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462 暴走の原因

少し時間が戻って別視点となります。

(ミールside)


 世界樹が暴走して、エルフの里全体が世界樹の根に埋め尽くされようとしています。

 それを阻止するために、ワタシ達は世界樹本体の下に向かいました。


 母様が先導して先に進んで行きます。

 世界樹の根の力は強いですが、今のワタシなら対抗出来ます。


 レイさんは意識の戻らないパールスさんの容態を心配して、一度王都に連れて行くそうです。

 転移魔法で行き来は簡単に出来るので、すぐに戻って来るでしょう。




「エイミ、ミール。俺の後ろを走れ。いざという時は俺を盾にしろ」


 父様が襲い来る根からワタシ達を守ってくれました。幽体(レイス)となっても冥王の力の影響なのか、生前と同様の力を振るえるようです。


「父様、もう今のワタシ達は昔と違い守られるだけの存在ではなく、ちゃんと戦えますよ」


 気遣ってくれることは嬉しいですが、いつまでも守られてばかりではいられません。


「うん、わたし達だって戦力になるんだから······!」


 姉さんも同じことを思ったようですね。

 実際にワタシ達は襲いかかってくる根くらいなら撃退出来ています。

 世界樹の下に近付くに連れて少々、根の力が強くなってきている気はしますが問題ありません。


「アンタ、私達の娘はこの数年で大きく成長したんだよ。いつまでも過保護にしてないで認めてやりなよ」

「いや、俺は別に認めていないわけでは······」


 母様に言われ、父様がばつの悪そうな顔を見せました。母様も父様も昔とまったく変わりはありませんね。

 こんな事態になっていなければ、もっとゆっくり話したいです。



「皆、今は目の前の敵に集中するのだ! 油断は禁物だぞ」


 アイラさんが相変わらずの圧倒的強さで世界樹の根を撃退していきます。

 そうですね、今はこの事態を収めることが先決です。


「世界樹の根は魔物ではないからなのか、小生(しょうせい)の「聖」魔法の効きが悪いようでありますな」


 ルナシェアさんの「聖」属性魔法はあまり効果がないようで、剣技で応戦しています。

 世界樹は女神リヴィア様がもたらしたと言われているので、その女神様の力である「聖」魔法は効かないのでしょうか?


「やれやレ、肉体労働は僕の趣味じゃないんだけどネ」


 冥王もワタシ達の味方をしてくれていて、今も世界樹の根を相手に奮闘しています。

 やはり冥王を名乗るだけあり、とんでもない実力者です。レイさんの話だと、冥王は本体ではなく〝仮の肉体(アバター)〟という物らしいのですが、それならば本体はどれだけの力を秘めているのでしょうか?

 それに冥王は世界樹の枝を手に入れて、何をしようとしているのか······。



 まあ、今はそんなことを考えている場合ではありませんね。

 学園地下迷宮に現れた冥王(アジュカンダス)は敵でしたが、こちらの冥王(テュサメレーラ)は頼もしい味方です。

 今はそれで納得しておきましょう。







 そうして順調に進んでいき、世界樹の下にたどり着きました。

 世界樹の周囲は特殊な空間となっていて、外部から隔絶した場所なのだとか。

 よく意味は理解出来ていませんが、つまりは世界樹の周辺はあり得ないくらい広大な広場となっています。


 本来、ここは一般人は立入禁止となっていますが、ワタシは来たのは初めてではありません。

 何度か母様達に連れて来てもらったことがありますからね。



 そんな思い出の場所なのですが、今は状況が違います。暴走した世界樹の根がウネウネとそこら中で蠢いています。

 普段は神秘的な美しい広場のはずなのに、今は見る影もありません。



 原因はあれでしょうね。

 世界樹は見上げても天辺が見えないほどに巨大な木ですが、少し高い位置に妙な物が刺さっています。


 あれは槍? それとも大きな釘でしょうか?

 それなりに高い場所にあるので、よくわかりませんが禍々しい気配がここからでもわかります。



〈――――――〉鑑定不能

(神眼)の効果が打ち消されました。



 駄目ですね、鑑定出来ません。

 (神眼)の効果を弾かれたということは、それだけ特殊な物だということでしょうか。



「あのクソ外道野郎······。また新しい神具を用意してやがったのか」


 それを見た母様が何やら悪態をついています。

 母様はアレに見覚えがあるみたいですね。

 なんにせよ、アレが世界樹暴走の原因に違いありません。早く何とかしないといけませんね。



 それにしても、あのダルクローアという元凶の姿は見えませんね。

 どこかに潜んでいるのか、それともすでにこの場を離れてしまったのか。




 アイラさんも言っていましたが油断は禁物です。

 いつ、現れても対処出来るように警戒しておくべきでしょう。




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