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456 世界樹の下へ

 世界樹が暴走して、エルフの里全体が世界樹の根に覆い尽くされようとしていた。

 学園長やフェリサスさん達は、里の一般人を避難させるために動いている。


 冥王の張った結界やフルフル達幽体(レイス)の活躍で世界樹の根が拡がるのを少しは抑えられているが、このままでは里全体を覆い尽くされるのも時間の問題だろう。

 いや、エルフの里だけで被害が収まるとは限らない。下手すれば大陸全て、もしくは世界そのものの危機に陥る可能性もある。


 まだ大して規模が拡がってない内に対処しなくてはならない。






「大変な事態でござるな。拙者達も力になるでござるよ!」

「············ボクも協力する」


 オレは転移魔法を使って一度王都に行き、シノブ達を応援に呼んだ。

 連れて来たのはシノブにスミレ、そしてメリッサだ。


 本当は他の人形娘達やリイネさん達など、戦力になる人達も連れて来たかったんだが、そんな時間はなかったから、たまたまメリッサと一緒にいた二人を連れて来た。


 メリッサには負傷して意識のないパールスのことを見てもらいたかったからな。(本当はパールスをあっちに連れて行き、一緒に王都にいてもらうつもりだったんだけど、メリッサとスミレがエルフの里(こっち)に来たいと駄々こねた)


 当然だが、アイラ姉達は先に世界樹の下に向かっている。オレも一緒に向かいたかったが、負傷したパールスを放置しておくわけにはいかなかったからな。




「パールスのことなら任せてよ、レイおにーさん。多分、核が傷付いて直すのに専念してるだけだから、しばらくしたら目を覚ますよ」


 メリッサがパールスの容態を見て言う。

 核というと人間で言う心臓、もしくは脳みたいなモノかな?

 なんだか大事な部分っぽいけど、あんまり深刻な様子でもないし、メリッサがそう言うのなら心配ないのかな。



「シノブとスミレは襲われている住人を見つけたら助けてあげて。襲って来る根は二人には脅威じゃないかもしれないけど油断は禁物だ。万が一の時は転移魔法を使ってもいいから、人命第一で行動するように」

「了解でござる、師匠」

「······文字通り、根こそぎ倒す」


 オレの指示を受け、二人が頷く。

 転移魔法は一般的ではない珍しい魔法のようだけど、力を隠すとか出し惜しんでる場合じゃないからな。

 寧ろ、積極的に転移魔法でエルフ達を避難させた方がいいかもしれない。

 なんだかスミレは住人達の避難よりも世界樹の根を相手にするのを優先しそうだけど。



 まあ避難誘導には学園長達もあたっているし、シノブ達も加わればエルフの住人達のことは大丈夫だろう。





 メリッサにパールスのことは任せて、オレも世界樹の下まで向かおう。

 シノブとスミレもやる気充分だし、襲い来る根くらいなら障害にはならないだろう。


 それにしてもかなり迅速に動いたつもりだったが、転移魔法での王都との行き来で大分出遅れたな。

 すでにアイラ姉達は世界樹の下に着いているだろう。アイラ姉がいるなら、オレ達が行かなくても世界樹の異変を解決出来る気がするけど、少しくらいは役に立ちたい。


 それにダルクローアは手段を選ばない厄介な相手だ。世界樹を暴走させるだけじゃ終わらず、どんな搦め手を使ってくるか予想がつかない。

 少しでも戦力は必要だろう。



――――――――――!!!!!



 世界樹の下まで向かう道中、次から次へと地面から根が飛び出して襲いかかってきた。

 暴走が止まっていないということは、まだ異変を解決出来ていないのか。

 世界樹がどういう状態となっているのか、少し不安だ。


 襲って来る根は世界樹に近付くに連れて、強力になっている気がするが、シノブもスミレも問題なく相手をしていた。



「ひゃううっっ!!? あ、あれ? アンタは確かレイじゃない。なんでこんな所にいるのよ?」


 根を撃退しながら進んでいると、フルフルが突然、飛び出してきた。

 世界樹の根と勘違いして危なく斬るところだった。

 なんでこんな所にいるはこっちのセリフだ。


「透けている······幽霊? もしや魔物でござるか!?」

「······確か幽体(レイス)って魔物。倒す」

「ちょっと待った、二人とも。この子は敵じゃないから」


 シノブとスミレがフルフルに斬りかかりそうだったので、オレは慌てて止めた。


「あり? 誰よ、その子達。エルフには見えないけど、レイの隠し子?」


 フルフルが二人を見て、訳のわからないことを言ってきた。

 のんびり話している時間はないので、フルフルとシノブ達に簡単にお互いを紹介させた。

 もちろん、隠し子とか言っていたのは否定したが。



「ふ〜ん、ただの子供にしか見えないけど、その子達そんなに強いんだ?」


 それを言ったらフルフルだって半透明なだけで、普通の女の子にしか見えないぞ。


「それよりも、フルフルはなんでこんな所をウロウロしていたんだ? 冥王にエルフ達を守れって言われていたはずだろ」

「エルフ達ならちゃ〜んと幽体騎士(あの子達)に守るよう、指示を出しているわよ。エルフのことはあの子達に任せて、私はテュサ様のお手伝いに向かおうとしていたのよ。そしたら結界に弾かれて、飛んだ先にアンタ達がいただけよ」

「結界?」


 フルフルに言われて奥の方に目を向けると、確かに薄い魔力の膜のようなものが見えた。

 冥王達が向かった世界樹の下にフルフルも行こうとしたけど、結界に阻まれたと。


 あれ、でも世界樹を覆う結界が消えたから、世界樹を肉眼で確認出来るようになったんじゃなかったか?

 結界が張られているなら、アイラ姉や冥王達はどうしたんだ?


 そう思って探知魔法で反応を見ると、アイラ姉達は結界の先にいるみたいだ。

 アイラ姉達が入った後、新たに張られたってことか?



 まあ、考えたって答えは出ない。

 それよりもこの結界をどうにかしないと先に進めないな。



 

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