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閑話⑰ 3 怪盗の潜む屋敷

 リーアの依頼を受けて怪盗とやらを追うことになった。メリッサが怪盗の残した人形から、行方を探れるというので任せてみることにした。


 オレとスミレ、そしてリーアが先頭を歩くメリッサに付いて行く。


「気を付けてね。相手は犯罪者なんだから危なくなったらすぐに逃げるんだよ? レイ君、リーアのことよろしくね。スミレちゃんとメリッサちゃんも無理しちゃ駄目だよ?」


 ちなみに姉のリーナは店の片付けと、町の衛兵に被害報告をするために残るようだ。

 本来ならリーアの仕事だそうだが、今のリーアは怪盗捕縛を優先したいと言っているためだ。

 いつまでも怪盗が王都に潜伏しているとは限らず、モタモタして逃げられては困ると。




 というわけでさっそく怪盗を追跡開始だ。

 オレやスミレ、メリッサがリーアの護衛役として行動するつもりだ。

 怪盗がどんな奴かはわからないが、強盗というよりコソ泥っぽいので、そんなに危険な奴じゃないかもしれないけど。


「こっちの方だね。そんなに遠くないみたいだよ」


 メリッサが迷うことなくどんどん進んでいき、町の外へと出てしまった。

 怪盗のアジトは町の外にあるようだ。

 魔物が出るかもしれないが、近場なら大した危険はないだろうし、このまま進むか。


 しばらく進むとメリッサが歩みを止めた。


「············結界が張ってある」


 スミレが言うようにこの先に結界が張ってあるのが見えた。

 近場ということもあり、この辺は冒険者ギルドの依頼や探索などで何度か来たことあるが、以前は結界なんてなかった。


「スミレさんやレイさん達は結界が見えるのですか? わたしには見えませんわ」


 リーアが言う。

 忘れがちになるが結界は普通なら認識出来ないものらしいからな。

 オレ達はレベルが高いためか問題なく見えるけど。



 それよりも結界があるということは何かあるのは間違いないだろう。

 けど結界解除が得意なパールスはこの場にいないし、どうやってこの先に行こうか······。



――――――――――!!!



「大した結界じゃないね。それじゃあ先に進もうか」


 メリッサが軽く叩いただけで結界は砕け散った。

 ずいぶん簡単に壊れちゃったな。

 どうやらメリッサの言うように大したことのない結界だったみたいだけど、壊してよかったのかな?

 まあ、今更遅いか。




 結界があった場所から少し進むと、古びた建物が見えてきた。

 なんだかホラー映画とかに出てきそうな洋館って感じだな。


「この中にいるみたいだね。気配も感じるし、間違いないよ」


 メリッサが言う。

 ここに王都を騒がせている怪盗が潜んでいるのか。拍子抜けするくらい簡単に見つかったな。

 まだ本当にいるかわからないし、怪盗よりも幽霊とかが出そうな建物だけど。


「町の近くにこんな屋敷があるなんて知りませんでしたわ。しかし、違和感のある建物ですわね。古びているというより、古く見せるために建てたという感じですけど」


 リーアの言葉を聞いて、じっくり建物を見てみると確かに人工的な古臭さをしている気がする。

 テーマパークなどでアトラクションに使われるような建物みたいだな。


 なんでこんなところにそんな建物が、とは思ったけど怪盗なんて酔狂なことをするような奴が潜んでいる場所だし、考えても仕方無いかな。



「ここからはオレが前を歩くよ。皆はオレの後に付いてきて。決して油断しないようにね」


 メリッサを一度下がらせ、オレが先頭になることにした。怪盗がいるとして、何を仕掛けてくるかわからないから、ここは慎重に行かないとな。


 入り口の扉にはカギはかかっていなかったので、すんなり中に入ることが出来た。




 建物の外見とは異なり、中は新築のようなキレイな印象となっていた。

 やはりあの外見はわざとそう見せていたのかな。

 そして、あちこちに人形が置かれている。


 リーア達の店に残されていた人形によく似た物ばかりだ。可愛らしい人形なのだが結構な数があり、少し不気味に感じる。

 こちらを見ているみたいで、今にも動き出しそうな······。



『············ギ、ギギ······』


 というより動き出した!?

 動きはかなりぎこちないが、周囲の人形が一斉にこっちを向いてきた。

 本格的にホラー展開になってきたな。



「おお〜、こっちにもトゥーレみたいな人形使いがいるのかな? トゥーレ以外の人形使いなんて初めてだから、どんなことしてくるのか楽しみだな〜」


 メリッサは暢気にそんなことを言っていた。

 人形一体一体から魔力を感じるので、全ての人形が一斉に襲いかかってくる可能性があるので油断出来ない。


 スミレも武器を取り出して構え、リーアも戦闘用の魔道具をいつでも使えるようにしている。



「ふふ······はーーっはっはっ!! 我が屋敷に侵入しようとは、命知らずの者達が現れたものだな」


 オレも剣を構えたところで、上の方からそんな声が聞こえてきた。

 なんだか芝居がかったようなセリフだな。


 声のした方を見上げてみると、天井付近に犬? いや、狐かな? 狐のお面を付けた黒装束の人物がぶら下がっていた。



 コイツが例の怪盗なのかな?



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