢いのままエイミの身体を掴み、ダルクローアを引き離しにかかる。

 すると、エイミの胸からダルクローアの触手が飛び出してきて、オレの腕に絡まってきた。


「そう、易々とはやらせませんよ。あともう少しで魔神様の力が目覚めるのですから」


 触手はさらに、周囲に縦横無尽に伸びて、部屋全体を覆い尽くしていく。


「おっと、僕が回収した呪石が狙いのようダネ。ははっ、冷静に見えて結構焦ってるんじゃないカナ、神将?」


 どうやらダルクローアは冥王が持つ、エイミとミールの身体に入っていた呪石を狙っているらしい。

 やはり魔神の一部の復活には、その呪石が必要なのか?


 とはいえ冥王も簡単に奪わせるようなことはせず、涼しい表情で迫る触手を回避していた。

 冥王の心配をする必要はなさそうだな。


「くっ、ちょこまかと動きますね」


 ダルクローアが触手の数をどんどん増やしていくが、冥王を捉えられない。確かに冥王の言う通り、焦っている感じがするな。


 冥王が気を引いている内に、抑え込めばどうにかなるかな?

 オレは手に絡まった触手を引き千切り、エイミの身体に手を伸ばした。



「うっ、ああ······レ、レイ君······」


 まだエイミの意識が残っていたみたいで、苦し気に手を伸ばしてきた。

 これ以上、ダルクローア(こいつ)の好きにさせるか。必ずエイミを奴から引き離してやる。


 オレはエイミの手を掴もうとしたが、ダルクローアが触手を集中させて阻んでくる。

 弾いても弾いても次々と触手を放ってくる。

 このままじゃジリ貧になる、と思っていたら······。



――――――――――!!!!!



 突然、床が砕けて何かが飛び出してきた。

 新たな敵か、と思ったが違う。


「このド外道が······! それ以上、ウチの娘に手を出すんじゃねぇぇーーっ!!!」


 あれは······メアルさん!?

 迷宮のどこかに隔離されてるって話だったが、最終階層まで駆けつけてきたのか。


「女エルフ······!? バカな、ここまで来れるはずが······」


 ダルクローアも突然のメアルさんの登場に驚いている。来たのはメアルさんだけか?

 アイラ姉とデューラさんの姿はない。


 いや、余計なことを考えてる場合じゃない。

 ダルクローアに隙が出来ている。

 この状況を打破するのは今だ。



 オレは両手に魔力を集中させて、エイミの身体から出ている触手をすべて引き千切って取り除いた。


「何っ······貴様······っ」

「ナイスだ少年! 後は私に任せろ!」


 飛び出てきた勢いのまま、メアルさんがこちらに向かってくる。

 魔力、いや精霊の力か?

 とにかく、メアルさんは凄い力を集中させている。



「これで終わりにしてやる! とっとと消え失せろ、ド外道がーーーーっ!!!」


 メアルさんが集中させていた力を、ダルクローアが取り憑いているエイミに向かって解き放った。



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