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閑話⑰ 1 王都を騒がす怪盗

投稿再開しました。

と言っても本編の執筆が進んでいないので、申し訳ありませんがしばらく閑話をお楽しみください。

(リーアside)


「宝石や高級魔道具を狙った怪盗、ですか?」


 ここはわたしとお姉様の二人で経営している王都の魔道具専門店〝トゥラヴィス〟です。

 いつも通り、冒険者の方々に接客をしていると、そういう話を聞かされました。

 なんでも今、王都には夜な夜な高級店の商品を盗んでいく怪盗なる者が現れているらしいです。

 まあ、ただの泥棒ですわね。


 夜の内に店に忍び込み、人知れず商品を盗んでいくため、その姿を見た者はいないとか。

 何故、怪盗と言われているのかというと、盗んだ後に〈○○は頂いた〉とメモ書きが残されているそうです。

 そんな意味のないことをするなんて、ただの愉快犯ではと思いましたけど、もういくつもの店が被害を受けているにも関わらず未だ尻尾を掴ませずに捕まっていないので、なかなかの凄腕のようです。



「ああ、高級店の商品ばかり狙ってるみたいだからリーアちゃん達も気を付けた方がいいぜ」

「ご忠告ありがとうございます。ですが、ここは防犯設備も万全ですので心配ありませんわよ」


 心配してくださるのは嬉しいですけど、防犯用の魔道具も完備されていますから、どんな凄腕の怪盗でもわたしの店で盗みを働くなんて不可能なことです。

 それに、防犯用魔道具の中には()()()()の物も含まれていますから、泥棒に入られた方は下手すれば命の保証は出来ません。






「リーア、聞いた? 最近、この辺りで泥棒が現れるって」


 日も暮れて今日の仕事も終わり、店仕舞いをしているとお姉様がそんな話を振ってきました。

 お姉様もお客様から心配の声を受けたようですわね。


「ええ聞きましたわ、お姉様。丁度、新作の魔道具も用意してありますし、もしウチに忍び込んでくれればいい実験が出来ますわね」

「いい実験って······相手は犯罪者なんだから、何をして来るかわからないんだよ? ちゃんと用心しないとダメだよ」


 つい昨日、新しい魔道具を作ったばかりなので、その怪盗がウチに来てくれれば性能を試すのにうってつけなのですが。

 まあ、お姉様の言うこともわかりますけど。


「わかっていますわ、お姉様。ですが、そんな人騒がせな犯罪者は、いずれ正義の仮面さんが捕まえてくれるかもしれませんわね」

「あー······あの仮面の人ね。最近は話を聞かないし、もう王都にはいないのかもしれないよ?」


 確かに以前はちょくちょく目撃談をよく聞いていたのですけど、最近は現れたという話は聞きませんわね。

 個人的には是非ともあの方の正体を知りたいので、今回の怪盗を捕まえに現れてはくれないでしょうか?






 それから数日ほどが経ちました。

 例の怪盗の被害はまだ続いているようで、先日も大通りの宝石店がやられたようです。

 どうにも(くだん)の怪盗は主に宝石類を狙っているようですわね。


 とはいえウチも他人事ではありません。

 魔道具にも魔力を蓄えるための純度の高い魔石や、希少な鉱石を付属している物があるので、それを狙われるかもしれませんわね。






「やられましたわね······」


 そう警戒していたのに、その日の夜、ウチの店にも例の怪盗が現れました。

 店の大事な商品である魔道具は無事でしたが、別に置いていた魔道具に取り付ける魔力を含んだ鉱石や魔石、宝石類などを根こそぎ盗られました。


 商品の方に防犯用の物を集中させていたとはいえ、宝石類も無警戒ではなかったのですが、怪盗とやらの腕を甘く見過ぎていましたわね。


「リーア、大丈夫?」

「ええ、お姉様。盗られたのはここにある物だけのようですわ」


 幸いなことにまだ鉱石などは新たに入荷する前だったので、被害額はそれほど大きくありません。

 ですが、むざむざ盗られてしまったのは悔しいですわね。


「こんな物を残していったようですけど」


 宝石類が置いてあった場所には一体の人形が残されていました。

 人形自体はどこにでもあるような可愛らしい女の子の人形です。

 人形は手にメモ書きを持っていて、そこには 〈宝石は頂いた(怪盗ローウル)〉 と書かれていました。



 可愛らしい人形を思わず握り締めてしまいそうになりましたわ。

 怪盗ローウル······。

 初めて聞く名ですけど、凄腕なのは間違いなさそうですわね。


 しかし、わたしの店に手を出したことを後悔させてみせますわよ。



――――――――――カランカランッ



「えーと、入って大丈夫かな? 魔石をいくつか持ってきたんだけど」


 そんな時、店の常連であり、よく高純度の魔石や鉱石を譲ってくださるレイさんが訪れてきました。

 まだ開店前ですが、問題ありませんわ。


「············武器強化希望」

「にししっ、珍しい魔道具がいっぱいだね」


 レイさんだけでなく、小さな女の子二人が一緒のようです。

 一人はスミレさんという方でわたしも面識がありますが、もう一人の方は初めて見る顔ですわね。


「スミレ、メリッサ。少しおとなしくしててね」


 レイさんが二人に言います。

 スミレさんはともかく、メリッサと呼ばれた子は店内を走り回りそうな様子でしたからね。




 それよりも良い所に来てくれました。

 レイさん達に例の怪盗を捕える手伝いを依頼しましょう。


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