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457 魔虫の進化

 すぐにでも世界樹の下に向かいたいのだが、オレ達は目の前の結界に阻まれていた。

 この結界は見えない壁のようなもので、物理的に対象を弾くタイプみたいだな。


 パールスがいれば簡単に解除してくれたかもしれないけど、今回は自力でなんとかするしかないな。


「かなり頑丈な障壁でござるな。これ以上、力を込めても拙者の武器の方が折れそうでござる」


 シノブが何回か斬りつけていたが、結界は傷一つついていない。

 シノブの武器はオリハルコン製で、さらにアイラ姉のスキルで強化した物だ。

 シノブ自身の力も相当だし、それでも破壊出来ないとなると、単純な力では破壊出来ないようだ。


「フルフルはこういう結界を解くことは出来ないの?」

「出来たらとっくにやってるわよ。アンタこそ、勇者の力でなんとかなんないの?」


 勇者の力でって言われてもオレは勇者じゃないし、勇者のスキルも持っていないから無理な話だ。

 パールスの見様見真似で、魔力を流して結界に異常を来すことが出来れば消滅させられるかな?



 物は試しと結界に手を伸ばそうとすると、突然地面が大きく揺れて何かが飛び出してきた。

 また世界樹の根か?


「············イモムシの魔物?」


 飛び出してきたのは世界樹の根ではなく、スミレの言うように巨大な芋虫、いや、これはミミズの魔物か。

 コイツ、デューラさんに寄生していた奴と同じ、魔虫ブレインワームの大型版だ。


 それと同時に、通常サイズのブレインワームが上から雨のようにたくさん降ってきた。

 オレは虫は平気だけど、ここまで大量に降ってくると、かなり気持ち悪いな。


「シノブ、スミレ。その芋虫は生物の体内に入り込んで寄生してくる危険な魔虫だから気を付けろ!」


 オレは剣や魔法で魔虫を振り払った。

 身体の中に入られなければ、この魔虫は毒も戦闘能力もない普通の芋虫と変わらない。


「少々気色悪いでござるが、問題ないでござる」

「············焼けば食べれる?」


 シノブもスミレも、神樹の迷宮で虫系の魔物には慣れているから大丈夫そうだ。

 スミレは魔虫を見て何か言っているが、いくらなんでもそんなの食べれば腹を壊すと思うぞ。



「どきなさい、アンタ達! こ〜んな魔虫、私が焼き払ってあげるわよ、浄化の炎(クリーニング·フレア)!!」


 フルフルが「炎」の魔法で魔虫を焼き尽くしていく。普通の炎ではない特別な魔法のようで、炎に焼かれた魔虫は灰すら残さず消滅していた。


「······強い」

「ふふ〜ん、そりゃあ私は偉大なるテュサ様の側近である選ばれし幽体(エリートレイス)なんだからね。さあさあ、ひかえおろう、下民達!」


 その様子を見てスミレがつぶやき、それを聞いたフルフルがドヤ顔で言い放った。

 普段の言動はお調子者の女の子にしかみえないが、フルフルはレベル700近い実力者だからな。

 冥王の側近を名乗るだけある。


 ちなみにスミレの現在のレベルは600を少し超えたくらいなので、フルフルの方がステータス的には少し上だ。

 さすがにシノブよりは弱いが、スミレより格上と考えたらフルフルってスゴイんだよな。



「スミレ殿、そしてフルフル殿も。まだ敵は残っているのでござるよ!」


 シノブは冷静に二人に注意した。

 通常サイズの魔虫は今ので全滅したが、まだ巨大芋虫が残っている。

 コイツも通常サイズの魔虫と一緒にフルフルの「炎」魔法をくらっていたはずだが、消滅していない。


 けど、全身が焼け焦げてボロボロになっている。

 動く様子も見せないし、消滅しなかっただけで、もう死んでいるのかな?



――――――――――!!!!!



 鑑定魔法を使って生きているか確認しようとしたら、黒焦げの魔虫の身体が突然、裂けてパックリ開いた。

 そして魔虫の体内から、虹色の羽を持つ巨大な蛾が出てきた。

 もしかして、幼虫から成虫になったのか?



[ブレイン·テラモース] レベル650

〈体力〉585000/585000

〈力〉22000〈敏捷〉65000〈魔力〉32000


〈スキル〉

(神将の加護〈中〉)(洗脳)(思考誘導)

(限定結界)(魔力吸収)(無限成長)



 やっぱりこれが魔虫の成虫体っぽいな。

 生物に寄生して自在に操り、最終的には寄生した宿主を喰らい成虫へと進化する、と出ている。

 ただ、これは通常の魔虫の説明文で、コイツはダルクローアによって品種改良された奴なので詳細は不明のようだ。


 ステータス的にはそこそこ強いが、今のオレ達ならどうにでもなるレベルだ。



 けど、初めて見るようなスキルを持っているし、油断は禁物だな。

 さっさとコイツを倒し、結界を解除して世界樹の下に向かおう。



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