表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
607/736

458 スキル強奪

 大型の魔虫ブレインワームが進化して、巨大な蛾の魔物となった。

 レベル600を超える強力な魔物だが、今のオレにはそこまでの脅威ではないステータスだ。

 けど、(洗脳)や(思考誘導)など厄介そうなスキルを持っているし、油断は禁物だな。


「――――――――――」


 巨大蛾が口を開き、耳がキーンとなる超音波のようなものを発した。

 他の魔物にもこういう声を出す奴がいたが、この音はどうにも慣れないな。



〈(洗脳)(思考誘導)の効果を抵抗(レジスト)しました〉



 どうやらスキルを使ったみたいだな。

 成虫となったことで、体内に寄生しなくても対象を操ることが出来るようだ。


「気を付けろ、コイツは相手を操るスキルを使ってくるぞ」


 オレは(全状態異常無効)があるので効果はないが、厄介なスキルだ。

 今の超音波にスキルの効果を乗せていて、それが届く範囲内全てに効果が及ぶようだ。


「大丈夫でござる、拙者は問題ないでござるよ」


 シノブはオレと同じく(全状態異常無効)スキルを持っているので心配なさそうだ。


「ふふ〜ん、誰に物を言ってるのよ。エリートな私にそんなモノ効かないわよ」


 フルフルも大丈夫そうだ。

 フルフルは(全状態異常無効)スキルは持っていないが、そういった耐性が高いのかな?


「···············!」

「ちょっ······いきなり何すんのよアンタ!?」


 全員大丈夫かと思ったのだが、突然スミレがフルフルに斬りかかった。

 スミレの目に光がなく、操られていたエルフと同じような状態だ。

 シノブとフルフルは問題ないようだったが、スミレはそうはいかなかったようだ。


「正気に戻るでござる、スミレ殿!」


 シノブがスミレを抑えつけた。

 スミレは抵抗しているが、シノブの方が力は強いので動けずにいる。



「――――――――――」


 そうこうしていると巨大蛾が襲いかかってきた。

 スキルが効かないオレ達は直接、排除する気か。


 オレは魔剣で斬りつけて、巨大蛾の攻撃を防いだ。

 巨大蛾を斬ると黄緑色の液体が吹き出した。

 気色悪いので、オレは液体に触れないように後ろに下がった。


「な〜にやってるのよ、ソイツも私が焼き尽くしてやるわよ! 浄化の炎(クリーニング·フレア)!!」


 フルフルが巨大蛾を焼き尽くそうと再び「炎」の魔法を放った。

 しかしフルフルの魔法は確かに直撃したが、巨大蛾にまったくダメージを与えていない。


「ウソッ!? 私の魔法がかき消され······」

「フルフル、あぶない!」


 「炎」を潜り抜け、フルフルに襲いかかろうとした巨大蛾をオレは魔剣で追い払った。

 コイツ、結構動きが素早い。



(限定結界)

指定した属性攻撃を完全無効化させる。〈炎〉



 巨大蛾の持つ、このスキルでフルフルの魔法を無効化したんだな。

 数ある属性の中から一つだけ選んで、その属性攻撃を完全に防ぐみたいだ。

 指定出来るのは一つだけみたいだが、ほぼ全ての属性が選べて、状況に応じて変えることも可能らしい。


 今、「炎」が指定されているのは、さっきフルフルの魔法をくらってヤバいと思ったからかな。

 それなりに知能もあるのか、それとも本能か。



「逃さないでござる!」


 巨大蛾が飛び上がろうとしたのを見て、シノブが逃さないよう奴の脚にしがみついた。

 抑えつけていたスミレは、すでに当て身で気を失わせたようだ。


 巨大蛾はシノブを振り払おうと羽を羽撃(はばた)かせるが、そんな簡単には振り払えないし、(洗脳)や(思考誘導)などの状態異常系も通用しない。



〈スキルスティール発動。(洗脳)(思考誘導)(限定結界)を手に入れました〉



 しばらく巨大蛾とシノブの揉み合いが続いていたら、そんな表示が出てきた。

 シノブが(スキルスティール)で巨大蛾のスキルを奪ったようだ。

 巨大蛾のステータス表示から、今の3つのスキルが消えている。


 (洗脳)や(思考誘導)は悪役っぽいスキルのイメージがあるから今後使うことがあるかは微妙だが、(限定結界)は使い所がありそうだ。


 自身のスキルが消失したことに気付いたのか、巨大蛾が動揺して動きが鈍っている。


「シノブ、離れろ!」

「承知でござる、師匠!」


 オレの言葉に反応してシノブが巨大蛾の脚から手を離し、下がった。

 そしてオレは渾身の剣技を巨大蛾に向けて放った。


蒼牙閻彗翔(そうがえんすいしょう)!!!」

「――――――――――!!?」


 オレの剣技は見事に決まり、巨大蛾は倒れ、動かなくなった。

 無事に倒せたようだな。



〈パーティーメンバー(フルフル)がレベルアップしました〉



 そんな表示が出ていた。

 フルフルを見てみるとレベルが680から690に上がっていた。

 今の巨大蛾の経験値が入ったようだ。


「は? レベルアップ? あんな魔物一匹倒しただけで一気に······どうなってるのよ!?」


 フルフル自身は一気に10もレベルアップしたことに驚いているようだ。

 レベル680もあったら次のレベルアップまでの必要経験値が膨大で、普通ならそう簡単には上がらないだろうしな。


 今、オレとシノブの(獲得経験値10倍)の相乗効果で得られる経験値が100倍になっているが、そのことを知らないフルフルが驚くのも無理はないかもしれない。




 まあ、それよりも巨大蛾を倒したからスミレも正気に戻っただろうし、早く結界を解除してアイラ姉達のいる世界樹の下に向かおう。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ