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閑話⑰ 7 怪盗vs変態(※)

※(注)引き続き変態男が登場しています。

(リーアside)


 スミレさんとメリッサさんが怪盗ローウルを追い詰めていく中、油断していたわたしに襲いかかってきた人形を、正義の仮面さんが突如現れ、撃退してくれました。

 わたしを助けた後、正義の仮面さんは怪盗の下に向かいます。


「さあ、お遊びはそこまでです。怪盗ローウル、ここからは私がお相手しましょう」


 いきなり現れた正義の仮面さんにスミレさんやメリッサさん、そして怪盗も驚いています。


「な、なななんだお前は!? 一体何者だ!」

「私の名は正義の仮面。どうやら貴女は私と勝負をしたいと聞き及んでいましたが?」

「せ、正義の仮面? 話に聞いていた正義の味方とは、こんな奇っ怪な姿をした男だったのか?」


 怪盗は心底意外そうな表情をうかべています。

 まあ、怪盗が驚くのも無理はないかもしれませんわね。わたしも初めて見た時はそうでしたし。



「わ〜、これがサフィルスやヴェルデが言ってた正義の味方なんだ。変わった格好してるね、服を着ないで寒くないのかな? 人族のヒーローって皆、こんななの?」


 どうやらメリッサさんは正義の仮面さんを見るのは初めてのようです。

 このような姿のヒーローは他にいないと思いますけど。


「さあ、お嬢さん方。ここは私に任せて下がっていてください」

「············ん、わかった」


 正義の仮面さんの言葉にスミレさんは素直に従い、メリッサさんを連れて下がりました。


 怪盗が望んでいたヒーローとの対決ですが、怪盗は未だ戸惑いの方が大きいみたいですわね。



「さあ、望み通りお相手しましょう。どこからでもかかって来なさい」

「む······い、いいだろう。少々、いや······かなり想像とは違うが、お前に噂通りの実力があるのか、見せてもらおうではないか!」


 気を取り直して怪盗が人形を繰り出しました。

 スミレさん達にほとんどが撃退されていたため、残っていたのはほんの数体ほどです。

 その残りの人形に怪盗は全魔力を集中させているようで、スミレさん達が相手をしていた時より明らかに力が強くなっています。


「ほう、人形を操るその技量はなかなか。ですが、この程度では私の相手にはなりません」


 しかし正義の仮面さんはそんな人形の攻撃を的確に躱して、撃退しています。

 最小限の動きでそれを行っているので、人形の攻撃を完璧に見切っていますわね。

 あっという間にすべての人形が無力化されました。



「人形遊びはこれで終わりですかな?」


 正義の仮面さんが無力化した人形を拾い上げ、自然な動作で集めています。

 集めるのはいいのですけど、その後人形をどうしたのかが問題でした。


「いやあああっ!!? わ、私の人形達になんてことしてくれてるんだぁ!!?」


 それを見た怪盗が悲鳴をあげます。

 正義の仮面さんは無力化し、動かなくなった人形を何故か自身の下着の中に収めていました。

 無理矢理に人形を突っ込んでいる状態なので、ただでさえ布面積の少ない下着が今にもはち切れそうです。


「これは失礼、では人形をお返ししましょう。さあ、どうぞ受け取ってください」

「ひぃっ!? そのまま迫って来るなっ!?」


 正義の仮面さんが人形が収まった下半身を突き付け、怪盗がさらに悲鳴をあげています。


 動揺を隠しきれていない怪盗ですが、気を取り直して表情を引き締めました。



「ふ、はははっ! す、少しは出来るようだな。今日のところは日が悪い、勝負はお預けとしよう!」


 そう言うと怪盗の背中から蝙蝠(こうもり)のような翼が現れ、飛び上がりました。

 やはりこの怪盗、吸血鬼(ヴァンパイア)族なのですか?

 少なくとも人族ではないようですわね。


 いえ、今はそんなことはいいでしょう。

 それよりもこの怪盗、この部屋の天井付近には人が出入り出来るくらいの穴が開いており、どうやらそこから逃げるつもりみたいです。


「ふははははっ! では、さらばだ············ふぎゃっ!?」


 高笑いをあげながら飛び立ち、逃げようとしたところで何かにぶつかったようです。


「逃しませんよ」

「うわあああっ!? な、なんでお前まで飛べるんだーーっ!!?」


 正義の仮面さんが天井の穴を塞ぐ形で、怪盗の先回りをしていました。

 「風」魔法を纏って飛んでいるようですわね。

 普通はそんな自在に飛ぶことなんて出来ないはずですので、すごい技術力です。


「さあ、今度は私の番ですね。怪盗などと世間を騒がせた罰として少々、お仕置きをしてあげましょうか」

「ひぃっ、近付いて来るな!? 何をするつもりだ!」


 怪盗は正義の仮面さんの迫力に怯えた様子を見せています。

 目の前の穴は正義の仮面さんが塞いでいますが、反対側にも同じような穴があり、怪盗は慌てふためきながらも、そちらに向かって逃れようとします。



「逃がしません、はあっ!!」

「うわっ、な、なんだこのロープは!? 身体中に絡まって動けな······」


 この部屋の天井は高く、二人は結構高い位置にいるので見上げていると首が疲れてきました。

 今、正義の仮面さんはどこからかロープを取り出し、それを怪盗に向けて放ち、一瞬で縛り上げるのが見えました。


「さあ覚悟! とうっ!!」

「え······うわああっ!!? こっちに来るなぁぁっ!!?」


 正義の仮面さんが「風」魔法で加速して、縛り上げた怪盗に向かっていきました。


「いやあああっっっっ!!?」


 怪盗が大きな悲鳴をあげています。

 高い位置にいるので状況がはっきりとは見えませんが、かなりの速度で怪盗に迫り、激突しました。

 何やら怪盗のうめき声が聞こえてきますが、正義の仮面さんと密着してどうなっているのでしょうか?



 しばらくすると怪盗の悲鳴が聞こえなくなり、正義の仮面さんがゆっくりと降りてきました。


「さあ皆さん、怪盗はこの通り捕らえました。もうご安心ください」


 正義の仮面さんの言う通り、怪盗はすっかりおとなしくなっていました。

 ああ、なるほど······。

 怪盗が凄い悲鳴をあげていた理由がわかりました。


 先ほどの人形と同じように、今度は怪盗が正義の仮面さんの下着の中に収められていました。

 当然、人形とはサイズが違うので全身が収まるはずもなく、下着に収められているのは怪盗の頭だけですけど。

 なかなかに哀れな姿ですわね。



「では私はこれで······さらば!」


 怪盗をスミレさん達に託して、正義の仮面さんは颯爽と去っていきました。

 あまりの出来事に言葉が出ず、正義の仮面さんを引き止めることが出来ませんでした。


「へえ〜、あの人本当に凄かったね。アチシも勝負してみたかったな〜」

「············ボクも」


 メリッサさんとスミレさんはマイペースにそう言っていますわね。

 正義の仮面さんに対して、特別驚きはないみたいです。




 さて、それよりも怪盗は気を失っているようですし、今の内に屋敷内を捜索して盗まれた宝石類を見つけ、返してもらうとしましょうか。



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