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476 緊急事態

 囚われたミールを助けようとしたら、魔神の一部と呼ばれている巨人が複数体現れた。

 全部で四体。

 四方からオレ達を取り囲み、逃さない配置だ。


「魔神の残影か······。コイツらが現れたってことは魔神の一部の復活も時間の問題ということダネ」


 冥王が巨人達を見て、そうつぶやいた。

 魔神の残影?

 よくわからないが、コイツらは問題の魔神の一部とはまた別モノなのか?

 道理で思ってたより強くなかったわけか。


 冥王の言葉から推測すると、魔神の一部とやらはまだ復活していないようだな。


 あのミールが入っている妙な容器から魔力が漏れ出て、この巨人達に流れ込んでいる。

 もしかしてミールの魔力を無理矢理に吸い出して、それを吸収しているのか?

 だとしたら、早くミールを救出しないとな。



 四体の巨人の目が怪しく光る。

 あの消滅光線を撃つ気だな。

 そうはさせるかとオレは駆け出し、巨人の一体に飛びかかり、一刀両断にした。


 (超越者)の力は凄まじいな。

 (神聖剣術)を使わなくても、巨人の身体を簡単に斬り裂くことが出来た。



――――――――――!!!!!



 残る三体が一斉に消滅光線を放ってきた。

 オレはすぐにその場を離れて、光線を避けた。

 オレが一刀両断にした巨人は、他の三体の光線をモロに喰らって完全消滅した。


 コイツら、敵味方関係無しなのか?

 いや、そんなことはどうでもいいか。

 それよりも、今のオレなら巨人達を相手にかなり優位に戦える。


「エイミ、コイツらの相手はオレに任せてミールを! 多分、ミールを助け出せたら、コイツらは弱体化するはずだ」


 コイツらはミールの魔力を吸収して活動しているみたいだからな。

 ミールを救出しないと、倒しても新たに湧いて来る可能性もある。


「う、うん! レイ君も気を付けてね······!」


 巨人がオレに気を取られている隙に、エイミがミールが囚われている容器に向かって駆け出す。

 すると、エイミに立ちはだかるように黒いモヤが現れ、無数の人型の魔物に変化した。


 巨人に比べたら小型だが、姿形はほとんど同じだ。コイツらも魔神の残影って奴らか?


「邪魔しないで! クリムゾンフレイム!!」


 エイミが走りながら「炎」の上級魔法を放って、小型の残影を焼き払う。

 小型の残影は戦闘能力はあまり高くないようだが、耐久力はあるみたいだ。

 効いてはいるが、エイミの魔法一撃では倒れる様子がない。


 しかも、さらに湧き出て数をどんどん増やしている。あのままではマズイか?

 そう思っていたら冥王が走るエイミを追い抜き、小型の残影に向けて両手を広げた。


「アブソーブ·プルトン」


 小型の残影達が冥王の両手に吸い込まれるように消えていく。

 湧き出て来る奴らも次々と片っ端から吸い込んでいる。


「あははっ、こいつはいいヤ。そろそろ特異点の補充をしたかったところだったかラネ。コイツらなら吸収するのに丁度良いネ」


 冥王が小型の残影達を取り込んで、吸収しているのか。特異点ってのは邪気のことだったな。

 あの残影達は邪気の塊みたいな存在なのか?


 まさに冥王の無双状態だ。

 小型の残影が何体現れようと、冥王の吸収能力の前には無力だ。


「こっちのことなら見ての通り心配いらないヨ。さすがにそっちの残影は吸収出来る規模じゃないからキミに任せるヨ。いつの間にか、(超越者)に至ってるみたいダシ、どうにかなるダロ?」


 こっちの巨人はでかすぎて冥王でも吸収出来ないのか。冥王はオレが(超越者)のスキルを得たことを見抜き、巨人達(コイツら)のことはオレに丸投げしてきた。

 まあ、いいけど。

 冥王がエイミを守ってくれているので、あっちは任せて大丈夫そうだ。



「――――――――――」


 残る三体の巨人がオレに攻撃を仕掛けてきた。

 オレもコイツらの相手に集中しないとな。

 優位に戦えるとはいえ、油断していたらヤバい相手に変わりはないからな。


 一体一体、確実に倒すことにしよう。

 オレは三体の内の一体の懐に入り、斬り刻んだ。

 残る二体は仲間を巻き込むことも構わずに、消滅光線を撃つ構えを見せる。

 コイツら、同士討ちさせれば簡単に排除出来そうだな。


「閃空追真斬っ!!」


 仲間の消滅光線でオレが斬り刻んだ巨人は消滅し、さらにオレは光線を撃ったばかりで隙が出来ているもう一体を、剣技で倒した。

 (神聖剣術)じゃなく普通の剣技で充分だな。

 四体いた巨人も、あと一体だけだ。




「ミール!!」


 向こうではエイミが容器の前にたどり着いていた。エイミはミールを助け出すために容器を壊そうとする。

 かなり頑丈に出来た容器だが、エイミは両手に魔力を極限まで集中させて、無理矢理に破壊しようと力を込めた。

 エイミの力によって、容器に亀裂が走る。



――――――――――!!!!!



 容器が砕け、中にいたミールが飛び出てきた。

 エイミはミールを抱きかかえ、容態を見る。


「ミール、ミール! しっかりして」

「··················ねえ、さん······」

「ミール! よかった······」


 エイミの呼びかけに応じて、ミールが目を開ける。ミールの無事に、エイミが安堵の表情をうかべた。


 よかったとオレも安心したが、次の瞬間、思いも寄らない事態に発展する。



――――――――――ブシュッ!!



「え······ミー······ル?」

「待っていましたよ。これでようやく()()()()()


 ミールの腕がエイミの胸を貫いていた。

 エイミの胸から何かを引き抜いたミールが、怪しげな笑みをうかべた。



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